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2007年2月10日

Cocteau Twins / Treasure

▼music07-009:透明な危険性。カテドラルなエンゼルの美声

Treasure(紙ジャケット仕様)
コクトー・ツインズ
Treasure(紙ジャケット仕様)
曲名リスト
1. アイボ
2. ローレライ
3. ベアトリクス
4. ペルセフォネ
5. パンドラ
6. アメリア
7. アロイシウス
8. シセリー
9. オタリー
10. ドニモ

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リアルタイムで80年代に聴いていたときには、あまり好きなアーティストではありませんでした。このアルバムは1984年なのですが、デュラン・デュランとかカルチャー・クラブとか、当時はヒットチャートの上位にあるちゃらちゃらしたポップスばかりを聴いていた気がします(あと、ガゼボとか。ちょっと後ではリック・アストリーとかユーロビート系)。しかしながら、共鳴するものは感じていて、MTVで録画したある曲のPVを何度も繰り返して観ていました。記憶力の悪いぼくは何のPVだったのか忘れてしまったのですが、コクトー・ツインズの遠いところで鳴っているギターと透き通った歌声に惹かれたものです。

いまあらためて聴き直して、いろんな意味でショックでした。まず、わかる。音楽は、わかるわからないの話ではないような気もするのだけれど、うまくいえないのですが生理的に嫌っていたアーティストなんですよね。たぶんそれは同質であることがゆえの嫌悪ではないかとぼくは思うのですが(こういう音楽に傾倒してしまう自分がいるので)、たぶん若い頃の自分は意図的に遠ざけていたところがある。とはいえ、いまであればきちんと受け止めることができそうな気がしました。

2曲目の「Lorelai」はほんとうに眩暈がしそうなくらい透明な音だと思います。でも、その透明さの背後にかなりの危険性が潜んでいる。フランジャーの効いたベースも、たまらない懐かしさと忘れ去られていた痛みのようなものを感じました。視角の外側にあって見過ごしていたこのような音楽をあらためて聴き直すのも楽しいものです。かつてぼくが向き合うことができなかった自分と、いまでなら向き合える気がします。このアルバムを購入するのであればやっぱり紙ジャケットではないと、ということで、紙ジャケット仕様のものを購入しました。2月7日観賞。

+++++

YouTubeで「Lorelei」のライブ映像を発見。ちょっと怖い(苦笑)。思わず背筋を伸ばして聴いてしまいました。なんとなく居心地が悪いのですが、それが彼等の存在感であるという気がします。オープンリールのテープデッキを回しながら演奏というのは、現在でいうところのラップトップ+生演奏というスタイルでしょうか。デビューアルバムでは、RolandのTR-808というリズムマシーンを利用してテープ・ループなどを活用した音創りだったようです。その前衛的なスタイルもいい。屹立した存在という表現がまさにその通りで、なかなかこの音は出せないでしょう。

3rdアルバム「Treasure」ではギリシア神話をモチーフに作られていますが、ライブ映像のギリシアの彫像的な凛としたエリザベス・フレイザーも必見です。

■Cocteau Twins Live Lorelei

*年間音楽50枚プロジェクト(9/50枚)

投稿者 birdwing : 2007年2月10日 00:00

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