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2007年3月26日

Clap Your Hands Say Yeah / Some Loud Thunder

▼music07-017:叙情的で複雑で、妙に懐かしいイノセントの響き。

Some Loud Thunder
Clap Your Hands Say Yeah
Some Loud Thunder
曲名リスト
1. Some Loud Thunder
2. Emily Jean Stock
3. Mama, Won't You Keep Them Castles in the Air and Burning?
4. Love Song No. 7
5. Satan Said Dance
6. Upon Encountering the Crippled Elephant
7. Goodbye to Mother and the Cove
8. Arm and Hammer
9. Yankee Go Home
10. Underwater (You and Me)
11. Five Easy Pieces

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なんだこりゃ?な音楽に惹かれます。というのはぼくがインディーズ志向だからかもしれません。もちろん耳あたりのよい珠玉のポップスや、多くのひとが認めるヒットソングも聴きますが、たいていそれだけでは満足できなくなる。

ノイジーな刺激やローファイな音であったり、どこか不器用なんだけど純粋な音楽を聴きたくなる。不完全でいびつな何かを求めてしまう。だから、知っているひとは知っているという隠れた名曲を探して、センスのいいブログの紹介盤をチェックしたり、ショップのCDラックで囲まれた迷路を彷徨ってしまうわけです。クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーのセカンドアルバム「Some Loud Thunder」も高感度な音楽ブログで紹介されていた一枚でした。

そもそも実はファーストを買おうと思っていました。試聴して聴き比べたところ、音が安定していてちょっとポップな1枚目のほうが第一印象はよかった。そこでCDショップで1枚目を持ってうろうろしていたのですが、もう一度聴き直してみようと思って聴き直したところ、あれ?と思った。何かがセンサーに引っかかったんですよね。どうやらこのセカンドのほうには、ファーストよりも以前に作った曲を収録しているとのこと。そういう意味では、よりピュアな音作りになっているような気がします。その音楽に対するひたむきな感じがぼくの琴線に触れたらしい。

Bounce.comのインタビューでは、アレックが次のように語っています。


僕に言わせると、曲を書くことはあくまでイノセント・アクト(純粋な行為)だね。邪心のない行為というか。それは経験などに左右されない部分でもあるから、この先も変わらないと思う。

確かにこのアルバムを聴いているとイノセントな感じがする(笑)。そもそも、ヘッドホンが壊れたんじゃないかと思う1曲目「Some Loud Thunder」。この歪み具合って何?というところがある。そのほか、ノイズを取り入れたり、やりたい放題のような感じです。ボーカルはよれよれだし。

でも、ぼくはへろへろでありながらも心に届く何かを感じる。第一印象は、うわっ何これ?だったとしても、聴き込むうちに親しみを感じてしまう。かつて社会人バンドをやっていたこともあり、ベースが担当だったぼくはベースにも惹かれました。2曲目の「Emily Jean Stock」のドライブ感とか(こういうのはバンドでやるとぜったいに楽しい。みんなで顔を見合わせながら演奏しているシーンがみえてきます)、 10曲目「Underwater (You and Me)」のなんとなくベースの妙にメロディアスなところが好きだったり、まるでスタジオで練習を録音したんじゃないか、というようなローファイ感がよかったりします。

アレックは次のようにも語ります。


人ってさ、何かにすごく興味を持ったり魅入られたりすると、〈あ、これは新しいことだ〉って思うよね。でもそのうちだんだん慣れてきちゃって、それがひとつの型になってゆく傾向がある。最近特に思うのは、僕に影響を与えたのは何か直接的なものというより、子どもの頃からの積み重ねなんじゃないかな、って。つまり、ある時は何かに極端に影響されるんだけど、それからフッとそのスイッチが切れて、また別のものに変わる──その繰り返しで、モノの見方や考え方が培われていくんだよね。音楽だってそう。

自分のなかにある過去の積み重ねを再現しているんでしょうね、このひとは。だから、妙に懐かしい。積み重ねられたものの総体の空気感が個々の曲になっているわけです。だからその雰囲気は分析とか、解釈できない。腑分けできないものになっています。そこがいい。

いちばんぼくが気に入っているのは、やはり「Underwater (You and Me)」でしょうか。最後のリバーブの利いたギターとか泣ける。で、まるで小山田圭吾さんの詩のような短い動詞が羅列される11曲目「Five Easy Pieces」につながるところもいい感じです。ここで演奏されているベースも叙情的で好みでした。3月26日観賞。

*年間音楽50枚プロジェクト(17/50枚)

投稿者 birdwing : 2007年3月26日 00:00

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