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2007年10月23日
the guitar plus me / zoo
▼music07-045:ひそやかなギターの調べとユーモラスな歌詞。バロック風でもある。
ZOO
the guitar plus me
曲名リスト
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01.moonlight
02.circus
03.penguin
04.jellyfish
05.echo
06.zookeeper's waltz
07.pacman + piranhas
08.bills hills breakdown
09.evollution
10.(inside or outside of) cage
タマス・ウェルズのコンサートに行ったときに、彼の前に演奏していたのがthe guitar plus meことシオザワヨウイチさんでした。
ひとりぼっちのギター弾き語りでしたが、スキャット風に口真似で「ちきしゃかつくしゃか...」のようなシンセを表現していたところが面白いと思ったのですが、アルバムを聴いてみたらきちんと打ち込みのシンセが入っていた(笑)。なんとなくライブで口シンセをやってしまう純朴さが彼のよさのように感じました。誠実で、ほんわかあったかくて、ユーモラス。すべての曲が英語の歌詞です。かなり好みのストライクゾーンです。
雰囲気的には、勝手な印象ですがリトル・クリーチャーズをもっと軽くした感じでしょうか。彼等はどちらかというとソウルとかグルーヴのある感じですが、キラキラ感のあるかわいらしいフォーク調のギターにした印象。そのあたりが若干物足りなくもあるのだけれども、しかしながらthe guitar plus meの個性のようにも思いました。
なんとなくぼくの心に響くタイトルの曲が多かったのですが、あらためて歌詞を見直してもいいなあと頷けます。たとえば、アルバムの1曲目は「moonlight(月光)」で、月の光を冒頭に置くことから既にぼくの好み!なのですが、次のような歌詞からはじまります。iが小文字なのは、歌詞カードのまま。
i missed a rapid train but i don't care at all i'm listening to the song again so i wanna go slow 快速電車に乗り損ねた、でも全然構わないさ 僕はその曲をまた聴いている、だからゆっくり行きたいのさ
この、ゆるゆる感(笑)。けれどもそこはかとなく漂う切なさ。いいですねえ(しみじみ)。ライブでも演奏されていた、3曲目「penguine(ペンギン)」は次のような歌詞です。
i'm penguine i have wings i can't fly i hate the sky i blame it on this rain i blame it on weather 僕はペンギン、翼がある 僕はペンギン、空は嫌い 僕はこの雨のせいにする、天気のせいにする
ペンギン的なひとっていますよね。翼はあるのだけれど飛べない。そして飛べないことを何かのせいにする。この歌詞の最後のほうでは、「特攻野郎Aチームの助けが必要なんだ」とか「BAバラカス(通称コング)の食べ物には、睡眠薬が含まれている/そして、君らは僕を飛ばせてくれる!」などという、なんだかあやしい話になっていきますが、こんな比喩的な表現も楽しい。楽曲的にはマイナーコードとメジャーコードがくるくると入れ替わる曲の展開も、もろに好みでした。シンプルなソロと、何気ないハーモニクスも凝ってます。
ぴこぴこしたシンセの音からはじまる「jellyfish(ジェリーフィッシュ)」もいい。ペンギンときて、くらげ(jellyfish)では水族館かなと思いますが、この詩の冒頭もおとぼけでよいです。
sister tooth built my apartment it's made of trampoline & transparent sister tooth が、僕のアパートを建築した それはトランポリンで作られていて、透明なのである
透明なトランポリンのアパート、どんなんでしょ(笑)。でも語の響きとして、trampolineとtransparentが利いている。こういう洋楽的なアプローチが好きです。サビでマイナーコードになるところもよい。かなり古いのですが(2005年7月25日)、bounce.comのインタビューを読んで、なるほどと思いました。以下、引用します。
その歌詞の世界は、彼が敬愛するスティーリー・ダン(しかも70~80年代ではなく、近年の作品)の近未来的世界観や予測不可能な展開に通じるものがあり、過激なシニシズムとグローバリズム批判が混在する。
なるほどね。ドナルド・フェイゲン的なちょっとSFちっくな世界観を追い求めているんですね。いいかも。
リリカルなギターのアルペジオが透明感に溢れていて素敵なのですが、後半ではハープシコード的な音も加わってなんとなくバロック風になります。あまりにはまりすぎると、ぎゅわーんというハードな楽曲を聴きたくなってしまう少年魂が発動してしまうのですが(苦笑)、晴れた日曜日の午前中には、こんなしんみりと静かなギターの音を聴いていたい。
アルバムの流れとしては、ひそやかな1曲目「moonlight」から一転して打ち込みのバスドラムが利いた2曲目「circus」につながる感じが気持ちよかった。逆回転のシンバルの音や動物園的な効果音からはじまる「zookeeper's waltz」はワルツなだけに3拍子のインスト曲なのですが、ハープシコード風の鍵盤も入ってバロック風です。9曲目の「evollution」もハープシコード入りです。この曲はライブでちょっと大変そうでした。たぶん運指とかコード進行が凝っているので、難しい曲なのではないでしょうか。
こんな風にアコギが弾けるといいんだけどなあ。とりわけ凄いわけではないのだけれど、ほんわかと心を軽くしてくれる一枚です。
■オフィシャルブログ
http://blog.livedoor.jp/tgpm/
■my space jellyfishが試聴できます。
http://www.myspace.com/theguitarplusme
■PV
http://www.sound-tv.net/artists/theguitarplusme/
*年間音楽50枚プロジェクト(45/50枚)
投稿者 birdwing : 2007年10月23日 23:36
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2 Comments
- hige 2008-01-02T03:48
-
sister tooth=姉歯建築士?
- BirdWing 2008-01-04T22:08
-
higeさま、コメントありがとうございます。
おお!鋭い。
となるとこの歌詞は
社会批判も含んでいるということでしょうか。そんな文脈を重ね合わせて曲を聴いてみると
なんとなく新聞などに掲載されている
ひとコマ漫画のような雰囲気もあり
奥が深いです。こういうシニカルさって
結構好きだったりします。
わはは、と大笑いするのもいいのですが
にやりと口元をゆがめて
笑う感じ?うーむ。
あらためて感動。ありがとうございました!!!
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