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2009年1月29日

John Coltrane Quartet / BALLADS

▼music09-01:きめ細かなサックスの肌触り、粒子の調べ。

Ballads
John Coltrane Quartet
Ballads
曲名リスト
1. Say It (Over and Over Again)
2. You Don't Know What Love Is
3. Too Young to Go Steady
4. All or Nothing at All
5. I Wish I Knew
6. What's New?
7. It's Easy to Remember
8. Nancy (With the Laughing Face)

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ジャズには夜がよく似合う。と思っていたのですが、朝日にあふれた部屋のなかで聴いても、なかなかよかった。さわやかでした。願わくば、しっかりとしたコーンの幅がでかいスピーカーで聴きたいところです。

コルトレーンの名盤です。初心者向けかもしれないけれど、その通りぼくは初心者なのでしっくりきました。ジャズというジャンルには詳しくないのですが、音に身体を委ねていると心地よい。薀蓄を探すのはやめて、少しばかり印象で語ってみましょうか。

張りのある美しいサックスの音色は、どこかすーっと伸びた帯のようです。そのしなやかな帯が折れたり絡み合いながら旋律を織り成していく。バラードだけにゆったりと白玉系の長い音が多いのですが、メロディラインというよりもトーンのきめ細かさがぼくには気持ちよく感じられました。

クールなプレイは若干あたたかみに欠ける感じもするのですが、一方で、女性のなめらかな腰のラインを想像させます。くびれた曲線を指で確かめるような感触です。とはいっても淫靡ではない。朝もしくは午後にたゆとう逆光。肌が艶やかにみえる部屋の薄明かりのなかで、眠っている裸のシルエットのなめらかな輪郭を指の腹で辿っていく感じ。どこか聴覚よりも触感的な気持ちよさがあります。そういう意味では、明るいセクシーさに溢れたアルバムかもしれません。

好きな曲は、第一に1曲目の「Say It (Over and Over Again)」。出だしの音からぱあっと世界が開けます。しかしながら、ピアノソロの高音から低音への過剰に弾き込んだフレーズが、ぼくには耳障りなのですが、この曲はいいなあ。少しアマノジャクなことを書いてしまうと、音楽がはじまるまでの静けさがいい。3曲目「Too Young to Go Steady」も1曲目と似ているような印象ですが、好みです。それから8曲目つまり最後の「Nancy (With the Laughing Face)」もいい。コルトレーンらしさという意味では、4曲目「All or Nothing At All」は雰囲気があるのではないかと思います。

マッコイ・タイナーのピアノに関していうと、ぼくはあまり好きではないかもしれない。派手に高音から低音へグリッサンドのように動き回る旋律が、なんとなく苦手です。きれいなのだけれど・・・美しすぎてダメだ。もう少し謙虚さがほしい。音符通りに正確に弾くよりも、ちょっとぐらい外れてもいいから朴訥としたピアノが好きです。整いすぎているような気がします、なんだか。

というのは、趣味のDTMで単音の打ち込みをやっているからかもしれません。どうしてもきれいにグリッサンドした音符は、打ち込みのピアノロールに置かれた幾何学的な棒の配列をイメージしてしまう。どちらかというとジャズのピアノは、コードバッキングで、しかもたどたどしいような音がぼくの好みです。音の粒立ちがはっきりしていないような弾き方がいい。

ついでに、ドラムのロール、「 It's Easy to Remember」の、どこどこどこどこ・・・というおどろしい音にも困惑。盛り上げるのはわかるのですが、怖い。もう少し地味にしてほしい。ただ、その地の底からわきあがってくるようなリズムがいい、というひともいるのでしょう。

とかなんとか、ぶつぶつ文句を並べてみたのですが、やっぱりいいですね。なんだかとても懐かしい感じさえしました。コルトレーンのバラードがいい、ということをあるひとから聞いて、無知なぼくは音楽ジャンルとしてバラードかと思って返事をしてしまったのですが、あとから考えて、ああ、アルバム名だったかも・・・と思いました。そんなことを思い出しながら購入しました。

詳しくはないけれど、まっさらな状態で少しずつジャズも吸収していきたい。あまり変化球から入ると後が続かないので、まずは名盤からでしょうか。とはいえ、薀蓄より音を楽しみたい。そして聴きながら脳裏に思い浮かべたイメージを言葉にできれば、と考えています(1月22日観賞)。

投稿者 birdwing : 2009年1月29日 23:56

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