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2010年8月10日
[DTM作品] irie(イリエ)
いまはトウキョーで生活していますが、少年の頃には海に近い田舎で育ちました。だからといって、夏にがんがん泳いだ記憶はありません。浜辺で寝そべって昼寝ばかりしていたような。
海なんてどうでもいいや、とおもっていたのですが、年をとったからでしょうか、なんとなく海に対する郷愁が募ります。神戸や横浜などの港町は昔から好きでしたが、ふらりと訪れてみたい気分になります。お台場など海がみえる場所では海を眺めて和んでしまいます。
8月ということもあり、海にちなんだ曲を作ろうとおもいました(単細胞!)。
大勢の海水浴客に溢れた浜辺で、ビーチボーイズの「Surfin' USA」がラジカセからフルボリュームで流れている。そんな賑やかな風景も夏らしくていいのですが、そういう曲は夏専門のアーティストの方におまかせして、だれも知らないような静かな入り江をイメージしました。プライベートビーチのような感じでしょうか。
実際の入り江には、お盆過ぎにはクラゲでいっぱいになってしまう海もあるのですが、それはさておき。アタマのなかに浮かんだ入り江は、白い砂浜で、海はエメラルドグリーン。周囲は小高い緑に覆われた丘で囲まれている、美しい風景です。楽園に近いかもしれないですね。そんなところ行ったことがないけれど。
というわけで趣味のDTMで新曲を作ってみました。タイトルは「irie(イリエ)」。英語にすると「The Cove」かな。和歌山のイルカ漁を盗撮したドキュメンタリー映画が話題になりましたが、ぼくはいまひとつあの映画に共感できないので、日本語で入り江としました。ブログで公開します。お聴きください。
The title of this tune "irie" means the cove in Japanese. There are white sands and green sea at the cove, and the waves are calm. The documentary movie "the cove" was open to the public, but I don't like it. I made this tune imaging the paradise. I'd like you to listen to this tune.
■irie(4分06秒 5.63MB 192kbps)
作曲・プログラミング:BirdWing
この入り江のイメージに合う映像を探したのですが、なかなかみつかりませんでした。かろうじておもい出したのは、レオナルド・ディカプリオが主演の「ザ・ビーチ」という映画。以下、トレイラーをYouTubeから。一瞬だけ美しい入り江をみることができます。
「irie(イリエ)」の制作メモです。
まず全体的には、気だるいまったりとした雰囲気を出そうとおもいました。眠気を誘うようなのんびりとした感じ。BPMも遅めの78です。最初はレイ・ハラカミさんの音楽を意識しつつ、オルガン系のシーケンスをベンダーでねじ曲げた音を作っていたのですが、フレットレスのベースのような、スライドを多用したベースを加えました。ベースはいつも通り無料ソフトウェアシンセのminimoogVAを使いました。プリセット音にややフィルターをかけて音色を丸めています。
レイ・ハラカミさんのアルバムでぼくがよく聴いたのはこれ。
Red Curb Rei Harakami ミュージックマインID 2001-04-25 by G-Tools |
今回はiPadから録音した音もたくさん使っています。以前、「iRela」という無料アプリの雨の音を使って「RD(レインドロップス)」という曲を作りましたが、今回も波の音は「iRela」です。
そして、潜水艦のソナー音のような音は、コルグの「iERECTRIVE」。こちらは有料アプリです。このアプリ、かっちょいいリズムがたくさん作れそうなのに、なかなか使いこなせません。そこで「Erectronica1 B25」のプリセット音を使いました。ほんとうは音声ファイルに落としてファイルでPCにコピーできるのではないかとおもいますが、BPMを合わせてヘッドホンジャックからダイレクトにPCにインプットしてDAWに録音、そのままリズムの位置を調整して使っています。こんなインターフェースです。
ドラムは基本的には読み込んだWAVEファイルのパターンを切り貼りして、特に3連符のアクセントに気をつけました。一部のどこどこどんというフィルインはiPadの無料アプリ「Shiny Drum」です。これはドラムパッドのアプリで、iPadの画面をタップすると音が出るようになっています。往年の著名なドラムマシーンの音がサンプリングされていて、テクノからジャズの音源まで幅広い。シーケンサーが付いていないのが残念だけれど、十分に楽しめるパッドです。
その他、入り江にある洞窟の感じを出すために、後半ではリバーブをメインに空間系のエフェクトを使いまくりました。というのも、コードがポップなので、ありきたりの音になってしまいそうな危惧もあったからです。打ち込みだけでは単調で陳腐な印象だったのですが、さまざまな音に深いリバーブをかけてぐちゃぐちゃにしたことで、シューゲイザー的な壊し方をできたかな、とおもっています。
エレクトロニカでは、この壊し方の加減が難しいですね。壊しすぎると耳障りで聴くに耐えないひとりよがりのサウンドになってしまう。逆にポップなコード進行やメロディの曲は壊さないと陳腐に聴こえる。先日、久し振りにウルリッヒ・シュナウスの「Goodbye」というアルバムを聴いておもったのですが、あのアルバムではエレクトロニカ的な楽曲の壊し方が美しい。残響音にかき消されてドラムスのリズムなど聴こえないけれども、アルバムを通して、とても繊細でドリーミーな価値観が貫かれています。あんな壊し方ができるといいんだけどなあ。
Goodbye Ulrich Schnauss Domino 2007-07-10 by G-Tools |
さて。今年の夏は帰省せずにトウキョーで過ごすつもりです。海には行かないけれど、プールで太陽の光を反射する水面でも眺めて満足しますか。
投稿者 birdwing : 2010年8月10日 20:55
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