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2010年8月17日
[DTM作品] cubic loop(キュービックループ)
立方体の絵を描くとき、正方形を正面にして描きますか、角から描きますか?
角から描く方法は「アクソノメトリック投影法」というそうです。「デザインする技術 ~よりよいデザインのための基礎知識」という本で知り、2006年にはブログでエントリを書いたこともありました(記事はこちら)。
以前のエントリでは、PowerPoint(略してパワポ)というプレゼン用のソフトでアクソノメトリック投影法による立方体を描いて、その画像を掲載しています。しかし、当時ぼくの使っていたパワポは、いまとなっては古いバージョンです。最新バージョンでは、もっとダイナミックな図形を描画できるかもしれません。古いパワポでは、描画機能に正方形を正面にした立体がデフォルトで用意されていましたが、個人的には角から描くアクソノメトリック投影法のほうが好みです。
なぜかぼくは立方体が好きです。要するにサイコロのような、どの面も等しい結晶のようなカタチに惹かれます。角砂糖などにも惹かれるものがあります(特にちいさめの黒糖の角砂糖)。そういえばブログのトップにもくるくる回るTumblr Cubeを掲載していましたっけ。
ルービックキューブという玩具がありますね。回転させて立方体の色を合わせるパズルです。これです。
残念ながら、ぼくはルービックキューブが苦手です。まったく歯が立たなかった。けれども一時期には大流行して、何秒で6面の色を合わせられるか、やっきになって取り組んだひともいるのでは。世界的な競技大会や最高記録もあり、現在でも根強い人気のあるパズルでしょう。
さて、今回DTMで曲を作る動機となったのは「立方体」。つまりCUBEでした。
単一のリズムのループで構成されていて、ルービックキューブの面を回転させるように、転調するような曲を作りたい、それが今回の最初の動機でした。ところが途中でキューブの面を回転させるのが面倒になってしまって、ありきたりの展開に落ち着いてしまったのですが(苦笑)。
タイトルはルービックキューブをもじって、「cubic loop(キュービックループ)」としました。ブログで公開します。お聴きください。
As you know, Rubik's Cube is cubic puzzle. Generally, the players rotate nine parts of six surface and adjust the color. I thought that I wanted to make the tune transposed like the Rubik's Cube using the looping sound. The title of this tune is "cubic loop". I'd like you to listen to this tune.
■cubic loop(3分34秒 4.09MB 192kbps)
作曲・プログラミング:BirdWing
すこしばかり余談です。CUBEということばから連想したのは、クルマの車種とともに、サスペンス映画の「CUBE」でした。
映画のあらすじはこんな感じ。平凡に暮らしていた人物が不意にさらわれて、目を覚ますと立方体の部屋のなかにいる。6つの面にはそれぞれ窓のような出入り口があって別の部屋に移動することができるのだけれど、どの部屋に行ってもキューブから抜け出せない。
移動するうちに、たくさんのひとと出会います。誰もが何も告げられず、このキューブに連れてこられたようです。迷宮のような同一の部屋には、殺人トラップが仕掛けられている部屋もあり、レーザー光線で身体を切り刻まれてしまったりする。さらに部屋自体が移動して組み合わせが変わってしまい、いまどこにいるのか位置を把握できません。移動中に金属プレートに3桁の数字が3つある部屋番号をみつけて、それが脱出への鍵となるのではないかと考えるのですが・・・。
不条理な設定に引き込まれる作品でした。続編の「CUBE 2」も観ましたが、個人的には一作目がおススメです。YouTubeからトレイラーを。
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では、「cubic loop(キュービックループ)」の制作メモです。
ウタものの曲を作るときには、AがあってBがあってサビ・・・のように構成を考えるのだけれど、最近は一定のコード進行をループ(循環)させる曲が多くなりました。楽をしているといえば楽をしているのかもしれませんが、同じ和音が繰り返される曲が嫌いではありません。ベタですが、バロックのパッヘルベルのカノンも同一のコード進行で変奏されていきますよね。難しい音楽的な理論はわからないのですが、寄り添いつつ離れていく旋律が美しい。
長く打ち込みをつづけていると(といっても趣味のレベルですが)自然にできてしまう曲があります。負荷がなく、ほいほいできちゃう状態です。イメージ通りの曲があっという間にできあがります。しかし、できちゃったけど、どうだろう?と、余計な心配をすることが多々あります。自分の羽を抜く夕鶴のように苦しんで作る曲もあるので、逆に安易にできてしまうと安心できないわけです。
ほいほいできちゃった曲をそこで完成にするのではなく、あえてイメージを壊したり、細部をいじっていると、別のステージに突き抜けることがあります。今回の曲作りもそんな印象でした。
意識したのは、スティーリー・ダン、ドナルド・フェイゲンです。なんとなくフュージョン系のおしゃれなリズムとベースラインを想像して作りました。転調して半音ずつ下がってもとにもどるコード進行は、自分のなかではドナルド・フェイゲン的なものをめざしました。うまくできていないかもしれないけれど(苦笑)。打ち込みだけではあまりにも単調なので、ノイズやドラムの音声ファイルを加えたところ、ドナルド・フェイゲン的な雰囲気は消えてしまったようです。
■DONALD FAGEN-trans island skyway
使用したシンセはTTS-1を中心に、パッド系の単音は無料VSTiのCrystalを使いました。リードギターの音はTTS-1のプリセットにアンプシミュレーターとモジュレーター(フランジャー)を通して、ピッチベンドとモジュレーションで味付けしました。部分的にはディレイをかけています。ベースもTTS-1のプリセットそのままなのですが、ピッチベンドでスライドさせたような効果をねらいました。
リズムは3連符のノリです。ぼくはこのノリが正直なところ苦手です。とはいえ、ドラムを打ち込むときに、ゴーストノートを意識してベロシティを絞り込んだ音を加えていくとノリが表現されるんだな、という感触を得ました。欲をいえば、さらに音の位置をびみょうにズラしてゆらぎを作ると、人間的なリズムを表現できるのかもしれません。
あまりこの系統の曲は作りませんが、たまに作ると気持ちがいい。エレクトロニカっぽい音を加えたけれど、割り切ってフュージョン系にめいっぱい振ってしまってもよかったかな、と完成した曲を聴きながら考えました。タイトなリズムとギターのリフが、さわやかな夏の空に似合う気がします。
投稿者 birdwing : 2010年8月17日 21:16
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