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2010年7月11日

[DTM作品]RD (レインドロップス)

梅雨の季節です。午前中には曇り空とおもったら午後にはからりと晴れたり、晴れてると油断するとゲリラ豪雨に襲われたり。めまぐるしい天候の変化に翻弄されています。外出するときには空を見上げて、傘を携帯すべきか置いていくべきか悩みます。しかし、この梅雨もあとわずか。7月の中旬を過ぎれば青空に入道雲のかがやく夏がやってくることでしょう。

どちらかといえば嫌われものの雨ですが、ぼくはひそやかに降り注ぐ雨が嫌いではありません。場合によっては、視界を覆うような土砂降りも悪くないのではないか、とおもいます。あくまでも、たまには・・・ですけれども。

趣味のDTMでは、いくつか雨に関する曲を作ってきました。

LotusloungeのボーカリストSheepさんとネットコラボをさせていただいて完成させた「AME-FURU」、個人的にはとても思い入れの強い「LOVE RAIN」、そしてはじめてネットで音楽を公開した時期にmuzieというサイトに掲載した「Rain Dance」。

蒸し暑くてじめじめする日本の梅雨は困りものですが、ぼくにとって雨はひとつの大きな創作のテーマであります。

というわけで、今回も雨の曲を作ってみました。タイトルは「RD」。「raindrops」から取りました。6月には楽曲を公開しなかったので、1ヶ月ぶりの新曲です。できれば1ヶ月に1曲公開というペースを維持したいところだけれど難しいですね。そんなわけでやや時間はかかりましたが、新しく作った曲をブログで公開しますので、お聴きください。

The Japanese rainy season is about one and a half months. It continues from June to the middle of July. I programed this tune by my laptop computer. The name of this tune is "RD". The name of "RD" was taken from raindrops. I'd like you to listen to this tune.


■RD(3分45秒 5.16MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing


ちなみに「RD」ときて「レイン」といえば、ロナルド・D・レイン(Ronald David Laing、1927年10月7日 - 1989年8月23日)というイギリスの精神科医、思想家をおもい出しました(Wikipediaの解説はこちら)。綴りはまったく違うので、単なるこじつけにすぎませんが、みすず書房の「自己と他者」という本を学生時代にむさぼるように読んだ記憶があります。

4622023474自己と他者
レイン 志貴 晴彦
みすず書房 1975-01

by G-Tools

と、ぜんぜん関係のない本の話はともかく制作メモです。

本来であれば、雨をイメージした曲はリアルな雨ではなく、旋律やリズムによって雨を再現すべきだとおもいます。当初は、サイン波の単調な音でミニマルテクノのような楽曲を想定していたのですが、次第に物足りなくなって、雨の効果音を入れてしまいました。邪道かもしれませんが、ホワイトノイズを取り入れるように、雨の音も「楽器」と考えることにして。

エレクトロニカには、自然に存在するあらゆる音、あるいは都会の雑踏のノイズなどを継ぎ合わせて音楽を作る手法があります。そもそもぼくは少年時代からナマロクに関心がありました。ソニーの録音機材を憧れのまなざしで眺めたものです。できればデジタルレコーダーとマイクを持って、戸外に飛び出してさまざまな音を収録したい。が、残念ながらいまのところPCMレコーダーを持っていないので、雨の効果音に関しては、iPadのアプリを使わせていただきました。

「iRela」という無料アプリです。

100711_irela.jpg

このアプリは、風の音、雨の音、波の音、火が燃える音など、サンプリングされた音を再生できます。いわゆる癒し系アプリです。ループされた音をただ聴いているだけですが、その名の通り、リラックスできます。

音と音をミックスすることもできるので、「Rain」「Urban Rain」「Water Fall」などの音を組み合わせて、iPadのイヤホンジャックからPCにつないで、DAW上で録音しました。もうすこし、ぴちょん、のような滴の音が欲しかったのですが贅沢はいえません。このアプリ、なかなかよいとおもいます。

100711_irela2.jpg

雨はぽつぽつと降りはじめて、やがて屋根や窓を叩き、道を行くひとの傘を叩いていきます。波のように打ち寄せては遠のく雨。さあっと移動する雨の濃淡が、カーテンのようにみえることもあります。ひとつひとつは水の粒にすぎないのに、雨全体はひとつの生き物のようです。

そして、雨のかすんだ風景を引き裂くようにカミナリが鳴り響く。大音響とともに雨は強さを増していく。タイトなリズムは乾いた音なので湿度感が難しいのですが、リバーヴをかけた残響音のあるスネアは、しっとりと湿って雨音にマッチするような気がしました。

途中でくぐもった音のピアノが入りますが、この部分には、ひとつの表現したいイメージがありました。雨の日の学校。放課後の音楽室で誰かがピアノを弾いている。その音が、リノリウムの敷き詰められた長い廊下を渡って聴こえてくる。そんな情景です。このピアノの音は、フィルターでざらついた感触を加えるとともに深いリバーヴをかけました。

後半はしっとりした音というより、土砂降りの激しい雨をイメージしています。ぶっといシンセベースの音は、minimoogVAを利用。これも無料のVSTiでありながらアナログシンセらしいとてもよい音です。

100313_minimoog_re.jpg

無機質な音をめざしながら、ポップにまとめてしまうのがぼくのアレンジの難点でしょうか。しかし、雨音と組み合わせるようなサンプリングの用い方が、ひとつの突破口になるような気がしています。

また、ドラムに関しては、最近TTS-1のプリセット+Rhythms v3.6.1という無料音源で組み合わせて作ることが多く、このスタイルも定着しつつあります。「mizu_no_wakusei(水の惑星)」という曲で試した音源の組み合わせですが、好みの音が出すことができました。

100313_rhythm_re.jpg

表現者として、マンネリは避けたいところです。とはいえ、安定したセットでとりあえず類似したさまざまな曲を作ってみたい。その連作のなかで制作スタイルを確立できればいい。そんなことを考えました。

投稿者 birdwing : 2010年7月11日 16:20

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