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2004年12月17日

個メディアの可能性

MP3プレイヤーを使っている方が多くなってきました。ハードディスクではなくてフラッシュメモリのタイプは、ほんとうに小さい。会社の営業の方にもみせてもらいましたが、え?これで1ギガですか?と驚くほど小さい。

日本の企業は、こういう縮小化する技術が得意です。MP3とは別の規格を推進している会社の製品なので、マニュアルではMP3に関する解説が巻末にあって、ちょっとおざなりで、その製品を購入した営業の方は探すのに苦労されたようです。

きっとメーカーのマニュアル担当者がすねちゃったんでしょうね。なんでMP3の規格の製品なんか作るんだよ、むかーっ、MP3の解説なんて巻末に置いちゃうもんね、ふん、とかいう感じで。実際に見たわけではないので、あくまでも想像ですが。

この分野でひとり勝ちしているiPodですが、CMを見ていても、やっぱり洗練されています。かっこいい。シンプルで飾らなくて、とんがったひとたちに向けた表現は、Macintoshの頃からずっと変わらない。共感が持てます。製品とCM表現がびしっと同じ考え方で貫かれているので、とても気持ちがいいものです。

これがブランディングなんだなと思っていましたが、さらにすごいことが生まれているようです。ユーザーがCMを作ってしまった、とのこと。

■『iPod』ファンが自主制作したCM、ウェブで話題に

実際に見てみました。すごい。

メーカーが作ったCMは、音楽を聴く楽しさを表現していたと思うのですが、こちらはとにかくiPod miniのデザインを前面に出して表現している。制作したのは36歳の学校の先生なんですね。休み時間を使って単に練習として作った動画が、口コミでウィルスのように広がって評価されているとのこと。

ほんの数日間で3万7000件を超えるアクセスを記録した。CMの存在は現在もブログや電子メールで広まっている。

個メディアといえるかもしれません。そして、3万7000件を超えるようになれば、マスメディアにも遜色ない立派なメディアです。

専門家の中には、マスターズさん(写真)のCMは広告の未来を示唆するものだと見る向きもある。ちょうどウェブログ(ブログ)がニュース報道に変化をもたらしているように、個人制作の広告がマーケティングにおいて大きな役割を果たすようになるというのだ。

ブログは大統領選挙のときに注目された報道としての効果だけでなく、認知や購買に結びつく広告メディアとしての可能性もある、ということですね。もちろんマスターズさんが制作したのは動画のムービーですが、それを補足する形でメールやブログというものがあったと思います。

マスターズさんのCMにはマーケティング業界も注目している。業界関係者たちによれば、このCMはプロの作品に匹敵する出来映えで、またインターネット上で初めて目にした「純粋な」広告の1つだという。個人による広告制作は今に始まったことではないが、そうした広告のほとんどはパロディーか抗議、政治的な主張を目的としているからだ。

ありそうでなかったんですね。確かに「純粋な主張」は、なかなかできないものです。(なんちゃってね)とかカッコ付きの記述をしなければ表現できない。

マスターズさんのCMは、スタイン氏が初めて目にした「正真正銘の」消費者によるCMだという。広告代理店が企業顧客の関心を引く目的で特別に制作した広告や、プロが草の根を装ったキャンペーンをしかけ、口コミ的に広まるのを狙った例なら見たことがあるが、一般の製品愛好者がテレビ用CMを制作した例は初めて見た、とスタイン氏は話す。

ますます広告代理店などが広告を仕掛けにくい時代になってきました。消費者がどんどん情報発信をはじめると、どんなにマスメディアできれいなことを言っていても信用されなくなる。消費者の発言の重みには勝てない。

でも、いちばん重要なのは、計算しないで動いているということ。きっとマスターズさんはiPodが大好きで、音楽を聴いている時間、動画の制作に浸っている時間をとても大事にするひとなのでしょう。

「自分が楽しむためにやっただけだ。動画が好きで、ビジュアル作品を作るのが好きだから」とマスターズさん。

ますます共感できます。このひとがすすめるならiPod買っちゃいます。

そして、次の言葉に泣けました。

「私はいつも孤独の中で作業している。『この作品は本当にいいのだろうか?』と不安になる。それで作品を公開することにした。フィードバックを得るために」とマスターズさん。

発信したものに対してフィードバックが得られる。ブログにしてもSNSにしても、これが最も大きなインターネットの効果です。なかには批判もあるそうですが、その批判も歓迎しているとのこと

マスターズさんの姿勢に情報発信する個人の未来を感じました。

投稿者 birdwing : 2004年12月17日 00:00

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