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2005年1月12日

パソコンがなくなる日

パソコンの事業を分離したIBMですが、以下のようなニュースもありました。

■IBMが500件の特許をすべてのオープンソース・ソフトウエアに許諾

「従来のインダストリアル・エコノミーと異なり,イノベーティブ・エコノミーにおいては,知的財産権を単に所有者に自由と収入をもたらす以上のものとして適用することが要求される。世界中の開発者の協業に基づく革新,相互運用,オープン・スタンダード,オープンソース・ソフトウエアを促進することは,市場を明確に活性化する。IBMがオープンソース開発者に開放する特許は,継続的な革新を促進するために役立つと確信している。」(IBM senior vice president, Technology and Intellectual Property John E. Kelly氏)。

巨人に比喩される企業ですが、社内のリソースを開放することによって、しなやかに革新の道を歩んでいるようにみえます。競合というよりも共生というような感じでしょうか。使い古された言葉ですが。

また、プロセッサ関連では、以下のような明暗がリリースされています。

■Intel、売り上げ2けた増

第4四半期は、マイクロプロセッサ、チップセット、マザーボード、およびワイヤレス接続製品の出荷量が過去最高を記録。マイクロプロセッサは、平均販売価格はほぼ横ばいで、エンタープライズ用とモバイル用が好調だったという。

■AMD、フラッシュメモリ不振で業績に影響

NORフラッシュメモリ市場で「競争が激しく困難な」状況にある中、メモリ部門が減収となり営業赤字が予想されることが原因。売上高は第3四半期の12億3900万ドルから微増を見込んでいる。

とはいえ「プロセッサ事業を扱うコンピュテーションプロダクト部門は引き続き上昇基調」と書かれています。トランスメタが事業転換を模索している記事もありましたが、フラッシュメモリ市場ではAMDも苦戦しているようです。

そして、やはり今日いちばん話題となっているのは、Macの新製品「Mac mini」でしょう。

■アップル、1月29日からMac miniを国内販売

液晶のモニターはもちろん、キーボードやマウスも別売りのようですが(Windows用のものを使うことができる、とも書いてありました)、国内の販売は1月29日となり、40GBのモデルは5万8590円。上位モデルは7万円140円の価格。シンプルな筐体がMacらしく、ちょっとこれは購買意欲をそそります。

マーケティング的には、以下の記事に注目しました。3つのキーワードがあると思います。

■アップル、499ドルの「Mac mini」をまもなく発売へ--米国では22日から

「これは、いままでに登場したMacのなかで最も手ごろな価格の製品だ。(Windowsからの)乗り換えを考えている人にとっては、これでためらう理由がなくなる」(Jobs)

ひとつ目のキーワードは「乗り換え」 。これはそれほど新しくはない考え方ではありますが、時期としては面白い気がします。キーボードやマウスやディスプレイはWindowsのものそのままで、マシンだけMacというように乗り換える。IBMがパソコン事業を分離した現状において。

資産管理業務に携わるカリフォルニア州サンフランシスコ在住のRaymond HowardはMacworld Expoの会場で、「これは、新しいユーザーにMacベースのコンピュータを使ってもらう方法の1つだ。iPodを購入し、次はMacでも買おうかと考えている人たちにとって、最適の製品だ」と語った。

ふたつ目のキーワードは、「クロスセル(関連性のあるものを購入)」。勢いにのっているiPodユーザーに、じゃあ次はMacでも、というのはわかりやすい戦略な気がします。

Macファンは、iPodの影響でAppleの製品に関心を持ち始めている一般の人々も、Mac miniの発売を機会に、Appleのコンピューティング技術を本格的に利用するようになるものと確信している。

タイミング的にもばっちりですね。

そして最後は、「ライフスタイル」。ノートパソコンを持ち歩くのとは別に、例えばキーボードやマウスは会社に置いて、Mac miniを持ち運ぶ、というようなスタイルが考えられる気がしますね。あるいはキーボードに変わる何かも出てくるのかもしれない。

「しばらくすれば、Mac miniのユニークな利用方法を考え出す人が現れるだろう。ノートPCと変わらないサイズなので簡単に持ち運べるし、ポートもそろっているのでテレビなどのデバイスにも接続できる。これは、高いポテンシャルを秘めたデザインだ」(Baker)

情報家電というのはコンセプチュアルな感じがしていましたが、実際にパソコンというものがなくなるような予感があります。そういえば、そんな予感を抱かせるのが、アップルという会社でした。遠い20世紀にも。

投稿者 birdwing : 2005年1月12日 00:00

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