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2005年3月 7日

リビングにPC

「インサイト」という本を先日購入したのですが、もう少しで読み終わりそうです。概念に終始するのではなく、実際のお仕事のケーススタディを紹介しながら解説されているので、とてもわかりやすい。

ハーゲンダッツが市場を開拓するにあたって、まず導入時にはアイスクリーム=子供の食べ物というイメージではなく、大人を対象とすることを明確に打ち出し、さらに時期に合わせて「(アイスクリームを食べることの)幸せ」なイメージを形成していくという流れが参考になりました。

うちの家族もアイスクリームのヘビーユーザーですが、高価だけれども買ってしまうのは、おいしいという機能的な部分だけでなく、おいしいことによって広がる何か、を求めている気がします。つまりアイスなんだけど、家族団欒をつくりだすもの、とか、ほっと一息つけるもの、とか。おいしいことが前提ですが、買い続けるためには「いつものアレちょうだい」的な生活の一部に組み込まれてしまうことが重要ともいえます。

そんなことを考えていたら、以下の記事に目が止まりました。

■インテル、リビングルームPCを見直す

同社は以前、「Entertainment PC」(EPC)というリビングルーム向けのコンピュータを発表していた。EPCは、ビデオデッキのような外見で、DVDプレイヤーやデジタルビデオレコーダー、メディアファイルのストレージ機能を兼ね備えている。しかし、このマシンへの反応が芳しくないことから、Intelはデザインや機能を見直し始めていることを、同社のDon MacDonald(ホームプロダクトグループ、ゼネラルマネージャ)が明らかにした。

PCというカテゴリーから入っている、というかレガシーな考え方を継承しているところが問題なのかもしれません。デザインを変えればいい、というわけでもないと思うのですが。

「そういった製品をエンターテインメントPCと呼ぶべきかどうかは、自分でも分からない」とMacDonaldはインタビューのなかで語った。「リビングルーム向けのPCというと、どんなものでも反射的に抵抗感を持たれてしまうと思う」(MacDonald)

その通りだと思います。PCという用語が付いているだけで敬遠するひとも多い。

IT業界に勤めていると、誰にとってもPCは身近なもの、という錯覚に陥りますが、一般的には結構そうでもない。PCとは何か、PCのとらえ方もひとによって違う。あるひとは「外出しなくてもお金を引き出せる便利なもの」と考えているかもしれないし、また別のひとは「年賀状を作成するワープロ」と考えている。「見積もり計算機」の用途だけの会社員もいるだろうし、「メール送受信機」もあり得る。そもそもPCのことをよく知っている、操作できるからといって、ぜんぜん偉くもなんともないんですよね。スペックがどうか、どれだけちいさいか、価格がいくらか、ということさえ問題にならないこともある。

「みながリビングルームにはPCを置きたくないと思っている。たとえば、息子に『リビングルームには何台のPCがあるだろう』と尋ねたとすると、『ゼロ』という答えが返ってくるだろう。現実にはすでに2台--XboxがTiVoがあるというのに」(MacDonald)

先日、遅ればせながら、子供のために「たまごっち+」を買いました。僕はそれをゲーム機だと思っていたのですが、息子にとっては「家族。これはゲームじゃない」という返事。子供のインサイトから、製品のコンセプト自体を考え直すのもよいのでは?

投稿者 birdwing : 2005年3月 7日 00:00

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