2006年2月11日
ツギハギ的な平衡感覚。
ぼくにはふたりの息子たちがいるのですが、それぞれの個性を活かしつつ、きちんと彼等と接するのはなかなか難しいもんだな、とよく思います。年齢差がなければいっしょに遊ぶこともできそうなのですが、離れているのでそれもできない。
3歳の次男は、最近かくれんぼ&怪獣ゴッコにはまっています。といっても隠れるのはいつも自分なのですが、長男の机の下に隠れてじっと待っている。ぼくがみつけると、がおーっと出てきてエレキングやゴモラなどの怪獣になって(古い怪獣ですが、最近のウルトラマンには出てくるらしい)、そこから怪獣ゴッコがはじまるわけです。「あんよキック」とか、短い足で蹴っとばしてきて、なかなか痛い。
小学生の長男といえば、デュエル・モンスターズなどのカード自作に凝っています。強さなどの数値を別紙に抜き出していて、パソコンは使っていないけど、ある意味データベース的なものも作っている。古いパソコンを彼にあげるつもりですが、あんまりインドアなのもどうかと思うので「キャッチボールやろうよ」「散歩しようよ」と誘うのだけど、なかなかのってこない。今日も散歩に行ったのですが、結局中古ゲームショップに寄ってゲームを買うことになってしまいました。やれやれです。
最近は、兄弟のどちらかに玩具を買ってあげるということはできなくて、もし買うとすればダブルで買わなければならない。出費も2倍ですが、選ぶ時間も2倍です。怪獣やゲームだけにのめり込みすぎるのも問題だと考えて、音楽的な玩具や絵本などを探そうとすると、それこそあっという間にデパートを3時間もうろうろしている、なんてこともあります。
さらにぼくはぼくで自分のやりたいことがあるわけで、それは仕事であったり、仕事のための勉強であったり、映画を年間100本観たり本を100冊読むという自分に課した課題であったり、趣味の音楽だったりもします。痛くてたまらない歯を抜いたり、故障しがちな身体を修理もしなくちゃならない。
あれもこれも、やりたいことが山積しているのですが、そこで思ったことは、基本的に人間は並行して2つ以上のことを処理できないんじゃないかということです。IT関連では、古い言葉ではマルチタスクなんてことがいわれたこともあり、仮想化(Virtualization)というのも最近注目を集めているキーワードです。いま梅田望夫さんの「ウェブ進化論」を読みはじめたところで、この本は非常に刺激的な指摘が満載なのですが、「夫婦共働き(ダブル・インカム)」に代わってリアルとインターネットの世界で夫婦お互いが稼ぐ「クアドラプルインカム」の時代がくる、というようなことも書かれていました。確かにその可能性を感じるのですが、ひとりひとりが費やす時間が決まっていて、思考の道具として主として言葉を使う(もちろん空間的な把握をする右脳的な機能もありますが)ぼくらとしては、やはり線的(リニア)に日々の生活を処理をするしかない、と思うんですよね。
女性は脳の構造から「ながら」が得意である、ということを聞いたことがあります。おしゃべりしながら手を動かすことだって、男性と比べると簡単にできるそうです。だからこの見解は非常に男性的な思考かもしれませんが、たとえば人間が並行して何かをしようとする場合、どうしても「犠牲にしている」という感情が生まれてしまうんですよね。仕事で忙しいときには家庭を犠牲にしている、家族と過ごしているときには自分の時間を犠牲にしている、趣味をやっているときには仕事や家庭を犠牲にしている。ぼくだけかもしれないのですが、そんな気持ちが生じてくることがあります。あるいは大きな理想があると、その理想と比較して現状があまりにもつまらなく思えてくる、なんてこともあります。平衡感覚が大事なのに、並行して複数のことを考えるときにバランスが崩れる。
そこで考えたことは、ひとは線的にしか生きられないものである、という風に割り切ってしまうことです。忍者でもなければ分身なんてできないし、ひとりがふたつの人生を生きることはできない。だから、いまやっていることに集中するのが大事だ、と。長男を連れて映画に出かけているときには、家に残してきた次男のことは考えない。長男と過ごす時間を十分に生きる。次男とかくれんぼをしているときには、趣味のことは考えない。かくれんぼに集中します。仕事に集中しているときには(申し訳ないけど)家庭や、自分の趣味のことは忘れようと思います。ただし緊張が解けてぼーっとする時間や、ブログなどを書く時間には横断してそれらを俯瞰できそうなのですが。
しかしながら、欲ばりなぼくは、いろんなことをやりたいと考えています。ではどうするかというと、集中する時間を、ぱっぱっと切り替えてツギハギ的にすべてをリミックスしていけばいいんじゃないか。短いパーツを組み合わせていくイメージです。休日の午前中は仕事のための勉強に集中する、午後は家族たちと過ごす時間に集中する、そして夜は映画を観たり趣味の音楽を楽しむ。忙しい仕事が終わったあとには家族や趣味の時間をつくる。そしてきちんと眠る。目の前にない何かを思い浮かべて、もやもやした中途半端な気持ちで過ごすよりも、そちらの方がいいんじゃないかと思いました。そして、そのままではバラバラになってしまうので、平衡感覚(バランス感覚)をもって自分を統合していく。そんな風にして、刹那を積み上げるかたちで十分に生きてみたいものです。
歯の痛みがおさまって、今日はやりたいこと満載な一日でした。そういえば長男とは将棋もしたのですが、王がどんどん前に出てくる手を使って、なんだかものすごく新鮮でした。そんなのありか?という感じ。飛車と角抜きのハンディで戦って結果的には勝つことができたのですが、1回ごとに手ごわくなっている。若いとやっぱり頭が柔らかい。早く父を負けさせるぐらいに成長してほしいものです。次は次男だな。
投稿者 birdwing : 2006年2月11日 00:00
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