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2006年2月11日
誰も知らない
▽cinema06-014:絵本のような、けれども痛みのある現実のような。
誰も知らない [DVD] バンダイビジュアル 2005-03-11 by G-Tools |
レンタル屋さんで映画を選ぶとき、ぼくは観る前になるべく余計な知識を入れないようにしています。映画監督や俳優は目に入ってしまうことが多いけれど、ほとんどの映画はジャケットのあらすじを読んで、ぴんときた映画を借りるようにしています。もちろん話題になっている映画を借りることはあるのですが。
この「誰も知らない」は話題になっていたことを知っていたため、実はあらすじも見ないで借りてしまいました。そんなわけで、最初の展開でおおっ?と思い、ぐいぐい引き込まれていった。やさしかったひとが実は自己中心的だったり、純真だった少年が身体的にも心も汚れてきたり、それが日常生活のなかで淡々と繰り返されるところに、静かなざわざわ感がありました。と、そこで思い出したのは、先日、茂木健一郎さんの引用から観た小津安二郎監督の「東京物語」です。静かな映像で緊張感のある人間関係を描くという意味では、近いものを感じました。4人の子供をひとりで育てる(というか学校にも行かせないでお金だけ与えている)母親役のYOUさんに明(柳楽優弥くん)が「母さんは勝手だ」というと「なによ、あんたのお父さんは出て行っちゃったのよ。どっちが勝手よ」というところなど、その台詞がいつ出てくるのかと思っていたのですが、なかなかうまいところで使っていると思います。
映像は生活の臭いがするような映像で、床やどろんこの足など、低い位置からの映像が印象に残りました。ちょっとぶれたりかすんだ感じの映像は、どこか絵本的という感じもした。あさのあつこさんの「いえでででんしゃはこしょうちゅう」という本を子供に買ってあげたことがあったのですが、そんな児童小説っぽいイメージもあります。切ない、けれどもとてもいい映画でした。2月11日鑑賞。
公式サイト
http://www.kore-eda.com/daremoshiranai/
*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(14/100冊+14/100本)
投稿者 birdwing : 2006年2月11日 00:00
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