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2006年2月12日

変化の時代に必要なもの。

社会や環境の変化に対してどのように対応するかというと、大きく分けて3つのタイプがあると思います。変化を好意的に迎えてその波にのるタイプ、変化を見守って日和るタイプ、変化を否定もしくは批判するタイプです。ITやインターネットの世界では、ほんとうに変化の連続だったような気がしています。そして、バブル期に隆盛した企業や技術が安定したかと思うと、次のステージでは崩壊していくことも多くありました。変化の波にのることはハイリターンはあるかもしれないけれど確実ではなく、ハイリスクがつきまとうものです。だから見守っていて機会を逃してしまったり、逆に否定するような動きもある。

梅田望夫さんの「ウェブ進化論−本当の大変化はこれからはじまる」を読んでいるところですが、冒頭の部分からいろいろと考えさせられました。この本の最初の部分で梅田さんが俯瞰してみせてくれているように、そもそもパソコン自体が普及することが考えられなかった時代もあったわけです。「ウェブ進化論」からの引用ですが、60代半ばの経営アドバイザーの方が、経営者たちには「インターネットを使うひとなんて誰もいませんからねぇ」ということから、インターネットが時代を変えるなんてことは信じられない、と懐疑的だったというエピソードがあるのですが、未来のみえない現在にいるからわからないけれども、未来から過去としての現在を振り返ると重大な転機だったということもあるはずです。たとえば、自動車や電話などの発明だって、それが世のなかに普及して生活を変えてしまうなんてことは信じられていなかった時代があります。いまでこそ普通に道路にはクルマが走っていて、携帯電話を使っていつでもどこでも話ができるけれど、はるか昔にクルマや携帯電話が登場するという話をしたら、それこそ馬鹿馬鹿しいお伽話だと笑われてしまったかもしれない。

グーグルの凄さについては、リリースが発表されるたびに驚かされていたのですが、この梅田望夫さんのなかでそのミッションが「知の世界を再編成する」ことであると整理されています。ちょうど茂木健一郎さんが著作のなかで現代で必要なのは情報や知の「整理」だと読んだことを思い出して、やはり情報化社会の時代の流れに合っているんじゃないかと実感しました。

検索エンジンのグーグルというとわかりやすいし、何も脅威的なものは感じないのですが、「知の世界を再編成する」グーグルと置き換えてみると、知的なもの、再編成が必要なビジネスはすべて事業領域となるわけで、ものすごい脅威を感じます。そのわかりやすい事業例がGoogle Earthだそうですが、3D的なデモをカンファレンスで見たときには、ほんとうにショックを受けました。21世紀になればいつかきっとどこかの企業でやるんじゃないかという気はしていたんですが。

変化を拒むときに何を重視しているかというと、いまいる場所の確かさ、だと思います。いまいる場所が豊かで恵まれていて安全であれば、あえて動く必要がない。けれども、その確実性が失われつつあります。そこで、変化をよしとするときに重視するものといえば、場所ではなく自分の確かさ、ではないでしょうか。スキルはもちろん、考え方がきちんと体系化されている必要があると思います。個人はもちろん、法人であっても必要なことです。

そして考え方にしてもスキルにしても、予見と洞察ということが重要になる気がしました。検索に着目したところをスタートとして、「知の世界を再編成する」ビジョンを掲げていったことにグーグルの予見と洞察の鋭さを感じます。ソニーやホンダといえば世界に通用する日本の企業であり、次のソニーやホンダをめざせということで多くのベンチャーが生まれました。次のグーグル、というのもよく言われることですが、技術的なことはもちろん、変化の時代を見据えた「知の世界を再編成する」というようなビジョンが重要ではないかと思います。

投稿者 birdwing : 2006年2月12日 00:00

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