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2006年4月 1日

ビジョンを残す。

「ビジョナリーカンパニー」という本をやっと半分あたり(第六章「カルトのような文化」226ページ)まで読み進めました。さすがに多くのひとに絶賛されている本だけに、読んでいるといくつものキーワードが腑に落ちる印象があります。同時に梅田望夫さんの「ウェブ進化論」を再度目を通してみたのですが、新しい「あちら側」の企業であるGoogleの文化などの点で合致することが多い。「ビジョナリーカンパニー」の初版は1995年ですが、その洞察には時代を超えて通用するものがあったのだと思います。こんなにすばらしい本を未読の山のなかに埋もれさせていたのが恥ずかしい。ぜひ続編も読んでみたいと思います。

ところで、仕事をしながらいろんな記事に目を通していたところ、不覚にも読んでいて泣けそうになってしまったのが、ITMediaの「ひきこもりからIT社長に "paperboy"の軌跡」という記事でした。paperboy&co.についてはレンタルサーバーを探していたときに知ったのですが、その社長の家入一真さんのブログを以前に拝見したときは、デザインも優れているし、何よりもお子さんの何気ない生活の一部を切り取った写真がほのぼのとしていて素敵です。訥々としているけれど、ユニークなコメントも面白い。

確かに社長というよりもクリエイターというイメージがあります。「まさか社長になるとは」と書かれていますが、きっとその言葉の通りだったのでしょう。ひきこもりから社会に出て、ネットで女子高生だった奥さんと出会い子供も生まれて、このままではいけない、なんとかしなければ、と思いつつ、それでも好きなことをやりたいと自分の好きなことに打ち込んだ結果、ひとも集まってきた。そんな経緯があるようです。

家入さんの人柄によるところが大きいのではないかと思うのですが、ITMediaの記者もその人柄をうまく伝えています。書き方がうまい。うまいだけではなくて、家入さんの生き方に共鳴したことが文章全体を覆っているような印象を受けました。署名原稿で、岡田有花さんという記者が書かれているようですが、このような文章を読むとやはりプロは違うと感じます。もちろんブログの文章も楽しいけれども、紙の新聞を含めてクオリティの高いメディアの取材記事は、これからも存続してほしい。ブログの脅威にさらされることがあるかもしれないのですが、プロの記者の誇りというのは、やはりぼくには及ばない高みにあると感じました。

「ビジョナリーカンパニー」には、ビジョンによって存続する企業は、スタート時から明確な方向性があったわけではなく売る製品も決まっていなかったことさえある、ということが書かれていました。ソニーにしても最初は電気ざぶとんのようなものを作っていたし、ヒューレットパッカードもとにかく売れるものを何でも売った。しかしながら、ある時期に何かを売るという目標とともに存在意義のようなビジョンを固めていきます。文章にしていない不文律であってもかまわないのだけど、なぜわれわれが存在するのか、という考え方を明確にしていく。市場によるシェアや売り上げの数値に固執するか、存在意義をテツガクとして持つか、という点で「時代を超えて」創業者の意思が存続するかどうか、ビジョナリーカンパニーになるかどうかという分岐となると書かれています。

結局のところ、どんなきっかけでもいいからまず眼前にあるものを売る。とはいっても、自分の好きなことに真摯に向き合う、集中することが大切なのでしょう。そうして、軌道にのったところで、あらためて存在意義を確かめる。ビジョンを考える。力を持ったビジョンを確立することができれば、創業者が引退しても、その企業文化は残りつづけるわけです。

ぼくは次の世代に何を残せるだろうか。仕事はもちろん、家族に何が残せるのか、ということを考えました。あまりにも大きいものを考えすぎると手をつける前に挫折しそうなので、試みとして、このブログに書いてきたことのエッセンスをまとめてみようと思っています。

いい天気です。今日は夕方から親戚の結婚式に出席します。夜桜を見ながらの結婚式になるのでしょうか。喘息の次男が心配だけど、たまには外出もいいものです。

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■社内研究開発制度「ペパ研」から、なんとインディーズレーベルまで立ち上げたとのこと。紅白をめざすそうです。しかも、デビューしたシンガーは会社の広報の女性?うーん、面白すぎる。というかすごい。こういう楽しいことを考えていたいですね。

http://ieiriblog.jugem.jp/

■paperboy&co.広報Kayoさんのプロモーションページです。視聴したところ、さわやかでいい感じ。ぼくの曲も使ってくれないかなあ。それこそ新曲をがりがりと徹夜で作って無償で提供しちゃうのですが。

http://kayo.in/

投稿者 birdwing : 2006年4月 1日 00:00

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