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2007年5月23日

ワークスタイル・イノベーション。

久し振りに短期間でハードなお仕事をしたのですが、率直なところ楽しかったです。

仕事が楽しいというと不謹慎に思われるかもしれないのですが、無愛想に嫌々やるよりも楽しんじゃったほうが得じゃないかな。人生、損得勘定で割り切ったほうがすっきりすることもある。何もないところからカタチを生み出すような仕事はプレッシャーもあるし、安全な場所から言いたい放題きついことを言うひともいたりして、腹が立ったり凹むこともあります。とはいえ、そんな大変さやネガティブ面も含めて楽しんじゃったほうがいい。

しかしながら、圧倒的に感じたことがあったので書いておきます。それはつまり、
年齢には勝てん(苦笑)
ということです。

若いスタッフが徹夜で仕事をするなかで、うひゃーこれについてはいけませーん、これに付き合ったら正直なところ死ぬかも、と思いました。という自分だって若い頃には(遠い目)、土日だろうが深夜だろうが働いて、始発で帰ったり会社の椅子を互い違いにしてベッドをつくって寝て泊まったこともあるのですが(これがまた身体が痛くなるんだな)、もはやそういう仕事はできそうにもない。

がむしゃらであればいい、若いひとのスタイル

若いうちはワークスタイルや効率的な仕事の方法論に関心がありますよね。ぼくも仕事のスタイルを確立したくて、啓蒙書だとか実用書を数え切れないほど読みました。企画に関する本であれば、しょうもない本も含めて、本棚が全部埋まるぐらい読んだ時期があった。要するにスマートに仕事をしたいし、できる男になりたいと思うわけです。できる男はなんとなくモテそうな感じもするし(笑)。

とはいえですね、私見だけれども、若いうちはスタイルは不要かもしれない、と思いました。乱暴なことを言ってしまえば、がむしゃらに仕事をする体力と熱意さえあればいい。必要なのは「がむしゃらさ」です。徹底的にクオリティにこだわって、自分の仕事哲学を守り、ときには上司と喧嘩するぐらいの、がむしゃらさ。それさえあればスマートさなんか求める必要はないんじゃないか。

むしろ、この仕事はこれぐらいでいいや、というように、自分で仕事の限界を決めてちいさくまとめてしまうほうがよくない。クールなスタイルのようにみえるけれども、そちらのほうが格好悪い。また、長期的にみても、ここまでと線を引き続けると、ここまで以上のことはできなくなる気がします。余剰に頑張ることが自分を成長させるものです。余剰さを求めない人間に深みは生まれない。

元気づけることが大切、もはや若くないひとのスタイル

一方で、年齢を重ねた人間にもがむしゃらさは必要だけれど、それだけではまずい。熱いおじさんもかっこいいけど、熱いだけだと、むさくるしいですよね(苦笑)。何が必要かというと、がむしゃらにやっている若いひとたちの仕事を俯瞰し、全体の方向性を見極めることが大切ではないか。

このとき、いちばん大切なのは、「元気づけてあげること」ではないでしょうか。自分が元気になる、じゃなくて。いや、元気なことはいいんだけど、若者と元気さ比べをしても意味ないですよね。

がむしゃらにやっている若いひとたちですが、ふと冷静になったとき、すごく凹むときがあるものです。凹みやすいぼくは、特にそういう傾向がありました。オレっていま何やってるんだろう、オレのやっていることって無駄じゃないのかな、何になるのかな、なんだかせつなくなってきたぞ、人間はどこからきてどこへ行くのでしょう(泣)のように、最終的にはブレードランナー的な人生とはなんぞや?という命題に突き当たってしまう。

そんなガティブループにはまっている若いひとの思考を破壊して、元気を与えてあげる必要がある。

ときには根拠のない奨励も必要です(笑)。おお、すげーよ、これいいじゃん、よくこんなの考えたなー、素晴らしい、さいこー、プレゼン取れそうな気がしてきた、いっけー!とか。

ところがそんなときに、ダメだこんなの(ぼそっ)、と言ってしまうと最悪です。疲れているひとたちを追い込んでどうする。確かに年齢を重ねた人間が若いひとたちの仕事に付き合うと疲れるのだけれど、そんなときだからこそ、やせ我慢が必要ですね。トップに立つべき上司や経営者が疲れていると、その疲れが伝播する。疲れているのは自分だけではないという認識が必要です。指揮をする人間も疲労するけれども、現場はもっと疲れているわけで。

余裕のある大人の思考へ

そんな余裕は、数々の修羅場を潜り抜けてこそ得られるもので、のほほんと仕事をして、こんなもんでいいかーという適当なやり方をしていると結局のところ経験値も知識も高くならない。ドラゴンクエストみたいなものですかね。

ただ、逆説的にいうと、年を取っても徹夜さえ辞さないがむしゃらな働き方ができると凄い。知識や経験が豊富であることに加えて、思考も柔軟で、さらにタフであると究極です。身体鍛えるか!と思いました。よーしジム通いだ、とか短絡的に鼻息が荒くなったのですが、いや、それより健康がまず最初でしょう、と。体力なさすぎ、というよりも体調悪すぎで不健全なので。へなへな。

年齢を重ねた人間の魅力は、ひとことで言ってしまうと「余裕」なのかもしれません。若いと余裕ないもんな。仕事だけでなく恋愛などもそうですね。自分の想いだけを突きつけるのは余裕がなくて、相手を考えられることが心の余裕であり、やさしさなのかもしれないし、それが大人の人間的魅力ともいえます。

というぼくはといえば、いつもいっぱいいっぱいで、体力どころか余裕もなさすぎですが(苦笑)。

あらゆる仕事をするひとに共通のワークスタイルや方法論もあるかもしれませんが、年齢に合わせたものもあります。個々にカスタマイズする必要もあるでしょう。

仕事を通じて人生のスタイルを考えてみたいと思いました。

投稿者 birdwing : 2007年5月23日 00:00

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