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2007年10月 4日

仕事のテツガク。

10月1日に内定式を行った会社も多く、2009年度の新卒採用もはじまるとのこと。街を歩いているとリクルートスーツ姿の学生さんをみかける機会が多くなりました。ひょんなことから、仕事である企業の採用向けコンテンツ制作を手がけているので、最近の就活について考えたり、そもそも仕事とは何だ?など青くさいことを考えたりしています。

仕事を含めて人生とは何だ?と考えさせられた書籍といえば、ロバート・ハリスさんの「ワイルド・アット・ハート」ですが、昨晩読み終わりました。こちらはいずれ感想を書くことにしましょう。そして、BRUTUS最新号「言葉の力」特集といっしょに購入したのが、次の2冊でした。

4887595654働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。
戸田 智弘
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2007-07-12

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453216592Xカンブリア宮殿 村上龍×経済人
テレビ東京報道局
日本経済新聞出版社 2007-05-26

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最初の「働く理由」から読みはじめているのですが、2冊目の「カンブリア宮殿」は作家の村上龍さんと経済人の対談集です。テレビで放映されていたものをまとめたらしいのだけれど、最近、ほとんどテレビを観ない自分としては、へえ、こんなのあったんだという感じです。活字を読んでも十分に面白いと思うのですが、お話を聞くのも面白そうです。説得されそう。テレビで観ておけばよかった。

「働く理由」は4分の1ほど読み終わるところですが(現在、P.68)、面白いと思った点がふたつあり、ひとつは「好きと相性は違う」ということと、「やってみなければわからない」ということです。

どんなに好きな仕事であっても、自分の性格や能力や過ごしてきた背景から相性の悪い仕事もある。好きな仕事、やりたい仕事にこだわると非常にピンポイントになりますが、相性のよい仕事であればかなりゆるい範囲で仕事を選択することができます。なるほど。

「好き」と「相性」について語られた次の部分は、非常に納得しました。

好きと相性って何が違うのだろうか? それは「好き」や「嫌い」は頭で考えることであるのに対して、「自分に合う」「合わない」は肌で感じることという点だ。

頭で好きだと思っていても、身体が拒んでいる状態では相性が悪い。そのぎくしゃくした状態が長く続くと、どこかが壊れていくような気がします。好きだという拘りを捨てて、自分に合っているものを選択したほうがよい場合もある。

この相性という観点は自分が中心の発想ですが、自分がやりたいことではなく、お客様がやってほしいことをやることが重要だったりします。株式会社ジョイコンサルティングの木村志義さんの言葉を以下に引用します(P.45)。

自分のやりたいことをやるために起業する、
という話をたまに聞く。あまりぴんとこない。
なぜなら、お客様は、
自分のやりたいことに対してお金を払うのではなく、
お客様のやってほしいことに対して、
お金を払うからだ。

そりゃそうだ。この自分中心の意識を、どれだけ他者からの視点に変えられるか、ということが社会人としては重要かもしれません。大人と子供の認識の違いは、他者の視点に立って自分の利益を捨てられるかどうか、ということにあるような気もしました。子供は、これぼくのだ!と拘る。大人は、しょうがないな、と大切なものを譲ってあげることもできる。

このマッチングは、結婚にもなぞらえることができます。高橋俊介さんの言葉で引用されています(P.32)。

結婚を考えてみるといい。好きな異性のタイプと、
幸せな結婚生活を送るのにふさわしいパートナーのタイプは、
必ずしも一致しないということに、多くの読者はうなづいてくれると思う。
好きというのは単なる好みの問題だが、結婚というのは具体的な日常生活だ。
そして生活とは、好きという気持ちや憧れだけで
すべてがうまくいくわけではない。

仕事選びは恋愛や結婚に似ている、のかも。

ただ、この流れで考えてしまうと、仕事は仕事、趣味は趣味と分離するような気がするのですが、やりたいこと、好きなことは最初からあるのではなく、何かをはじめるとそこから生まれる、ということが語られていました。イギリスの音楽評論家、アーネスト・ニューマンの言葉を引用(P.54)。

偉大な作曲家達は、意欲が湧いたから作曲に取り組んだのではなく、取り組んだから意欲が湧いたのだ。
ベートーベン、バッハ、モーツァルトは、毎日毎日、来る日も来る日も、作曲中の作品に取り組んだ。彼らはインスピレーションが沸くまで待って、時間を無駄にするようなことはしなかった。

これもわかる。いやだなあ、と思っていることも、とりあえず集中していると面白くなってきたりするんですよね。恋愛や結婚においても、いっしょに暮らしていくなかで、なんとなくふたりでいる空気感に癒されたり落ち着いたりする。だからそれほど熱愛ではなくても、いっしょにいる時間が心地よかったりする。

ところで、やりたいことなんて探さなくてもいい、という言葉を聞くと、なんだかほっとしませんか?ぼくはもっと早くにこの言葉を理解しておけばよかった。

自分探しとか、人生の意義とか、そういうことを過剰に求めすぎると、逆に楽しいはずの人生も楽しくなくなってしまうことがあるような気がしました。これがやりたいっ!という情熱なんかなくても、とりあえず何か仕事をはじめてみる。その仕事のなかに埋もれた原石のようなものを発見する。

待つチカラ」というエントリーでも書いたことがあるのですが、やみくもに血眼になって探すのではなく、のほほ~んと待ち続ける戦略だってある。果報は寝て待て、という戦略でしょうか。

ところで採用の話に戻るのですが、現在はひとりの内定社員を採用するために、100万円ぐらいのお金がかかっているそうです。つまり人材募集の広告であるとか、会社説明会であるとか、そのためのコストがかかる。10人内定者を予定するのであれば、100万円×10人=1000万円がかかる。内定を辞退されてしまうと100万円の損失、といえるかもしれません。企業によるとも思いますが、内定者を逃さないための努力も大変らしい。

いまの就活はほとんどネットによる情報収集が中心のようで、メインとなるのは「みんなの就職活動日記」「リクナビ」とか。最近の採用サイトは写真がふんだんに掲載され、オフィス写真の撮影サンプルまで媒体資料には掲載されています。えー学生さんにとっては夢を崩すようですけどね。

とはいえ、ぼくの場合は就職情報のなかで何が面白いかというと、人のインタビューですね。いろいろと採用サイトを巡回していて面白いな、と思ったのが、以下のKizasiを開発した方のお話です。

http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=000997

なんとなく転職したくなって困った(苦笑)。さすがライターさんの力量です。というよりも、そもそもKizasi開発者の稲垣陽一さんが、かっこよすぎです。

投稿者 birdwing : 2007年10月 4日 23:31

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