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2008年7月31日

技術をどう開発するか、伝えるか。

技術の進歩に関心があります。新しもの好きということもあるのだけれど、いま使っているコンピュータがもっと使いやすくなってほしいし、こいつはすげーっ!というような何かが生まれてほしい。21世紀に生きているのだから、変化の過程を堪能したい。ロボットはもちろん、ブログのように技術を含めた文化の行く末も追いかけていきたいと思います。追い回されないように気をつけながら。

たとえば、iPhone3Gの登場で注目を集めているタッチパネル。手で触れるなど直感的なインターフェースに、ぼくは個人的な関心があります。「指で触れる、操る。」のようなエントリーで、マイクロソフトの「Microsoft Surface」について書いたこともありました。

面白いなと思ったのは、マイクロソフトが公開した球面コンピュータ「Sphere」です。映像を見たほうが早いと思うのでYouTubeから。

■Microsoft Surface Sphere

水晶玉を操っている占い師あるいは魔法使いのようなイメージも重なるのですが、写真などのイメージを指先で操作し、ぐっと押すと反対側に飛ばすこともできるらしい。これは、反対側にいる別のひとに「ほら、これ見てよ」というようなコミュニケーションをするときに使うようです。

CNETJapanの「MSの球面コンピュータ「Sphere」--研究者が語る将来性」の記事から引用します。

Microsoftは独自に球体コンピュータの概念を追求してきたが、ハードウェアの研究は単独では難しいと結論づけた。そこで、美術館、博物館での展示やマーケティングディスプレイなどの用途ですでに球体コンピュータディスプレイを市販しているGlobal Imaginationのテクノロジを取り入れることにした。「Magic Planet」という名前で知られている球体ディスプレイは、直径16インチ(約40.6cm)から高さ6フィート(約1.8m)まで、さまざまなサイズがあり、アクリル製で、特殊コーティングにより、投影された画像をくっきりと表示できる。

独自で開発ではなく、既に開発しているところの技術を取り入れるところがマイクロソフトらしいと思いました。しかし、この記事に書かれているように、面白いんだけれど一体どこに・・・という困惑があります。

最近、デジタルサイネージと呼ばれる屋外広告の話題も聞きます。液晶などによって屋外広告で動画などでみせる設備が生まれていますが、それに近い用途でしょうか。しかし、実践的な開発というよりも、どこか注目を集めるための奇抜なプロトタイプ(試作品)に目的がある気もしています。人寄せのような意図ばかりが感じられて、いまひとつ疑問がある。

「Sphere」の技術はちょっと現実離れしている気がするのですが、マイクロソフト関連でもうひとつ面白いなと思ったニュースは「Mojave」プロジェクトでした。サイトも洒落ています。50人を越えるユーザーの動画のサムネイルが表示されていて、マウスを動かすとウェーブする。楽しい。

■The "Mojave Experiment"(英語)
http://www.mojaveexperiment.com/
080731_mojave.jpg

Windowsの最新OSはVistaですが、Vistaに関しては使いにくいという悪評が多い。会社でもいまだにXPの機種が多く、売れ行きも芳しくないということも聞きます。

このMojaveというプロジェクトは、ちょっとドッキリカメラっぽいのですが、「マイクロソフトの新しいOSを使ってみてくれませんか」ということで、いろんなひとに使ってもらいます。その結果、ほぼ9割を超えるひひとに、すげーっ!という声をいただくのですが、実は・・・。

その後、テスターのみなさんが使っていたOSはVistaだった・・・というタネあかしがされます。広告にも似たようなものがありますが、これは広告代理店を使わずに、マイクロソフトが自ら試みたテストをまとめたものだとか。コーラの宣伝だったかと記憶しているのだけれど、銘柄を示さずに「どちらが美味しいと思いますか?」という声を聞く手法にも似たところがありますね。

やはりユーザーあっての技術なのだな、と思いました。ユーザーの声に勝る広告はない、とも。

とある事例制作のコンサルタントの方が、映画のCMで「○○サイコー!」という試写会の参加者の声がわざとらしくて効果がないのではないか、実際に映画を観たひとはサイコーなんていわない、という考察をされていました。確かにそうかもしれません。ただ、臨場感を伝えることはできると思います。

答えを誘導するような質問によって無意識のうちに言わせるように仕向けた言葉ではなく、ユーザーが自発的に語った言葉は強い。それがネガティブな意見であっても、「Vistaはひどい」というようなマイナスの言葉があるからこそ、よいという評価も真実味を帯びるのではないでしょうか。もちろん、この動画がやらせではないことが前提ですが。

CNETJapanの「「Vista」復権計画--MSの「Mojave」プロジェクトとその背景「から次を引用します。

 「今後数週間以内に、Microsoftの顧客がWindows Vistaに対して抱いているかもしれない根強い不安感に対処するキャンペーンを開始する。さらに2008年中に、顧客にとってのWindowsの意味および価値を再定義する、より包括的な活動を行う」(Ballmer氏)
 しかし、Mojaveプロジェクトの力となったのは、Vistaは不当に悪く言われていると語るBallmer氏を初めとするMicrosoftの社員ではなく、一般の人たちだ。
 数年前のAppleの「リアルピープル」キャンペーン、Folgersなどの昔ながらのコマーシャルを思い起こさせるMojaveプロジェクトは強い武器になるかもしれない。

iPhoneの快進撃によりMacの売り上げも伸びているとか。マイクロソフトとしては、アップルに対抗するキャンペーンやプロモーションが重要になってきます。しかし、単なるイメージ戦略ではなくユーザーに語らせるという手法のほうが効果的ではないかと思いました。

ブログのようなCGMの場でもVisitaを擁護する動きがあれば面白いのですけれどね。これもまた広告のプロによって作られたイメージや、意図的な「やらせ」ではなく。

投稿者 birdwing : 2008年7月31日 23:59

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