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2010年5月16日

[DTM作品] AOBA(青葉)

5月に入って樹木の葉の緑色が濃くなってきました。晴れた空に青葉はよく映えます。まばゆい。外に出て青葉を眺めていると、この季節、風のなかにすこしだけ夏の匂いがして気持ちがいいですね。ぐんぐん伸びて葉をひろげていく樹木をみているだけで、ぼくらのなかにも力が沸いてくる。

100516_sora.JPG

共感覚者の岩崎純一さんが書かれた本「音に色が見える世界」で知ったのですが、日本語にはもともと色彩語として「あか・あを・しろ・くろ」の4つしかなかったそうです。つまり、緑は青とよばれていた。だから木の葉の緑は「青葉」なのでしょう。ちなみに共感覚とは文字や音に色がみえること。通常の感覚しか持たないぼくには想像もつきませんが、世界は色にあふれていることとおもいます。

いま色は細分化され、名前が付いています。和色としては自然から名前を取った色名が多いようです。「和色大事典」から、この時期の樹木の緑色の移ろいを色に当てはめてみると、次のような印象でしょうか。

淡萌黄うすもえぎ #93ca76
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鶸萌黄ひわもえぎ #82ae46
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千歳緑ちとせみどり #316745
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というわけで、青葉をイメージした曲を作ってみました。

風に揺れながら静かに佇んでいるけれど、樹木の幹のなかにある管は水を吸い上げ葉脈まで運んでいきます。成長のために力強く呼吸もしています。そんな木々の葉の力強さ、活力、生命力のようなものをイメージしました。タイトルはそのまま「AOBA(青葉)」です。

ブログで公開します。お聴きください。

I programed this tune by my laptop computer. The name of this tune is "AOBA". "AOBA" is green leaves in Japanese. I made this tune imagining vitality of the trees in May. It is quiet, powerful vitality. I'd like you to listen to this tune.


■AOBA(4分06秒 5.63MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing


制作メモをすこし。

前回『ハルノネイロ』という曲を作ったのですが、あらためて聴きなおしてみるといまひとつ納得できませんでした。そこで基本的には前回の制作コンセプトを踏襲しながら、新しい曲づくりを試みました。したがって制作の基盤にあるのは、前回のエントリで引用したようなシューゲイザーやエレクトロニカの音楽です。

しかし、今回制作の途中でイメージしたのは、ベック、そしてアンダーワールドらしい音でした。特にベックのループ、サンプリングを使いながら、ややローファイな音づくりがアタマに浮かびました。以下のアルバム、そしてベックがシャルロット・ゲンズブールをプロデュースしたアルバムはいまでもときどき聴きます。


B000I2IZ20ザ・インフォメーション(DVD付)
ベック
ユニバーサル インターナショナル 2006-10-06

by G-Tools

B002UMFO6QIRM
シャルロット・ゲンズブール
ワーナーミュージック・ジャパン 2010-01-27

by G-Tools
B000UVXLMSOblivion With Bells[日本語解説・DVD・ボーナストラック付き国内盤]
アンダーワールド
Traffic 2007-10-03

by G-Tools


リズムは、まずTTS-1のドラムにリバーブをかけて生音を切って、空気感のある背景音を作成。基本的なリズムはフリーのドラム音源Rhythms v3.6.1を使っています。その他、パーカッション(コンガ)の音はループ音源。そして中間部分では、ノイズを切り貼りしてリズムを作りました。

うにょうにょいっている音は、これもフリーのSEEQ-ONEというソフトウェアシンセ。こんなインターフェースです。

100516_SEEQONE.jpg

このシンセ、はっきりいって使い道がないなあとおもっていたのですが、こういう風に使えばいいんですね。プリセット音を3パターンぐらいかえて、4小節ぐらいのフレーズをWAVE化して使っています。ブラスのヒット音、その他パッド系の音はGrooveSynthです。

クールな音を作りたいと考えているのだけれど、耳にやさしい音を意識するとありきたりの平凡な音楽になってしまう。一方で既存の枠組みを壊そうとすると困惑するような音になる。夢中になって取り組んで後で冷静に聴いてみると、いつもと同じようなフレーズを使っていることも多々あります。なかなか匙加減が難しいものです。

しかし、考えようによっては、樹木は毎年葉を散らし、けれども次の春にはまた新しい葉をつけます。葉は同じようでいて、毎年新しい。禅問答のようですが、異なるものを作りつつ同じであって構わないのではないか、とおもいました。まったく同じものはできない。時間は螺旋状に進んでいくわけで、いま存在する地点は昨日/数ヶ月前/去年/遠い昔のこの地点ではないのです。

毎年枯れて、しかし次の年には再生する青葉のような存在あるいはクリエイティブでありたい、と考えました。

投稿者 birdwing : 2010年5月16日 09:50

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