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2006年1月29日
スクラップ・アンド・ビルド。
喘息で入院してからあまり外に出ることもなかった次男の息子(2歳)を公園に連れて行ったのですが、走りがぼてぼてになっていました。以前のような切れがなくなった。ぽってん、ぽってん、という感じで走っていく。ゲーム好きのひとにはわかるかもしれないのですが、ピクミンという種みたいな宇宙人をいっぱい育てて戦わせたりお宝を運ばせたりするゲームがあるのですが、その「ムラサキピクミン」というイメージです。最近ずいぶん食べてるからなあ。それでも走るのは大好きなようで、ベビーカーと滑り台のあいだを走らせたら「もっかい、もっかい(もう一回)」と言って何度も走ります。さすがに父の方が降参でした。あとは、「かくれんぼしたら、ほんでぼー」みたいなことを言うので、意味がよくわからないのですが「んじゃ、ほんでぼー」と言ったらすごく面白かったらしい。勝手に大ウケして、げらげら笑っていました。なんだかなあ。意味なんてどうでもいいんですね、子供にとっては。
さて、いろいろと本を買い込んだのですが、「Think!」の特集で紹介されていた羽生義治さんの「決断力」にはまっています。ちょうど半分あたりの第三章「勝負に生かす「集中力」」を読んでいるところですが、ほんものの勝負師の言葉には重みがあるし、切れがある。唸るような洞察が多い。お恥ずかしいことですが、将棋の世界にもトレンドや研究があって流行の手があるということを知り、ビジネスと同じなんだなということを感じました。ものごとを難しく考えずにシンプルなKISSアプローチ(Keep it simple,stupidのこと。軍隊用語だそうです)をすること、直感を信じること、など、一文一文が書き留めておきたいようなフレーズばかりです。
特に新しい言葉ではないのですが、スクラップ・アンド・ビルド(破壊と創造)という言葉があり、羽生さんの文脈では目を引くものとしてうつりました。第一章の「守ろう、守ろうとすると後ろ向きになる」の節で使われている言葉ですが、名人の米長さんの「時の経過が状況を変えてしまう」というコメントを引用されていて、待つよりも攻めることの重要さを説かれています。ぼくは、先日「ターミナル」という映画を観て、待つことの重要さを感じたばかりだけれど、あの映画のなかでもビクターはただ待っているだけではない。ここだ、というチャンスには積極的に攻める。耐久力は必要だけど、それだけでは勝負をかけることができない。耐久力と瞬発力の両方が必要になるのかもしれません。そして、勝負をかけるときの勇気でしょうか。
米長さんは、50歳で若手に教えをこうて、いままでの自分のスタイルを一新させたそうです。すごい。それまで培ってきたものを全部捨てることは、なかなかできないことです。でも、その捨てる勇気があることが、勝負を変えていく。捨てることは何かを選ぶことでもあります。勇気が必要になる。そして、将棋では一局のなかにおいても、そういう転機があるということを羽生さんは書いています。
新しいスタイルを獲得すること。そのための破壊する勇気。ムラサキピクミンみたいな子供が大きくなるまでは頑張らなければならず、どちらかというと守りに入りつつある年齢なのかもしれませんが、心のなかにメモしておきたい言葉でした。
投稿者 birdwing : 2006年1月29日 00:00
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