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2006年6月24日

鉄人28号

▽cinema06-035:育っていく、そして継承されるヒーロー。

B000B6H6D2鉄人28号 デラックス版 [DVD]
横山光輝
ジェネオン エンタテインメント 2005-11-25

by G-Tools

昔のヒーローはとにかく強かった。もちろんストーリーの流れのなかで挫折やピンチがあったとしても、すぐに前向きに復帰して、最後はハッピーエンドでした。ところが最近のヒーローはどこか完全無敵ではなくて、妙に生活を感じさせるような失敗やネガティブな面もさらけ出しているような気がします。息子とウルトラマンメビウスをみていてうーむと思ったのが、最初にメビウスが怪獣と闘うとき、どう闘っていいのかわからずにぼーっとしている。そのうち回転してビルを壊しちゃうのですが、地上にいる隊員から「なんて下手くそな闘い方だっ!」とか叱られてしまうシーンがありました。思わず笑ってしまったのですが、人間に叱られるウルトラマンというのは絶対的なヒーローではなく、なんとなくヒューマンな感じもしました。つまりカリスマ的な存在であっても、そんな弱みがあることが逆にヒーローの条件かもしれません。

昭和の頃の夢を実写で表現したのが鉄人28号だと思うのですが、家族で観ました。やはり最初から強いわけではなく(しかも色も鉄人カラーの青ではなく銀色で)、正太郎くんもラジコンの飛行機はうまく操縦できるけど鉄人操縦のプレッシャーに押しつぶされたりして、鉄人をごろごろと転がしてしまい、ビルを壊しまくります。ありゃりゃーという感じです。それでも諦めずにカイゼンしていく。一度ブラックオックスに負けたあと、バーチャルリアリティーらしきゴーグルの新しいコントローラで闘うのですが、コントローラは最先端ですが、鉄人をハードウェア的に組み立てている工場では旋盤が回っていて、いかにも職人らしきおじさんが頑張っている。そのおじさんたちが正太郎くんを応援していたりする。諦めずに粘り強くカイゼンすること、力を合わせて敵と戦う姿勢に、昭和のノスタルジーを感じました。いまそんな力を失いつつあるのではないでしょうか。

たぶん映画ファンからすると、デビルマンにしても鉄人28号にしてもULTRAMANにしても、酷評されるのではないかと思います。でも、ぼくはいいと思いますね。息子も楽しんでいたし。リメイクして古い時代の文化を新しい未来につないでいくのは大切なことです。

「破壊するために何かをつくったわけじゃない」というような正太郎くんの言葉が心に残りました。悪役のブラックオックスですが、操縦しているマッドサイエンティストっぽい宅見零児にも、息子をなくしてしまってロボットに息子の姿をみている哀しさもあり、せつないものがあった。正太郎くんの父は事故で亡くなってしまっているのだけれど、息子に託した「信じて進め」という言葉もよかったし、回想シーンはじわっときました。一方、社会的な観点からは、ブラックオックスの出現が「テロ」であることにも、なるほどと思いました。近い将来ロボットによるテロなんてこともあるのでしょうか。6月24日鑑賞。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(43/100冊+35/100本)

投稿者 birdwing : 2006年6月24日 00:00

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