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2006年7月30日
イン・ザ・カット
▽cinema06-048:映像が表現する心理と、個人的な困惑。
イン・ザ・カット [DVD] ジェーン・カンピオン ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2004-10-06 by G-Tools |
遺体をバラバラに切り裂く連続殺人犯を中心に、文学の講師であるフラニー(メグ・ライアン)が事件に関与する刑事マロイと愛欲に溺れていく世界を描いたサスペンスです。フラニーはスラングや地下鉄の広告や、詩などの言葉を収集しては、ピンで机の前に貼っていく。彼女自身もどこか破綻している性格なのだけど、ストーカーまがいの人物が周囲にいて、だれもが犯人に思えてきます。この倒錯した世界をうまく表現しているのが、深みのある色と、部分的にボケた映像だと思いました。しかしながら、映像はいい雰囲気なんだけど、ストーリーがいかがなものか、という感じです。深みがないのでは。
メグ・ライアンは、かつて好きな女優のひとりでした。というのも彼女の底抜けな明るさと、映画におけるちょっとドジなキャラクターがものすごく気に入っていた。ところがこの映画のなかでは一転して暗く、疲れた顔が多い。ついでに全裸もあり、濃厚なラブシーンまで演じているのですが、好きな女優だとはいえ(ちょっとうれしいけど)ぼくは裸がみたかったわけではない。この映画で、大切なひとを殺されて泣きつづけて目が腫れて、しかも泥酔状態で衣類もぐちゃぐちゃになっているメグ・ライアンをみて、いや、ぼくがみたかったのはこういう彼女じゃないんだけど、と切なくなりました。しあわせそうな結末で、はにかんで笑っている彼女の映画のほうが好きです。ストーリーとは関係のない、ものすごく個人的な感想ですが。7月30日鑑賞。
*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(55/100冊+48/100本)
投稿者 birdwing : 2006年7月30日 00:00
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