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2007年7月 1日

ダ・ヴィンチの手稿から。

これからじっくりと読もうと思っているのですが、ダ・ヴィンチの発明メモをCG化した本「ダ・ヴィンチ 天才の仕事」が楽しい。

4576070916ダ・ヴィンチ 天才の仕事―発明スケッチ32枚を完全復元
松井 貴子
二見書房 2007-04-27

by G-Tools

画家としてはもちろん、未来に対する洞察力にすぐれた機械(ヘリコプターなど)の発明家としても知られているダ・ヴィンチは「紙片やノートを持ち歩き、日記のように所感や研究についてのアイディア、考察、スケッチを書き綴った」そうです。

1487年から1519年に没するまで、ものすごい数の手稿を残したそうで、その範囲は「科学技術から土木工学、建築、解剖学、天文学、地質学、動・植物学、音楽、幾何学、彫刻、絵画論、都市計画」など、あらゆる分野にわたったらしい。すごい。マルチな才能を発揮していたんですね。

その多くが失われてしまったのだけれど、現在残っているものだけで8000枚。メモとはいっても圧倒的な量のアイディアを文章化していたわけです。これは推測ですが、書くことによってアイディアが整理され、さらにアイディアどうしの組み合わせから新たなアイディアを生んでいったのではないでしょうか。

ダ・ヴィンチのメモはワンシート・ワンテーマという整理されたものではなく、関係ないことも含めて一枚のメモにさまざまな内容が書き込まれていたとのこと。メモってそういうものだろうな、と思いました。体系的になっている必要はないし、究極のことを言ってしまえば、他人にわからなくてもいい。

PCでメモを取るときに不便だな、と思うのは、どうしてもテキストのメモになってしまうことです。文章でメモを取ると線的な思考になる。2次元的に(あるいは3次元的に)思考することができない。もちろん発想ツールもあるのですが、こういうときにはペンに持ち替えてプロジェクトペーパー(方眼が入っていてお気に入り)にごりごり手書きというアナログの方が発想が広がるし、実は早い。ただし、検索性を求めたり、企画書など形にする必要があるときにはPCでメモしたほうが便利です。

当時、ダ・ヴィンチのように文字でメモを書くひとは珍しかったそうですが、彼はメモを鏡面文字(鏡に映してはじめて読み取ることができる文字)として書いていたらしい。やはり天才のやることはどこか違います。うちの次男(4歳)もひらがな・カタカナをひっくりかえして書くのですが、ダ・ヴィンチみたいになってくれないだろうか。まあ、幼児のときだけの天才ではないかと思うのだけれど(泣)。

さらにダ・ヴィンチは文字だけでなく、その設計図を図解して書きとめています。この本では、ダ・ヴィンチが残した設計図をCGで再現しているのだけれど、さすがにCGだけあって、いろいろな角度から見たり、動きを紙の上で再現しているところがうれしい。できればこれはWeb上で3DのCGをぐりぐり動かしてみたいですね(もうあるのでしょうか)。

先日、クロマトーンのエントリーを書いたときに、さまざまな楽器の発明も調べてみたい、ということを考えたのですが、この本にはダ・ヴィンチが発明した楽器も掲載されていました。紹介してみます。

まずは自動演奏太鼓。ダ・ヴィンチは楽器のなかでも太鼓の研究に熱心だったようです。これは当時は打楽器が他の楽器と比べて低くみられていたという風潮があり、その地位向上のために知恵をしぼったようですが、一方で、舞台、見世物、そして戦争で使うことを考えていたようです。戦争で使う、というのはいったいどういうことでしょう。威嚇? それとも号令の代わりなのか。

そして次は獣頭のリラ。これも舞台用らしいのですが、ダ・ヴィンチには音楽的才能もあり、リラ・ダ・ブラッチョ(ヴィオラのようなもの)という撥弦楽器で、ミラノ公邸の楽師たちと演奏バトルを繰り広げたらしい(笑)。聴いてみたかったですね、発明家の演奏バトル。

最後は、ヴィオラ・オルガニスタ。これは肩から提げて弾くことができるようで、オルガンというかアコーディオンというか、そんな感じです。メカニズムとしては回転するフライホイールが弦を弾いて音を出すらしい。けれどもこの発明はどちらかというと......ふつうだ(苦笑)。

ついでに楽器ではないのですが、ぼくのハンドルが「鳥の翼」なので、鳥のように翼が動く飛行機。これは有名ですね。羽の動く仕組みの図解が興味深いです。

 

ところで、この本をさりげなく長男(10歳)の机に置いておいたのですが気付かれず。仕方がないので、これ面白いぞ、と話してみたのですが「ふーん」で終わりました(泣)。

うーむ。鏡面文字と自作の怪獣メモを書きまくっている次男に望みを託すことにしますか。しかし、4歳にこの本は難しいだろう。というわけで、しばらくは、父が楽しむことにしましょう。

投稿者 birdwing : 2007年7月 1日 00:00

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