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2007年7月11日

模倣と憧れ。

東京は雨降りです。外出すると、なんとなく湿度のフィルムで身体中が覆われてしまう感じ。あまり気持ちのいいものではありませんが、外を歩きながら傘に当たるぽつぽつという音を聴いていたところ、

「これ、録音できないかな・・・」
「シンセで再現すると、alva noto(カールステン・ニコライ)みたいな信号音だな・・・」

などと考えてしまいました。ぼくはビョーキでしょうか。きっとそうだ(苦笑)。ちなみにalva notoの雨音的なノイズというのは、「Berlin」のイントロを思い浮かべました。YouTubeから。こんな感じです。

■Berlin

歌入りの曲だけでなく、こういう抽象的な曲も作りたいものです。それにしても趣味のDTMのやりすぎかもしれません。耳に聴こえてくる音を音楽に変えようとする癖がついてしまって、いっそのこと脳内にジャックをつないで鳴っている音をアウトプットしたいぐらいです。できたらいいのに、と大真面目に考えるところが怖い。

そんな本日、久し振りにiPodで聴いていたのは、Peter Bjorn and Johnの「Young Folks」のリミックスです。

B000FL7B4WYoung Folks
Wichita 2006-08-07

by G-Tools

そのリミックスを電車のなかで聴いていたところ、先日作ったAME-FURUという曲のHOUSEバージョンを思いついてしまいました。その場で曲にできないのが、ほんとうにもどかしい。

映像を検索してみると、以前YouTubeで消されてしまっていたPeter Bjorn and Johnのライブを発見!やった、これは保存版だ。ギターレスの3人編成で、やっぱり変です。

■Young folks Peter, bjon & john

そんな感じで、あれこれぼんやりと考えながら検索をつづけたところ、なんと日本語版(カバー)が出ていたことも発見!知らなかった!タイトルは「恋はビヨーン〜No Mo-so No Love〜」とのこと。なんじゃそりゃ(苦笑)。アーティストの名前にちなんでどうする。公式サイトでは、イラストと写真を組み合わせたような映像が使われています。これもなんというか・・・微妙だ。

B000NVTHW8恋はビヨーン~No Mo-so No Love~
amtm
ビクターエンタテインメント 2007-04-25

by G-Tools

■公式サイト(試聴とPVがみられます。音が出るのでご注意ください)
http://www.amtm.info/

5月の記事ですが、以下のように書かれていました。

原曲を忠実に再現しながらもオリジナルアレンジを適所に施した サウンドプロデューサーにはMr.スウェディッシュ・ポップのカジヒデキ、ユルユル日本語詞には、柴咲コウ(RUI)・鈴木あみ・TRF・hitomi・松たか子・観月ありさ等に詞提供を行う前田たかひろ氏、そしてRemixにはクラブミュージックシーンで今話題の新進気鋭トラックメイカー、DE DE MOUSEが参加!

そもそもカジヒデキさんってMr.スウェディッシュ・ポップだったのか。まあ、いいや。

さて。リミックスやカバーは原曲に新しい解釈を付け加えるものですが、ただ単純に模倣をするとコピーになりますね。ビートルズのコピーバンドはそれこそ数え切れないほどあり、リッケンバッカーのギターにへフナーのバイオリンベース、マッシュルームカットにモッズ風のファッションをして、ジョンやポールといかに同じ声、同じ演奏を追求していきます。

音楽の楽しみのひとつとして、この模倣(コピー)はとても楽しい。というか、憧れのミュージシャンと同じ演奏をして、一歩近づくことができただけで、もうわくわくしますね。同じ曲を弾いているということだけでも嬉しいものですが、楽器もファッションも・・・という風に完璧にこだわるのも楽しそうです。

実はぼくはへフナーのバイオリンベースを持っています。初期ビートルズでポール・マッカートニーが弾いている楽器です。購入したのは社会人になってからですが、ほとんど衝動買いのように購入してしまいました。とても弾きにくいベースなのですが、自宅で弾いて高いポジションの音をぽーんと出したときに、おおっポールの音だ!と感動しました。エルビス・コステロがポール・マッカートニーとヴェロニカというコラボ曲を作ったときにわざわざポールにへフナーを弾かせたわけだ、と思いました(確かそんなエピソードがあったような。うろ覚えですが)。

コステロのヴェロニカは、社会人バンドをやっていたときに練習したことがあったのですが、3人編成になったばかりのことで異様に緊張が走ったのを覚えています。ただ、この曲を聴くといまでもあのときの必死な感じを思い出して、いいですね。ビートルズライクなアレンジであり、コステロのポップ志向のソングライティングが活かされた名曲だと思います。

急に聴きたくなってしまったので、YouTubeから。

■Veronica - Elvis Costello

Wikipediaを読んでいると、フジテレビの『とくダネ!』の主題歌になったとか。テレビに疎いぼくは知りませんでしたが。

好きなアーティストと同じ曲を弾く、同じ楽器を使う・・・という模倣のなかに留まるのではなく、その世界から一歩踏み出すとき、音楽はもっと面白くなる気がします。憧れを維持しながら別のフィールドでその憧れを実現すること。そうすることによって、まったく別の新しい何かが生まれるのではないか。

いま、ぼくはパソコンの打ち込みで曲を作りますが、仮想的な自分の脳内の世界では、へフナーのベースが鳴っていることがあります。弾いているのはバーチャルなポール・マッカートニーでしょうか(笑)。もちろん使っている音はシンセベース(Beef FMというプリセットを使うことが多いです)なのですが、ハイトーンに移ったとき、イメージのなかでぼくが抱えているベースはへフナーです。フェンダーのジャズベースでもなければ、ミュージックマンでもない。軽いバイオリン型の胴が鳴る感じをイメージしながら、マウスで音を配置していたりします。

楽器を持っていなかったとしても、楽器を弾くように仕事ができたらいいですね。スタッフの調和をハーモニーになぞらえるとか、仕事の流れをメロディの起伏としてとらえるとか、そんな発想があると短調な作業にも豊かなイメージが生まれそうです。また、ぼくが仕事中はスーツ着用にこだわるのは、ビートルズを筆頭としたモッズ系のアーティストたちに憧れているからかもしれません。ネクタイを締めてロックをシャウトするスタイルに強烈に惹かれていて、そんなイメージがひそかに仕事にも影響を与えているのでしょう。

音楽に限らず、坂本龍馬でもドラッカーでもイチローさんでもよいのですが、憧れのひとのスタイルをまず模倣すること。次に自分なりにアレンジして生き方を模索していく。他人と比較したり競争する必要もなく、自己満足でもかまわない気がします。

自分なりのスタイルのある生き方に憧れます。

投稿者 birdwing : 2007年7月11日 00:00

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