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2008年4月 4日

ゆるやかな変化。

ふと気が付くと、街ですれ違うひとにマスクをかけているひとが多い。花粉症対策のためだけれど、以前にはこんなにたくさんのひとがマスクをしていたっけ?と、あらためて愕然としました。

この光景は、20世紀に(といってもまだ数年前なんだけどね)、SF小説や映画の冒頭で描かれがちな「21世紀の社会では、大気汚染のためにすべてのひとがガスマスク着用を義務付けられている・・・」のようなシーンに近いのではないでしょうか。

花粉症などのアレルギーが多くなった理由は、大気が汚染されていこともひとつの要因かもしれませんが、ぼくらの住む世界がクリーンで清潔な環境になっていたせいでもあるようです。つまり、昔に比べると清潔になってしまったため、きれいな環境に馴れた人間が過剰に花粉などに反応してしまう。

生物学的にこのことを表現する言葉があるかどうか知りませんが、汚れた社会のなかで生きる人間のほうが耐性は強いのかもしれないですね。うようよウィルスのなかで暮らしていた野蛮人のほうが強かったりする。皮肉なことだけれど。

と、別に環境汚染に対する批判をするわけではないのだけれど、気が付くと社会は大きく変わっていた・・・ということは、結構ある。インターネットなどもそうかもしれません。不況や年金問題なども、ある臨界点を超えると問題が顕在化というか浮上してきて、そのときには取り返しのつかないことになっているかもしれない。これは怖い。

そんなことを考えるようになったのは、本日、会社の帰りに喫茶店に寄って、大前研一さんの文庫を読み終えたからです。これです。

4167717662私はこうして発想する (文春文庫 お 35-2)
大前 研一
文藝春秋 2008-03-07

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大前研一さんというと、ビッグネームだけになんとなく敬遠されることも多いのだけれど、ぼくは読むたびに何か気持ちの原料のようなものを注入してもらったような感じです。この本では、大前さんが作られたBBT大学院大学というカリキュラムにも触れながら、時代や社会の読み方を解説されています。

とかくグローバルな視点にかけて、自分の周囲3メートル四方のことしか目に入らないぼくとしては、大前研一さんの世界を読むチカラに感動しました。北朝鮮や韓国と日本の関係をあざやかに解説していきます。といっても、鵜呑みにするのではなく、ほんとうにそうなのか?と自分で検証する必要はあるでしょう。

ついでに備忘録的に書いておくと、今週は2冊の本を購入しました。まずは英語で日記を書いてみるための本。2行程度の短文からはじめようという趣旨です。

4860641779はじめて英語で日記を書いてみる
石原 真弓
ベレ出版 2007-12-20

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・・・うーむ、書かないかも(苦笑)。しかし、Twitterやめてしまったのですが、こうした短文の日記こそ「いま何してる?」形式でワード数も制限されるTwitterで書いたほうがいいのかもしれないと思いました。ただ、外国人の方にレスされると困りそうだ。

つづいて石田衣良さんの次の本です。

4087712249逝年―call boy2
石田 衣良
集英社 2008-03

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女性ファンの多い石田衣良さんですが、勇気を持って発言すると、石田衣良さんの小説はマンガ的だと思う(うわー、ファンから刺されそうだ)。

小説の構造がわかりやすいのですが陳腐なこともあり、コピーライティング的な言葉の美しさだけが先行するイメージがあって、「1ポンドの悲しみ」は途中で読み進める気が失せて挫折しました。いまも読んでいません。I.W.G.P.(池袋ウェストゲートパーク)のような小説は、ドラマ化されてこそ面白いのではないでしょうか。小説として読むよりも、そのエンターテイメント性がドラマのほうがよりいきいきとして表現される。

と、批判しているのですが、石田衣良さんの作品でこれはいいなと思ったのが「娼年」でした。えーと、ホストで身体を売るリョウという少年が主人公で、少しばかりエッチなお話です(照)。その続編が出ていたので購入。

ビジネスからブンガクまでの本を読み進めながら、自分の引き出しを広げたいと思っています。気が付くと自分も大きく変化していればいいのですが。

ところで、喫茶店からの帰り道。春の風は強かったのですが、携帯電話で呼び出されて、とりとめのない話をして楽しい時間を過ごしました。行き交うひととたちも、なんとなく春の装いで楽しそうでした。大きな変化の流れのなかでは埋もれてしまうのかもしれませんが、そんなささやかなしあわせな時間も大切にしたいものです。

投稿者 birdwing : 2008年4月 4日 23:16

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