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2009年1月15日

カンフーダンク

▼cinema09-03:中国的な、なんでもアリの面白さ。

B001H4VTD0カンフー・ダンク! スタンダード・エディション [DVD]
ジェイ・チョウ, チェン・ボーリン, バロン・チェン, シャーリーン・チョイ, チュウ・イェンピン
角川エンタテインメント 2009-01-09

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中国というのは、凄い国だと思います(行ったことないけれど)。海賊版の製品が多く、日本のヒット商品も次々に真似をされているようなことを聞いた覚えがあります。商魂の逞しさには、ほとんどあきれるほど凄いなと思ってしまう。

また、なんでもアリのめちゃめちゃな発想も面白い。IT系のニュースで、中国製のノーブランド(メーカー名さえ記されていないことが多いらしい)の携帯電話を紹介した記事を読んだことがありました。太陽電池で充電できる電話など、中国製おもしろケータイはあらゆるものを融合させてしまうらしい。

ちなみに太陽電池付き携帯電話は、ほとんどすぐ使えなくなるとのこと。しかし、文句を言うと、充電すればいい、と切り替えされるようなところが中国的です。エコなのか何なのかわかりません。機能的には全然ダメなのですが、発想がすべてであとは知りませーん、のような無責任な脱力感が、なんだか気持ちいいですね。本気で考えると、怒りたくなりますが。

年末に「カンフーパンダ」という映画を家族で観ました。なかなか面白かったらしく、子供たちは3回ぐらい観ています。で、カンフーつながりの作品ということで、テレビでも紹介されていたので借りてきたのが「カンフーダンク」なのですが、結局、家族はあまり興味がないようでした。仕方なく、おとーさんはひとりで観てしまったよう(苦笑)。「少林サッカー」というヒット作品もありましたが、あのスタッフが作っているらしい(やっぱりねえ)。こちらの「カンフーダンク」は、格闘技(カンフー)+バスケットボールという組み合わせです。

発想法のポイントは組み合わせだ、ということを広告業界ではジェームス・ウェブ・ヤング、あるいは野口悠紀夫さんなどが言っていたように記憶していますが、パンダ+カンフーという組み合わせもあれば、カンフー+バスケットボールという組み合わせもあります。東洋的なものと西洋的なものの組み合わせです。

この組み合わせが実は難しいもので、ただ継ぎ足すだけでは完成された作品にならないと思う。異なる文化を融合させるところに意味があるのではないか。

と、思っていたのですが、あきらかにトンデモナイ結合感覚で作られた「カンフーダンク」にまいりました(笑)。これってありか?とひどい展開があるのだけれど、笑えます。はちゃめちゃな組み合わせぶりが中国のパワーなのかもしれない。具体的には映画の内容には触れませんが、ふつうはここまでやらないだろう・・・と困惑でした。しかしながら、なんとなく押し切られて納得してしまう。

スポーツ根性ものの要素もあれば、ブルース・リーから引き継がれてきた伝統的なカンフー映画の醍醐味もあり、ワイヤーアクションやSFXもある。ついでに恋愛映画の少しだけ切ないシーンもある。韓国映画のパクリか?と思うような涙を誘う場面もありました。ひょっとしたらそもそも、日本のマンガ「スラムダンク」を思いっきり意識している気がする。

屋外のバスケットコートの傍に捨てられていた赤ん坊ファン・シージエ(ジェイ・チョウ)は、カンフーの学校で育つのですが、公園で百発百中で缶をゴミ箱に捨てていたところ、リー(エリック・ツァン)に出会います。リーはプロモーターあるいは父親の役割を担って、彼を大学に編入させるとともに、両親を探している天涯孤独な天才バスケット選手として売り出します。

という物語の枠組みだけをとらえると、去年の終わりごろに観賞した「奇跡のシンフォニー」と重なりました。あの映画でも、子供たちストリートミュージシャンからお金を巻き上げるブローカーをロビン・ウィリアムズが演じていて、主人公の少年を音楽家として育てます。ただ、圧倒的に違うのは、どちらもお金儲けに目がないブローカーもしくはプロモーターなのですが、リーのほうは、結局のところお金よりも絆を選ぶということです。演じているエリック・ツァンの人間的な魅力もあるのだけれど、「カンフーダンク」のほうがあたたかい。ひとのつながりによるぬくもりを感じます。

というわけで、なんだか「ノーカントリー」「ダークナイト」とつづけて観た暗い気持ちを、笑いやら涙やらで、すかーっと爽快に吹き飛ばしてくれました。こういう映画もいいなあ、たまには(1月12日観賞)。

■YouTubeからトレイラー

■公式サイト
http://www.kf-d.jp/

投稿者 birdwing : 2009年1月15日 23:59

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