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2010年1月 9日

G.I.ジョー

▽cinema10-02:テクノロジーの進化に驚愕。

B0024NJY3AG.I.ジョー [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2009-12-11

by G-Tools

冒頭、中世の時代に味方と敵に同時に兵器を売りさばいたとして、処刑される人物の映像からはじまります。彼は絞首刑になるのではなく、焼いた鉄の仮面を被らされる。その人物の子孫が"コブラ"として、表面上はMARSという戦略兵器の開発企業として世界征服を企みます。

彼等は、NATOの資源を使って開発した、ナノマイトという鉄を食い尽くす細菌兵器を主力製品としています。資金を出させて開発だけさせて、その兵器を奪おうとする。フランスでエッフェル塔を腐食させて倒して大混乱を起こし、CNNを通じてその力をプレゼンテーションするなど、大胆な策略を実行します。その悪に立ち向かうのが、国際機密部隊"G.I.ジョー"です。

いやーびっくりした。年末に「トランスフォーマー リベンジ」を観て、もはや実写とVFX・CGによるアニメは区別がつかないな、映画の世界おそるべし、とおもったのだけれど、フランスの凱旋門を前にしたカーチェイスとVFXによるアップテンポのストーリー展開で、息もつかせぬアクション(宣伝にありがち)には、ほんとうにまいりました。

エッフェル塔にナノマイトという金属を食い尽くす細菌兵器を打ち込もうとする敵に、G.I.ジョー側は加速スーツで追いかけるのだけれど、どっかんどっかん通行するクルマをぶっつぶし、敵はといえばぐるんぐるん眼前にあるクルマを宙に投げ上げ、ロボット姿のG.I.ジョーがTGV(フランスの特急)を突き抜けるシーンは圧巻。アーマードスーツで人間兵器となったふたりが悪の組織を追いかけるのですが、特急の窓をぶちやぶった相棒に、飛べるんだよ、きちんとマニュアルを読めよ、と言ったデューク(チャニング・テイタム)の台詞には笑いました。

「そう遠くない未来」と前書きで語られるだけあって、作品内で使用される最新兵器には、そう遠くない未来に実現しそうな機器が多い。たとえばウェアラブルコンピュータ、音声認識(タヘイン!と叫ぶとミサイルが発射される)、3Dによる立体映像など。脳内に差し込んで彼が観ていた映像を録画するガジェットや、画面が立体的に拡大して、人間の影と時刻からその人物の居た場所を探知するソフトウェアなど、007を思わせるような近未来グッズにわくわくしました。パソコンも進化して、小型化と高機能のガジェットになってほしい。

G.I.ジョーということばから想起するのは、遠い昔にあった人形です。男の子向け着せ替え人形といった感じで、コンバット用の洋服を替えたり、マシンガンなど兵器を取り替えたりできる。似たようなものに、ミクロマンという玩具がありました。ミクロマンじゃなかったような気がするのだけれど、ぼくも似たような玩具を持っていたっけ。現在では仮面ライダーの人形のようなものかもしれませんが、異なっているのは、パーツだけが別売りになっていて自分なりの戦士をカスタマイズできるところ。これがおおいに違う。どのような戦士にしようか、とアタマのなかでイメージする楽しさがありました。

映画そのものの物語はもちろん、G.I.ジョーの魅力はアーマードスーツのような身体にフィットした武器であり、近未来的な兵器です。戦争には反対だけれど、こうした武器が"男の子"のなかにある闘争本能をくすぐるのは仕方がない。しかも、使いこなすためには武器の能力だけでなく、格闘技のような人間的な運動能力を高める必要があるところがスポーツの原点ともいえる。

戦士のなかには敵(悪)にも味方にも忍者的な人物がいて、味方のスネークアイズに対して敵のストームシャドーはイ・ビョンホンが演じています。少年の頃から敵対してきた因縁のふたりです。背中に日本刀を背負っていて、おもわずニンニンと言いたくなるのですが、このふたりの回想シーン、東京というテロップが入りながら、ぜんぜん東京じゃない(苦笑)。中国です。ああっ、外国からみた日本ってやっぱりこういう世界なのかー(泣)とかなしくなった。もうすこし外国人の映画監督の方には、日本を理解していただきたいものです。忍者と中国拳法が混じってしまっています。

敵のリーダー格の女性バロネス(シエナ・ミラー)は、かつてデュークの恋人だったこともあり、彼を抹殺することに苦悩したりもする。一方で、G.I.ジョー内における社内恋愛というか、リップコード(マーロン・ウェイアンズ)と才女スカーレット(レイチェル・ニコルズ)の好意のゆくえも気になるところ。アクション映画では、こういうサイドストーリーも観どころですね。

アニメにもなっているようで、どこかバットマン的な善悪の構図がわかりやすく、若干、陳腐さを感じたりもします。すこし詰め込みすぎなのでは、という印象もありました。それでもとにかく楽しめました。戦闘シーンの迫力と最先端のテクノロジーに、すかーっとする映画でした。1月6日観賞。

■トレイラー

■公式サイト
http://www.gi-j.jp/
100109_gijoe.jpg

投稿者 birdwing : 2010年1月 9日 12:47

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