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2006年2月19日

ロング・エンゲージメント

▽cinema06-017:断片をつないでいく、パズル。

B002D4DHAQロング・エンゲージメント [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2009-08-05

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じわりじわりと観た後に、懐かしいような、かなしいような、そんな気持ちが浮かんでくる映画でした。

第一次大戦のフランス、最前線で戦っている兵士のなかには戦いに耐えられなくて、みずから手を鉄砲で打ち抜いて帰国しようとするものがあった。しかし恩赦が出て助けられるものばかりでなく、軍法会議で処刑されてしまうものもいる。自分の手をふっとばして戦争から離脱しようとした5人がいるのですが、どうやって処刑されるかというと、敵であるドイツ軍と自国フランス軍のまんなかに放り出されるわけです。ひどいなあ、と思いました。その無防備な5人が敵機から攻撃されたり、爆弾で身体ごと吹き飛んだり、戦争シーンはものすごくリアルです。迫力がある。そして戦争後、5人のうち最も若い青年マネクの婚約者マチルド(オドレイ・トトゥ)が、戦死したマネクのことをまだ生きていると信じて、5人とそれに関わる人々の証言による断片をパズルのように組み合わせてマネクを探していく、という物語です。

この映画はジャン=ピエール・ジュネ監督ですが、有名な「アメリ」もパズルのように(ちぎれた写真を組み合わせるように)して、ひとを探していく、という探偵小説的な展開でした。この映画も5人を取り巻く人間関係や過去の出来事を推測していくハードボイルド的な楽しみがあります。いくつかのジンクスのようなものも出てくるのですが(もし7数える間に車掌が来るか電車がトンネルに入ればマネクは生きている、のような)、"MMM""あほうどり"のような謎のキーワードと合わせて、どうなるんだろう?という期待を持たせています。うまいと思いました。ぼくらは目の前にパズル的な何かを置かれると、どうしても推測して完成形を作りたくなる習性があるのかもしれません。

映画的な技術については詳しくないのですが、全体を貫いているセピアの色調と、上空から俯瞰する映像が印象的でした。アメリのジャン=ピエール・ジュネ監督らしいというか、おとぎ話的な雰囲気があります。それにしても戦争は嫌だ。2月19日鑑賞。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(15/100冊+17/100本)

投稿者 birdwing : 2006年2月19日 00:00

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