« その先の未来。 | メイン | 「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」黒川伊保子 »

2006年4月 7日

音のクオリア。

ほろ酔い気分でブログを書いています*1。会社を辞めたあと、いろいろと経由して、いまはバーをはじめた知人の店で飲んできたところです。自分の部屋のような落ち着いた雰囲気についつい和んでしまい、時間の経つのを忘れました。お客さんはふたりしかいなかったけど、逆にそれがよかった。また行きたくなるような感じです。つづけるのは辛いかもしれないけど、つづけてほしいですね。お店らしくなかったけど、それが個性的であり、いつかよいお店になりそうな感じがしました。頑張ってください。

さて、「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」という本を、朝の通勤電車のなかで読み終えました。あまりの偶然に感激してしまったのですが、最終章では、絶対音感という言葉が出てきました。何気なく(ほんとうに内容を読んだわけではなかったのに)本屋で物色した「東大式絶対情報学」とこの本の二冊がつながった。「東大式絶対情報学」にも絶対音感という言葉が出てきます。ぼくは別にオカルト的なものは信じていないのですが、ほんとうに何かを考え続けていたり、問題意識を持っていると、直感という磁石が近い内容のテキストを引き寄せてしまうのかもしれない。すごい。

「東大式絶対情報学」では、インフォメーション(情報)はもちろん、その情報をインテリジェンス(知恵)に変えるということが書かれていましたが、情報感度を高めるもうひとつの「I」として、インスピレーション(直感)があるのかもしれないとぼくは思いました。この3番目のIは技術やテクニックとして万人が使えるようにするのは難しいのですが、問題意識をもち、大量の情報に接して情報の引き出しを増やすことよって、別に超能力者ではなくても獲得できる能力ではないかという気がしました。直感も特別な能力ではなく、訓練によって獲得できるもののような気がしています。

話が脇道にそれましたが、「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」は非常に興味深い本でした。というのも著者である黒川伊保子さんは、もともと人工知能(AI)を研究されていたそうです。人工知能のなかでも、自然言語解析が専門とのこと。ぼくも実は、企業のマーケティング活動をお手伝いするにあたって、アンケートの自由回答を分析しなければならないことからテキストマイニングに関心があり、一方で、趣味としてつづけているDTMでは、Vocaloidというソフトウェアによる音声合成に興味があります。そんなわけで音素(Phoneme)というのは見なれた言葉だったし、すっとぼくの意識に入ってくるものでした。

この本のなかでは音のクオリアということが言われているのですが、クオリアというのは現実に存在する対象を脳内で再現したときの質感です。茂木健一郎さんの著作などでは重要なキーワードかもしれません。音のクオリアを、サブリミナル・インプレッションとして整理されているのですが、これがものすごく面白い。抜粋すると以下のようになります。すべて黒川さんの著書からの抜粋および要約、そしてぼくの解釈による編集です。

■静音「K」:からくち(辛口)のキレを持つ→硬さ、強さ、緊張感、乾き

■静音「T」:確かな手ごたえ→湿度・粘性、充実感、賑やかさ、中身の詰まった感じ

■静音「S」:爽やかさ→光と風のモニュメント、爽快感、風・光拡散のイメージ

■静音「H」:光の未来→広さ、空気感、早さ

■静音「N」:ナイーブ→ベッドルーム、癒し、なめらかさ

■静音「M」:満ち足りた女性→やわらかさ、まるさ

■静音「R」:理知的→哲学的、透明感

■濁音「B・G・D・Z」:男性的な膨張+放出+振動

(母音は世界観)

■「a」:意識の向う対象

■「i」:対称に突き進む

■「u」:ちいさな閉空間

■「e」:永遠、遠さ、へりくだり

■「o」:大きな閉空間

破裂音は男性の生殖機能的なイメージを持つ言葉だそうです。つまり、溜めて放出するイメージらしい。だから男の子はこの音を好む。ビーバップなどの言葉は、男性的な力強さを感じさせます。けれども女性は生理という憂鬱な「重さ・滞り」の感覚から、この言葉を嫌悪する。したがって、「S」の音感を心地よく思うそうです。だから「サンリオ」は女の子にうける。「沢村さん」「俊介くん」のようなS行の名前が、若い女の子にはもてる(そうだったのか)。

このサブリミナルが最も効果的なのは、名前であるということも書かれていました。つまり幼い子供にとって、もっとも自分に呼びかけられる言葉は名前です。まいった、子供が生まれる前に読んでおけばよかった、という後悔したのですが、どの音感を持つ名前をつけるかどうかによって、その子供の性格をサブリミナル的に決定してしまう。これはペンネームやハンドルネームも同じかもしれません。

名は体をあらわす。それは本名であっても、ハンドル(匿名)であっても同様です。もちろんマーケティングとしてネーミングするときにも重要になる。きちんと考えたいものだ思いました。

+++++

*1:ほんとうはかなり酔っていたのですが、あとで読み直したところ、それほどひどい文章になっていないので驚いた。

投稿者 birdwing : 2006年4月 7日 00:00

« その先の未来。 | メイン | 「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」黒川伊保子 »


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://birdwing.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/606