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2006年7月18日

自然の音、人工の音。

顎が痛いです。というのも寝違えてしまったらしい。たいてい寝違えたときには首が痛くなるものですが、ぼくの場合、うつ伏せに寝てしまったためか左の顎が痛い。今日、提出するものがあって、その仕上げを深夜3時までやっていたのですが、その後眠れなくなって明け方5時まで起きていて、さすがにつらくなって前後不覚のまま眠り込んだところ、疲れていたせいか寝相がおかしかったせいか、顎をやられてしまいました。とはいえ、顎関節症などもあるらしいので、気をつけておこうと思います。

眠れないまま、趣味のDTMによる曲作りをつづけていました。いま手がけているのは、夏らしい曲づくりです。ほぼ全体構成は完成していて、あんまり手をかけずに公開するつもりでしたが、やっているうちに凝りはじめてしまい、結局のところ今月中には完成させたいという感じになってしまいました。せめて夏が終わらないうちに公開したいものです。

ところで昨夜、何にそんなに集中していたかというと、これが「波の音づくり」なのでした。夏らしい曲ということで、海の音がなんだかほしくなってしまった。そこで、SONARに付属しているソフトウェアシンセTTS-1のSeashoreというプリセットと、Ace Musicさんで無料配布されているAdventure of the Seaという波の音を出せるVSTiを使って、どうすればホンモノの波の音に近い音になるだろう、ということを四苦八苦していたわけです。そんなことより、メロディやアレンジに注力した方がずっと有意義だとは思うのですが。

波の音を創りながら思ったことですが、波といっても実際には複雑に絡み合った構成になっていて、たとえば遠くで崩れる波、浅瀬で崩れる波、引いて砂を転がしていく波、ぶくぶくという泡の音などがある。ここでまずはじめの波が崩れて、そのあと砂が転がって、次の波がきて・・・のように考えていたのですが、意図すると自然にはなりません。ぼくはステップ入力というスタイルで、音階と長さのマトリックスで表示されるピアノロールという画面を使って、ちくちくとマウスで音をおきながら制作していきます。気の遠くなるような制作方法です。そういえば、キーボード(MIDIコントローラ)をいただいたのですが、やっぱりマウスによるオルゴール職人スタイルの方が馴染みやすく、そのスタイルのままで創っています。そこで昨日もちくちく波の音を置いていたわけですが、方眼紙のようなグリッドにきちんと沿って並べるよりも、適当に置いた方が波らしくなります。その適当さが難しい。

なかなか自然にならないのですが、Adventure of the SeaにはSonitus.fxのリバーブとサラウンドのエフェクトもかけて、サラウンドは左と右のチャンネルをぐるぐるうねるようにしてみました。そんなことを深夜(というか明け方)にやっていると、ベッドルームで砂遊びをしていたとかいうブライアン・ウィルソン(ビーチボーイズのベーシストでメロディメイカー)のことを思い出したりしたのですが、どこか変だという感じもある。変だけれども楽しい。ギターなども打ち込まないで弾いてしまった方がはやいだろうと思うことも多く、海の音などは音響効果のフリーのCDか、あるいは実際に海に行って録音してきた方がリアルだろうとも思う。それでもなんだか、ニセモノなんだけどホンモノらしい音を創っていくのが楽しい。テレビの鉄腕ダッシュで効果音を創る番組もあり、あれも楽しかった。

そもそも少年の頃のぼくはナマロクに興味があり、デンスケというSONYのカセットデッキが欲しかったものです。機材にも興味があったのですが、最近はコンパクトで高機能な製品が出ていて、しかもEDIROLのR-09のようにSDカードで24bit/48kHzの録音ができるものも出てきています。これです。

EDIROL_R-09_re.jpg

もっと驚いたのが、MicroBRのように手のひらサイズで4トラック録音ができるものも登場しました。
Micro-BR.jpg

家にはRolandのVS-880というハードディスクレコーダーが眠っているのですが、大きくてでかい。長い間使っていないので、操作方法も忘れてしまったのですが、知らないうちに録音機材は大きく進化していて驚かされます。

写真やビデオを撮るのも楽しいのですが、海や鳥や虫などの地球の音を録音して、インターネットにアーカイブしたら楽しそうだ、という気もしました。カタログ化すると言う意味では、神の視点で地球の音を保存するという権力的な行為なのかもしれませんが、なんとなく数十年経って聴いてみるのも楽しそうです。タイムカプセルといえるかもしれない。

Webサイトや本、テレビ番組など、世界中のものをアーカイブしようと考えているBrewster Kahleさんの話が、「全人類の知識を収蔵するデジタル図書館--B・カール氏の壮大な使命」という記事にありました。Brewster Kahleさんはインターネットのコンテンツを残そうとしているようですが、音のアーカイブとしては、2006年7月18日雨の渋谷の雑踏の音、という別にそれを記録してどうするといった平凡なある日の音が残されていたりするのも、インターネットの面白さのような気がします。暇があればそんなことをやってみたいですね。

>ネットにアーカイブする音が、波や虫の声、あるいは風の音のようなものであれば、ロハス的でもあります。映画でいうと「イル・ポスティーノ」という作品がありました。有名な詩人の家に手紙を届けにいく郵便配達員の話で、詩人が遠くへ行ってしまったあと、詩人が残していった大型のテープレコーダーに波の音などを吹き込む。ほんとうは詩を書きたいのだけど、波の音や空にみえている星のようすなどを録音するわけです。

シンセサイザーで波の音を合成しているより、そちらの方が楽しいかもしれない。デジタルで構成された音楽も楽しいのですが、自然の音も音楽のひとつ、といえるかもしれません。

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■Ace Musicさんの無料VSTiは以下のサイトのダウンロードのページにあります。muzieに公開しているぼくの曲では、そのものずばりですがAdventure of the Seaは「Adventure」という曲で使わせていただきました。
http://www.ace-music-exp.com/

■24ビットWAVE/MP3レコーダー「R-09」のページ。
http://www.roland.co.jp/FrontScene/index.html

投稿者 birdwing : 2006年7月18日 00:00

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