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2006年8月 5日

効果音と映像表現。

趣味のDTMで音楽を創っていて、ああ、これができればいいのにな、と思うのは、音楽に映像を加えることです。映像を扱うことができれば、もっと楽しめそうな気がする。

歌詞のついている曲であれば、ある程度は歌詞という言葉によって情景をはっきりと限定することができて、歌詞で映像を喚起させることもできます。しかしながら、インストの曲の場合はどうしても抽象的になります。自分の頭のなかに浮かんでいるイメージがあるのに、曲調に反映できないことがあってもどかしい。

そういうときに仕方なく使ってしまうのが効果音ですが、夏らしい感じということで創った「あの夏、後悔と夕焼け。」という曲では、何度かブログで取り上げましたが、Ace Musicさんで無償で提供されているAdventure Of the SeaというVSTiを使いました。TTS-1というシンセサイザーの波の音だけでは、ざーっというノイズっぽい感じにしかなりませんが、このAdventure Of the Seaを加えることで、波が崩れる音のほかに波の泡立つ音などが付加できます。

ということを書いていて、そういえば他にも面白い無料のVSTiがあったことを思い出しました。VSTiというのはソフトウェア上で機能するプラグインのようなものです。ぼくはホストアプリケーションとしてSONARというソフトを使っているのですが、そこにVSTiを読み込むとシンセとして使うことができる。ぼくの場合、そうやってVSTiだけを使ってノートPC(VAIO)完結で曲を作っています。

ほんとうはきちんとした外部音源もほしいのだけど、何しろお金がない。ところがインターネット上には無料配布のVSTiというものがいくつも公開されていて、ある時期、インターネットで無料のVSTiを漁りまくっていたときがありました。そのときに70弱ぐらいの無料VSTiを試してみたのですが、なかには動作不安定なものや、やたらと重くなってしまうものもある。けれども、これを無料で配布しちゃっていいのかというものもあって、いろいろと重宝します。貧乏系の趣味DTMであれば、この無料VSTiを使わない手はありません。

そこで、SE(サウンドエフェクト)系のVSTiで、Adventure Of the Sea以外のものを紹介してみたいのですが、TWEAKBENCHの「Field」。これは実際の街頭の音をサンプリングしているようで、それをループで流しつづけるものです。

プリセットには「rain」「street」のほかに、「tokyo」「shibuya」もあって、どうやら実際の街の音らしい。muzieというサイトで曲を公開しているのですが、Rain_Danceという曲で使わせていただきました。mp3のファイルでよく聴かないと分からないと思うのですが、中間部分とラストの部分で使っています。最後の部分は、にゃあと猫が鳴く声が入っているのだけど、これが「Field」にプリセットされている「home」だったかと思います。ちなみにイコライザーも付いているので、ざわめく音のキャラクターを変えることも可能です。

しかし、やはりSEはSEでしかなく、映像を加えたくなってうずうずすることがあります。映像表現と技術についてはぼくはまったくのシロウトなのですが、最近の映画で使われているCGはほんとうにすごいものが多く、さらに子供向けの特撮番組でも何気なく凝った映像づくりがされている。どこまでが実写で、どこからがCGかわからなくなりつつある。

一方で、リアルに向う方向ではないCGというのもあるようで、先週面白いと思ったのは、キアヌ・リーブスの最新作でロトスコープという手法を使い、アニメーションと実写を融合させたような効果を出すものでした。CNET Japanの「キアヌ・リーブス新作「A Scanner Darkly」--アニメと実写を融合した技法「ロトスコープ」とは」で紹介されています。実際に映画のトレイラーによってその技法による映像をみることができるのですが、どちらかというとアナログっぽい。それでいて奥行きのある不思議な映像です。原作はフィリップ・K・ディックであり、というとブレードランナーを思い出してしまうのですが、新しいようで懐かしいこの映像技術が映画全体にどのような効果を与えるのか楽しみです。

ビデオをまわして撮影するのは大変だけれど、Flashアニメという選択肢もある。DTMマガジンでFlashの紹介をされていて、たぶん技術的な知識があり、絵心のあるクリエイターであれば、音楽+アニメという形で簡単に作ってしまえるものかもしれません。

今日の昼に王様のブランチで「やわらか戦車」というFlashアニメーションが紹介されたのだけど、これは楽しいです。テレビで紹介されるぐらいなのでもう旬とはいえないのかもしれないのですが、キャラクターグッズも販売されるらしい。戦車のキャタピラの音や、ちゅどーんという爆発音などのサウンドエフェクトが気に入ってしまったのだけど、無料の音の素材にもあるだろうし、シンセサイザーにもプリセットされているので、こういう動画を作るのは楽しそうです。

このやわらか戦車という作品は、いいですねえ。戦車なのにやわらかいのもいいし、退却して後ろ向きなのもいい。全作品それぞれ楽しめます。こういう作品を創ることができると、ほんとうに楽しいだろうなあ。目を吊り上げて戦争を批判するよりも、こうやって馬鹿馬鹿しくパロディにすると、闘う力も抜けそうな気がします。脱力系でよいです。

全部ひとりでやる必要もないと思うのですが、やろうとすれば音楽から映像まで全部ひとりでできちゃいそうな時代になってきたということに、あらためて驚きます。YouTubeをはじめとした映像の氾濫には悪影響があるのではないかという不安もありますが、この技術を当たり前のものとして育つ次の世代の子供たちは、ひょっとするとぼくらの想像を超える才能を開花させるようになるんじゃないかと、ちょっと期待もしています。

投稿者 birdwing : 2006年8月 5日 00:00

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