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2006年9月 2日
空気の透明度。
夏が終わって秋に向かうこの季節。空気の透明度が増すような感じがして好きな時期です。と、なんとなく詩的な言説になってしまったのは、トラックバックをいただいた茅須まいるさんのブログで感性とかセンスとは何か、ということを読んでそんなことを考えたからなのですが、秋の夜長にしみじみと哲学や芸術などについて考えられる季節になってよかったなあ、という気がしています。夏の暑い時期には、頭のなかはあちーばかりで埋めつくされていて、それだけでもう思考停止の状態だったので。暑いのは嫌いではないのですが、暑すぎるのは問題です。適当に暑くあってほしい。
夏の休暇を使って札幌の駅に降りたときに感じたことも、空気の透明度が違う、ということでした。それは単純に湿度の問題なのかもしれませんが、日差しは強かったのに(日焼けしてしまった)、さらりとした触感の空気が印象的でした。それは慣れてしまうとふつうになってしまうもので、たとえるならビールの一杯目のうまさ、という感じでしょうか。きりりと冷えた液体が喉を通過していくような感覚がありました。
さて、昨日は近所のCD屋さんに立ち寄って、ドナルド・フェイゲンの13年ぶりのソロを買いそびれていたので買うつもりだったのですが、いろいろと物色しているうちに思わずトラッシュ・キャン・シナトラズの完全生産限定版の「snow」を買ってしまった。夏なのにsnowは早すぎだろう、という気もしたのですが、CDを聴いてみたところ彼等らしい透明なギターの音に感激でした。さらにDVDも付いているのですが、一曲目のアコースティックギターにしびれた。美しい。ボーカルも美しすぎる。
snow(2006 Edition)(DVD付) ランディ・ニューマン トラッシュ・キャン・シナトラズ ソニー・ミュージックレコーズ 2006-06-28 by G-Tools |
ところで、雪といえば、しばた歩実さんというインディーズアーティストさんに「ゆき」という素敵な曲があり、渋谷のライブハウスで演奏するときには、なんきんさんのアニメーション付きで、これがまた泣けるアニメーションで、夏の暑い時期にも「ゆき」は定番だったのですが、透明感あふれる歌声とピアノの演奏で暑さを忘れさせてくれたことを思い出しました。ママミュージシャンとしてNHKのポップジャムにも出演されたしばた歩実さんの音楽は、ぼくの志向している音楽とはまったく違うのだけど、ときどき聴きたくなる音楽です。聴くと癒されて、現実を受け止めようという気持ちになります。いま、しばたさんは二人目のお子さんが生まれて音楽活動を休止されているのではないかと思うのですが、またぜひ聴きたいですね、「ゆき」。
ぼくも稚拙ながらDTMを趣味としているのですが、「ハツユキ」という曲を作ったことがあります。これは社会人バンドをやっていた時期、多重録音をしてデモテープをメンバーに聴いていただいたことがありました。このバンドはものすごく強力なアーティストがふたりいて、それはぼくの学生時代のゼミの先輩とそのお兄さんだったのですが、おそるおそる曲を提出するのですが喧々諤々の議論が行われる。なかなかよい評価をもらえることが少なかったのですが、比較的よい評価をいただいた曲です。打ち込みで作り直して、Vocaloidという歌うソフトウェアに歌わせた曲をmuzieで公開しています。いちばん最初にVocaloidでつくった曲でした。未来的なアプリケーションだったけれど、なんて面倒なんだ、と思ったことを思い出します。その後、Vocaloidのエンジンがバージョンアップしてかなりよくなりましたが。
透明であるためには不純物を排する必要があります。けれども、クリーンルームのような無菌状態で人間は生きてはいけないものだとぼくは思う。問題や課題を抱え込んだまま生きなければならないのがぼくらの宿命でもあり、完全な透明性は不可能だからこそ、透明であることに憧れるのかもしれません。空気が少しずつ澄んでいく夏の終わりに、そんなことを考えてみました。けれども、やっぱり暑い。まだまだ夏がつづいています。
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■トラッシュ・キャン・シナトラズの公式ページ。音が出るのでご注意ください。遠く垂れ込める雲、草原を渡る風というようなイメージがよいです。1枚目の「Cake」は聴きまくりました。
http://www.trashcansinatras.com/
■しばた歩実さんの「ゆき」は、「東京ホットインディーズ」のバックナンバーのページで試聴ができます。
http://www.hot-indies.co.jp/RA71/ra71.html
投稿者 birdwing : 2006年9月 2日 00:00
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