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2006年11月 1日

難問ばかりのツキはじめ。

まだ余力があるものの、並行していくつかの仕事が動き出し、回転している皿が止まらないように回しつづけている毎日です。けれどもどうしても零れてしまうものもある。うまく拾えることができればいいのだけど、簡単に思えるようなことも、複数の何かが絡み合って押し寄せてくると、手に負えなくなったりもする。こんがらがった頭のなかをどのようにして解けばいいのか、その答えを求めつつ、うまく跳躍できるように願ったりしています。

今朝、電車のなかで日溜りのなかでうとうとしていたら、ふいに小学校の頃の花壇を思い出しました。その花壇を詳細に思い出そうとしていたら花壇ではなくて、渡り廊下だとか、靴箱だとか、そんな陰影に彩られた記憶が鮮やかに蘇ってしまった。ああ、そうだっけ、こんな風景をみていたことがあった、と、何が記憶をずるずると再生しはじめたのかわからずに、それでもぼくはその風景を流れるままにしておいた。けれども完全に身体感覚まで再生できるところには至らずに、どこか言い出せない言葉のようにもどかしいものがありました。なんだったんでしょうか。ぼくが考えるに、きっと思い出した風景ではない別のどこかに、封印して忘れ去ろうとしたぼくの大事な記憶があるのかもしれません。その記憶を思いだしたくないばかりに、花壇のことばかり再生されてしまう。

さて、難問を片づけるよりよい方法論について考えているのですが、いきなり全体に着手しようとしないことかもしれません。ということは、全体を俯瞰することが大切である、と書きつづけたぼくのブログの趣旨とはまったく逆かもしれないのですが、俯瞰して答えが出ることもあれば、俯瞰しない瑣末なあれこれに注目したほうがよいときもある。こんがらがった全体をどうにかしようとせずに、まずは手もとにある糸の絡まりを解いてみる。昨日の日記で原研哉さんの書物から引用したのですが、「着眼大局着手小局」です。

仕事の難問のひとつには、4つの立場をそれぞれWinな状態にする、という案件があります。これがまた難しい。この難しさを体験してしまうと、プライベート/パブリックの成立などは、おちゃのこさいさい、という気もする(そんなことないけどね)。まだ結論はみえません。というかスタートラインに立ったばかりです。スタートラインに立ったけど、ちょっとやめときたい、という後ろ向きな気持ちもないことはないのですが走り出せば何かが変わるかもしれません。変わらないかもしれません。うーん、どっちだろう。

散財がつづきますが、今日もまたCDを買ってしまいました。alva noto+ryuichi sakamoto の「revep」です。

B000GINIE6Revep
Alva Noto & Ryuichi Sakamoto
Raster Noton 2006-06-12

by G-Tools

「insen」が欲しかったのですがなかったので注文してしまった。fakeplasticのブログで紹介されていて、まずジャケットのデザインがいいな、と思ったのですが、実際に手にしてみるとさらにいい。マットコート系の白地にやわらかい色が映えます。そして音は「!」でした。そもそも日曜日に自分の曲を手直ししながら、音を切り貼りする手法を用いていたのですが、このアルバムはまさにそんな電子音で作られています。偶然の一致というわけではないけれど、いまのぼくの気分にぴったりでした。ただし、そんな手法はもちろんのこと、漂う音そのものの重なりだったり、揺らぎが心地よい。癒されました、今日も。

難問ばかりの神無月。天気はよかったのですが、帰宅時には月は雲に隠れてみえませんでした。ツキがなかったとか言ってみたり、言ってみて後悔したり。

投稿者 birdwing : 2006年11月 1日 00:00

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