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2007年1月21日

21グラム

▼Cinema07-005:三つ巴の人生に、ハート(心臓)が痛む。

B000F4MPEK21グラム
ショーン・ペン ナオミ・ワッツ ベニチオ・デル・トロ
東北新社 2006-05-25

by G-Tools

心臓病を患う大学教授ポール(ショーン・ペン)とその妻(シャルロット・ゲンズブール)、幸せな家庭だったのに、突然の交通事故で幼い少女ふたりと夫を失うクリスティーナ(ナオミ・ワッツ)、そして何度も刑務所に入ったり出たりしながらもキリスト教を信じて改心しようと思いつつ、結局のところクリスティーナの子供と夫の事故の加害者となってしまうジャック(ベニチオ・デル・トロ)の、三つ巴の人生が描く物語です。

クリスティーナの夫はドナーとして、心臓をポールに提供します。ポールはドナーが誰かを突き止めて、彼女のことを思い、何かできないかと考える。そうして彼女に近づいていくのですが、彼が夫の心臓の持ち主であることを知ると、最初はクリスティーナは激怒する。下心があって近づいてきたからと思うからです。けれども落ち着いて話をして、ポールが「心が痛む」という話をすると、やがて強ばった表情がやわらいでいく。そうしてふたりは激しく愛し合う。そりゃそうですよね。夫の心臓なんだから、死後に残した妻に出会ったら痛むでしょう。心臓に意識があるのかどうか、ぼくにはわかりませんが、考えているのは脳だけではないのかもしれません。

21グラムとは、死後に体重が軽くなる量であって、それが魂の重さかもしれません。ハチドリ一匹や、硬貨5枚と喩えられていましたが、そんな軽いものが悩んだり喜んだりしていると思うと、なんだか儚さを感じます。偶然かもしれませんが、「人は何度人生を行き、何度死ぬのか」というメッセージが映画のなかにあったのですが、これは同時にDVDを借りてきた「ジャケット」においても繰り返された言葉でした。

この映画では、シャルロット・ゲンズブールがちょっとかわいそうでした。ポールの子供を欲しがるのだけれど、なかなかうまくいかない。一方で、事故でクリスティーナの家族三人を殺してしまうジャックは悪人ではあるのだけれど、やはり良心の呵責に悩んでいる。運命に翻弄されるそれぞれの姿が、せつないです。1月21日観賞。

*年間映画50本プロジェクト(5/50本)

投稿者 birdwing : 2007年1月21日 00:00

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2 Comments

quale 2007-01-28T16:15

この監督の前作の”アモーレスぺロス”という映画が一番好きな映画です。
はじめまして、検索できました。
21gよりも良かったです。

birdwing_tn 2007-01-28T17:47

はじめまして。記念すべき第1号のコメントありがとうございます。
この映画の監督は、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督ですね(ぜったいに口では言えない気がする)。アモーレスぺロスはまだ観ていませんでした。検索して調べてみたところ、とても評価の高い映画なので、チェックしておきます。サイトの解説によると、アモーレスぺロスは直訳では「犬のような愛」で、犬が重要な存在だとか。ダン・ローズの小説「ティモレオン」を思い浮かべました。

ブログも拝見しました。ウェブデザイナー/SEO職人さんなんですね。ぼくも関心のある分野です。これからもよろしくお願いします。

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