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2007年1月14日

ロスト・イン・トランスレーション

▼Cinema07‐003:懐かしくて切ないトーキョーの恋。

B0000YTR5Kロスト・イン・トランスレーション
ビル・マーレイ スカーレット・ヨハンソン ジョバンニ・リビシー
東北新社 2004-12-03

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いい映画だと思いました。笑いと切なさと懐かしさが入り混じって、ちょっと泣ける。舞台はトーキョーです(東京と書くよりも、カタカナのトーキョーが似合う)。映画俳優のボブ・ハリス(ビル・マーレイ)はサントリーのCM撮影のために、東京に来日している。一方で同じホテルには、カメラマンの夫に付き添って滞在しているシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)がいる。あまりに特異な日本という文化に戸惑い、結婚しているのだけれど相方との関係がうまくいっていなかったりして、ふたりとも孤独である。ホテルで眠れない時間を過ごしているうちに、ボブとシャーロットはバーで出会い、いろいろな話をするようになります。

とにかく、まず外国人が撮影する日本ってどうしてこうして美しくなるんだろう、という驚きが第一。それから外部から眺めると日本人ってこんな風に滑稽にみえるんだな、という実感が第二。このふたつが印象に残りました。ボブを起用したCM撮影では、時間がなくて、かりかり苛立ったCMのプロデューサーが、古い友人に出会うような表情で!などコンセプトを告げるのですが、通訳の担当者といえば、右から振り向いてください、のように彼の発言を一切無視して行動だけ伝えている(笑)。思わず笑ってしまったのだけど、笑えないものもありました。グローバルな仕事をするのであれば、英語によるコミュニケーションは必須ですね。

結婚に行き詰っている、と打ち明けるシャーロットを、ボブは励まします。きみは全然おかしくなんかない、というように。けれども、子供が生まれると結婚は複雑になる、というようなことをボブは話していて、この部分はなんとなく深く頷いてしまいました。お互いに既婚者で家族があるのですが、ボブとシャーロットは次第に惹かれていく。惹かれるのだけれど、年齢差はあるとはいえ、どちらかというと友達のように話をしてばかりいる。この淡さがよいです。ところが、ボブの方はバーのシンガーのおばさんと行きずりで寝ちゃったりして、それをまたシャーロットに発見されたりもする。いたたたたな場面で、若干ふたりの会話は気まずくもなるのですが、関係全体が壊れたりしない。大人のレンアイだなあ、という余裕を感じました。別れ際にボブはシャーロットに何か耳打ちします。あれは何を話したんだろう。気になります。

シャーロットを演じるスカーレット・ヨハンソンが美しくて、ホテルの部屋で下着でうろうろしていたり、仰向けにベッドに寝そべっていたりすると、なんだかどきどきしました。最近、高所恐怖症になって滑り台に登れなくなってしまった息子(次男)と同様、ぼくもあまり高いところは苦手なのですが、高い場所から風景を眺めることは好きだったりします。そんなわけで、ハイアットのホテルの窓辺に膝を抱えて、シャーロットがトーキョーの風景を眺めるシーンは気に入っています。

監督のソフィア・コッポラといえば「ヴァージン・スーサイズ」でデビューですね。こちらはまだ観ていないので、いずれ観たいと思っています。さらに音楽では小山田圭吾さんの推薦により、はっぴいえんどの「風をあつめて」が使われていたり、ジーザス&メリー・チェインが使われていたりなど注目しました。1月14日観賞。

公式サイト
http://www.lit-movie.com/index.html

*年間映画50本プロジェクト(3/50本)

投稿者 birdwing : 2007年1月14日 00:00

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