« [日記] 星のあかり、夢、新年。 | メイン | [日記] キャッチボールする少年。 »
2008年1月 2日
リーダーの言葉から学ぶ。
20代の頃、“術”の本を読み漁ったことがありました。最近でいうとハック系の書物でしょうか。仕事のノウハウについて事細かに具体的に書かれた種類の本で、たとえば企画書の書き方であれば構成とかチャートの描き方とか技法についてマニュアル風に書かれている。いわゆる実用書のような本です
実用的な本だけに、それらの本で学んだことを実践すると短期間で成果をあげることができます。内容も構造化されているのでわかりやすいし、真似しやすい。しかしながら、長期的には通用しなくなる。つまりですね、具体的な術は環境が変化したときに陳腐化する可能性が高いと思います。環境が変わると使えなくなる。また、小手先で仕事をしていても、仕事に「凄み」は出ない。
いまでこそ言えるのですが、小手先の術を学ぶよりもテツガク(思考)を身に着けたほうがいいのかもしれません。テツガクあるいは考え方のツボのようなものを押さえると、あらゆる業態の仕事もこなせるようになる。専門的でありながら汎用的というか、要するに応用力のある「ツブシのきく」スキルになる。同種の仕事であってもフレームワークを含めた思考法を究めていくと、仕事の処理速度は格段と変わっていきます。
ただ、同時に机上の思考だけではダメで、行動できるかどうかが重要です。どんなに立派なことを述べたとしても行動が伴わなければ、やっていないのと同じ。現場から離れると、とかく安全な場所から言いたい放題の批判であったり、本を読みかじっただけの抽象的なピントの外れた発言をしがちであったりしますが、現場で起きていることについて身を持って体験すると、思考も変わってくる。
これはブログも同じかもしれませんね。まず書くこと。書かずに批判するのは、土俵の外から野次を飛ばしているようなものです。そして、書きながら考えること。考えていることは短期的には実を結ばないかもしれませんが、長期的には必ずそのひとの「身」となって結実していく。
昨年から言葉の力について考え続けているのですが、仕事に関してはリーダーや経営者の使う言葉に注目しています。別に偉くなって、えへんと威張り散らしてスタッフを管理するようなひとにはなりたくないけれど、リーダーや経営者を視野において、現在の仕事をしたいと思う。数字をこういじればこうなる・・・というような変革のノウハウではなく、その背後にある思考、リーダーや経営者のテツガクを知りたい。
そんなわけで、帰省のときから読み始めた「変人力」ですが、非常に感銘を受けつつ1月1日に読了しました。読んでいて涙が出そうになった箇所もあり、この本は熱い。
変人力―人と組織を動かす次世代型リーダーの条件 樋口 泰行 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
年初にふさわしい仕事のモチベーションを上げてくれる一冊でした。元気が出た。著者の樋口泰行さんは、相次ぐリストラで活力のなくなっているダイエーを再生し、現在はマイクロソフトのCOOに就かれているそうです。閉鎖する店舗のひとつひとつに自ら単身で挨拶に行ったり、就任の挨拶のために自ら全国の店長に電話をかけたり、その行動はほんとうに熱い。孤高でありながら、ひとの心を打つ力がある。
けれどもボストンコンサルティンググループに勤めていた経歴も持たれていて、背後には知力と非常に高度な思考力があります。これが凄いなあと思いました。知力×情熱というクールとホットな二面を持たれている。
こういうリーダーにわたしはなりたいものだ、と思いつつ、実は本の感想を書こうとしていたのですが、思い入れが暴走したせいか前書きが異常に長くなり収拾がつかなくなってしまったので(苦笑)、とりあえずはエントリーのひとつとしておきます。「変人力」には、何箇所もの付箋を立てました。いずれじっくりと樋口泰行さんの考え方を学びつつ、記事を書いてみたいと思っています。
ビボウロク的に書いておくのですが、その後、引き続き昨年買ったまま寝かせておいた次の本に着手し、4日に読了。
カンブリア宮殿 村上龍×経済人 村上 龍 テレビ東京報道局 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
村上龍さんが司会の「カンブリア宮殿」というテレビ番組を書籍化したものですが、これもまた面白い。21人の経営者が登場し、聞き手である村上龍さんがその考え方を明らかにしていきます。最後に村上龍さんが、お会いした経営者ひとりひとりについて印象を語るところもいい。やはり経営はひとなんだな、と思わせるコメントに納得するものがありました。
いずれにしても、経営者というのは明るいですね。悩まない。悩むよりも問題解消に努めるようです。もちろん、悩んでいることを独白する人間味のある経営者の方もいらっしゃるのですが、あっけらかんと悩みを述べてしまうところが既に明るい。また、問題自体を楽しまれているような印象も受けます。樋口泰行さんも同じですが、あえて火中の栗を拾うような選択をして、そういうときにこそモチベーションが上がるという性格の経営者も多いようです。
正月、終わらない仕事のプレッシャーのためか休んでも気持ちの安らかではない日ばかりだったのですが、そんな自分がちょっと恥ずかしくなりました。やれやれ、ちっちゃいなー自分(苦笑)。上を見ましょう。そして凄いひとたちの考え方に学んでいきたい。
頑張りますか、2008年。趣味やプライベートはもちろん、仕事もね。
投稿者 birdwing : 2008年1月 2日 00:00
« [日記] 星のあかり、夢、新年。 | メイン | [日記] キャッチボールする少年。 »
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://birdwing.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/113