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2008年1月10日

当たり前の選択、という革新。

r25_080110.jpg仕事の合間に、ほっとレモンでも買おうかとコンビ二に立ち寄ったのですが、フリーペーパーのラックに本日発行のR25があったので手にとってみたところ、なんとインタビューはトム・ヨーク(Radiohead)。すごいなあ!でも、最近どの雑誌見ても(TVBros.まで)トム・ヨークの取材記事なので露出過多という気がしますが。

ただ、なかなか面白かったです、R25のインタビュー。トム・ヨークの穏やかだけれどアグレッシブな感じがよく出ている気がする。

そもそも彼等の最大の話題だったのは、ぼくも年末に購入したのだけれど、「イン・レインボウズ」というアルバムなのですが、

1)バンドのオフィシャルサイトから直接ダウンロード販売したこと
2)しかも、その値段は購入者に任せたこと(!)

ということをやってのけたからでした。

r25_tom2.JPG1)に関して言えば、レコード会社とか流通をすっとばして、アーティストが自分の曲を自分で売りさばいた、ということになります。だいたいアマチュアのミュージシャンは、自分でCD作ってサイトで売ったり、新宿には多いのだけれどストリートライブしながら販売したりするのだけれど、なんといってもレディオヘッドというメジャーなアーティストがインディーズみたいなことをやってしまうのが凄い。iTunes並みのイノベーションなわけです。

しかも、その値段は購入者の言い値、という。ものすごく感激して1曲に10万円という値を付けるようなひともいるかもしれないし、それこそ貧乏であれば10円で購入するかもしれない。こういう言葉で括ってしまうのもどうかと思うけれど、究極の顧客主導であるわけです。

アーティストが、えへんと威張り散らして曲を作り、中間のレコード会社や流通がそこに自分達の利益をくっつけて搾取して、消費者のところに届いたときにはでっかい雪だるまのような値段になっている、そんな音楽業界に対して、ほんとうにラジカルな破壊を行ったと思います。

この姿勢はロックだなあ。しかも、インディーズっぽい。いまさらながらだけれど、ぼくはこういう過激さが好きです。そして、ネットで何かをやるならば、こうでなくっちゃという気もする。

結局ブログを誰がつまらなくしているかというと、アルファブロガーとか広告モデルとか、最終的には従来からあるマスメディア的な思考とかレガシーな何かに収束させてしまおうという動きがつまらなくしているのではないか、とぼくは思う。もっとラジカルな、反主流というか、面白いことができるのではないでしょうか。

R25のインタビューから引用します。今回の試みは音楽業界への挑戦ではなく、シンプルな動機だったとして次のように語っています。R25のWebサイトでもインタビューを読むことができます。

「作品を届けるときに、間に余計な人たちが絡んでいないのが魅力的だった。たとえば先入観を与える情報雑誌のレビューとか、音楽業界の変な政治とかプロモーションとか、そういうくだらないことを抜きにして、とにかく早く音楽が出せるわけ。“ハイ、音楽ができました”“リターンを押す”“ハイ、受け取りました”ってね」

これはものすごく共感。というのはぼくもブログで稚拙ではあるけれども自作DTMを公開しているのですが、ほんとうに作ったその場でmp3にエンコードして、アップロードするまで15分とかからない。できたてほやほやの曲を公開できるわけです。だから次のような言葉にも納得。

「“普通じゃないこと”をやればメディアはすぐに革命的だと言うからね(笑)。最初のうちはそうした反応を楽しんでいたよ。でもね、結局そんなのは俺たちにとっては関係がないことなんだ。いまも普通に多くの人たちがネットを通じて音楽を発表している。俺たちはたまたまそれをちょっと大掛かりにやっただけだ。決断をした理由は単純で、当時の俺たちが置かれた状況から、当たり前の選択をしただけだよ」

この謙虚なのか大胆なのかわからない発言(笑)。そして、解説の次の言葉に大きく頷けます。

前作を03年にリリースし、レコード会社との契約が満了していた。この作品に取りかかっているとき、レディオヘッドはインディーズだったのだ。それも世界一有名で、世界一有力な。

うーん、いいですねえ。しびれる。もともとインディーズ的な何かに惹かれるわたくしですが、ロングテールの末端に巨人がいるようなイメージで、レディオヘッドに限りなく親近感を覚える。というか、応援したい。

r25_tom1.JPG

なのですが、あえて言い切ると、ぼくは「イン・レインボウズ」はあんまり好きじゃないんだな。数回聞いただけで、あとは聞かなくなってしまいました。よくわからないのだが、肌に合わない。熱狂的なファンではないので、もしかするとあまり聴かないアルバムになってしまうかもしれない。「ザ・ベンズ」はかなりのへヴィー・ローテーションなんですけどね。

と、そんなぼくはいまだにダウンロード販売で楽曲を購入したことがない時代遅れです(苦笑)。昨日も会社の帰りにCDを試聴して次の2枚を購入しました。

Surprising Twists!Surprising Twists!
ババマール


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A Little Place in the WildernessA Little Place in the Wilderness
Memphis


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一枚目は、フランスのサーフ・エレクトロ・ポップ(?)。チープな感じが楽しかったので。ちょっとTahiti80っぽいノリもあるかもしれません。埋め込み無効なので、YouTubeのリンクです。

■Babamars - "Move on (Surprising Twists)"
http://jp.youtube.com/watch?v=yJMsAZPbXnU

なんだか怪しい(笑)。2枚目は、ギターが美しいしっとりとした癒し系の音ですね。ジャケットのように霧というか霞の向こう側にある風景のような音です。

トム・ヨークのアグレッシブさに惹かれつつ、ブログなんかも書いているにも関わらず、どこか保守的でレガシーなものから逃れられない自分ですが、それでもやっぱり自分が変わりつつあると感じる今日この頃。当たり前だけど過激、ふつうだけど意外、というような尖り方に憧れます。

投稿者 birdwing : 2008年1月10日 23:36

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