« トランスフォーマー | メイン | プレゼン資料のYouTube。 »

2008年1月15日

センサーの感度が高まって。

どーしたことでしょうか、いい匂いがするんですけど。

街を歩いているとき、書店で本棚の前で立ち止まるとき、なんとなくいい匂いがして思わず深く息を吸い込み、鼻腔を膨らませてしまいます。懐かしい匂いだったり、とても甘い香りだったりする。なんとなく癒される気持ちになったり、切なかったりする。うーむ。ひょっとしてぼくがいい匂いになってる?な、わけないか(苦笑)。加齢臭だったらやだなあ。

感覚が研ぎ澄まされているのかもしれません。以前にもそんな感じになったことがありました。カラダの細胞の組織が突然変異を起こして、まったく変わってしまう感じ。世界が昨日までとはまったく違うものに思えてくる、というか。なんとなくスピリチュアルでいかがわしい気もしますが、ほんとうにそんな感覚なのです。感覚のイノベーションですかね。

そんな風にセンサーの感度が高まっている本日、原田永幸さんの「とことんやれば、必ずできる」という本を読了し、2箇所の書店でしこたま本を買い込んでしまいました。読書欲が高まっております。しかも、久々にちょっと面白い本にめぐり会った気がしています。センサーを解放しているせいでしょうか。

本日、購入したのは次の5冊です。あああ、小遣いが(泣)。

ことばに感じる女たち (ワニ文庫 P- 154)ことばに感じる女たち (ワニ文庫 P- 154)
黒川 伊保子


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
倚りかからず倚りかからず
茨木 のり子


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
春、バーニーズで (文春文庫 よ 19-4)春、バーニーズで (文春文庫 よ 19-4)
吉田 修一


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
細谷 功


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ソーシャルイノベーションデザイン―日立デザインの挑戦ソーシャルイノベーションデザイン―日立デザインの挑戦
紺野 登


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ブンガクから仕事関連までジャンルはいろいろですが(しかも詩集まであったりして)、最初に読み始めたのは黒川伊保子さんの「ことばに感じる女たち」と「地頭力を鍛える」なのですが、これが面白い。交互に平行して読んで、はまりまくっています(現在、それぞれP.60、P.40を読書中)。

まず、黒川伊保子さんの本ですが、そもそもぼくは「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」や「恋愛脳」を読んで黒川さんのファンになりました。AIの研究者で言葉についての研究をされているだけあり、黒川さんの使う言葉はとても魅力的です。感性についての洞察も鋭い。言葉を操るブロガーとして、言葉の力を究明していきたいと考えていきたいぼくとしては、非常に参考になります。

冒頭から読み始めて、言葉の音と身体感覚を述べた部分には思わず背筋に何か走る感じがあったのですが、これは読了後に感想を書きたいと思います。にやりと笑ってしまったのは、文庫本の前書きでした。黒川さんは以下のような問いを投げかけます。

Q. 「仕事と私、どっちが大事?」と女性に問われたとき、正しい答えはどれか?

黒川さんが挙げている選択肢は次です。

①「きみが大事だよ、けれど、きみを大切にするためには仕事も大事だろ?」
②「きみだよ」
③「仕事かなぁ」
④「くだらない」
⑤「ああ、きみに寂しい思いをさせていたんだね、ごめんね」

さて、正解はどれでしょう(笑)。というか、正解も不正解もないような気がしますが、黒川さんが挙げている正解を読んで、なるほどなあ、と思いました。ちなみにその理由はまだ読んでいないのですが、なんとなくわかる。いずれ本を読み進めながら、答え合わせをしたいと思います。

その次の過激な言葉も頷けるものがありました(笑)。若干恥ずかしいのですが引用します(P.5)。

女は「ことば」でイク――という定説は、本当である。
けれど、それはベッドの中で褒めろという意味ではない。
必要なのは、日常のシーンにおける、心のわだかまりを解く「ことば」である。
ベッドに入る前に、「ことば」の勝負は決まっている。女のわだかまりを上手に説いてやれる男は、ベッドで無口でも一向にかまわない。

うーむ。引用していて、ほんとに恥ずかしくなってきた(照)。でも真理じゃないですかどうですか。ちなみに、ときどきブログで黒川さんの本を引用するのですが、このとき共感いただける女性は素敵な女性という気がします。個人的な見解ですけれども。

つづいて、「地頭力を鍛える」ですが、こちらは逆に男性脳的というか左脳的というか、ロジカルな分析が非常に素晴らしいと思いました。コンサルタントの細谷功さんが、インターネットの登場によって思考の重要性が高まっていることを説くとともに、どのような思考が重要であるかについて書かれた本です。

第1章を読んで、思考法をフレームワークに変える見事さにやられまくっているのですが、このことについてはブログでいずれじっくりと書きたい気がするのでいまは触れずにおいて、インターネットにおける「コピペ思考」に対する危惧について書かれた「はじめに」の部分を考察しておきます。

ワープロの登場とパソコンの普及により、手書きをする機会が減っていますが、その弊害というと「漢字が書けなくなる」ということがいちばん大きいのではないかと思います。字が下手になる、ということもありますが。

さらに、インターネットにある膨大な資料や記述を引用し、自分のブログなどに貼り付けることで、他人が言っていることをあたかも自分の考えのようにコピー&ペーストするようになる。これが「コピペ思考」なのですが、漢字を覚えることを放棄するだけでなく自分で考えることも放棄していくようになる。ネットで公開されているテキストを引用することによって、思考停止して白痴化していく。

細谷さんは次のような見解を提示されています(P.3)。

インターネットの向こう側にある情報の大海というのは諸刃の剣である。検索エンジンによってすべての人間が膨大な情報への簡単なアクセスを手にした。しかしこういった膨大な情報を簡単に「コピペ」するという姿勢で使っていたのでは人間の考える能力は退化していき、そのうちにコンピュータにその役割は取って代わられて、そういった人たちはたちまち大海の藻屑として散るだろう。その半面で考える力(本書でいう「地頭力」)を身につけた人はこの膨大な情報を駆使してこれまでとは比べ物にならないような力を発揮できる可能性がある。

このことはぼくも漠然と危機感を持っていました。なので、ブログを書くときに引用を禁じて書いた時期もあります。他人の言葉を引用すると、なんとなく自分で考えたような気になる。けれどもそれは虎の威を借る狐というか、ものすごく安易な借りものの思考でしかない。効率的かつファッショナブルに引用することはできますが、その利便性に甘んじることによってますます考えなくなる。

そもそもぼくは思考力を強化するためにブログを書き始めたのでした。立体的な思考の獲得をめざしていたわけです。どういうことかというと、インプット、つまり情報収集に関しては膨大なネットのテキスト、映画、音楽、小説などを対象として幅広く吸収し、吸収するだけではなくレビューなどで自分で考えたことをアウトプットすることによって、のっぺりとした平面的な思考ではなく、遠近感(パースペクティブ)のある思考を身につけたかった。

そのことによって何を目指すかというと、トランスフォーマーみたいにフレキシブルに自分を変形して、あらゆる状況に対してやわらかく生きていく、ということでした。これは、この本のなかで言われる「地頭型多能人(バーサタイリスト)」に近いかもしれません。

この「バーサタイリスト」という用語自体は、ITコンサルティング会社であるガートナーグループが2005年に定義した造語とのこと。「適応力があってどんな分野でも実績を上げることができる人」 のようです。

ここでふと繋がったのですが、ダイエーからマイクロソフトに転身した樋口泰行さんも、アップルからマクドナルドに転身した原田永幸さんも、バーサタイリストではなかったかと。一方でぼくは、小説を書きつつ音楽を作ったり、仕事について考察しつつ家庭について考えたりしていたのですが、つまり知らず知らずのうちにぼくが求めていたのは、バーサタイリスト的なスキルだったのではないか、と思いました。

そんな発見をしつつ、これらの本をあちらこちら読んでみたいと思っています。無理に繋げる必要はないのですが、自然と繋がってきたり、あるいは別の本を引き寄せたりしてくれるといいですね。なんとなく知的な好奇心がそそられるというか、楽しくなってきました。

投稿者 birdwing : 2008年1月15日 23:30

« トランスフォーマー | メイン | プレゼン資料のYouTube。 »


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://birdwing.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/119