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2008年2月 7日

可視化について考える。

感想が追いつかないのですが、次々と本を読み終えています。「プロフェッショナルアイディア」を本日読了しました。博報堂のエグゼクティブクリエイティブディレクターの小沢正光さんの書かれた本です。

4844323679プロフェッショナルアイディア。欲しいときに、欲しい企画を生み出す方法。
小沢 正光
インプレスジャパン 2007-02-28

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最近の読書傾向として、どちらかというと読んでいるのは仕事の本ばかりですね。小説などブンガクに触れたほうがよい気もするのですが、流されるがままにビジネス系の書籍を購入しています。が、ちょっと買いすぎ。小遣いピンチ。

「プロフェッショナルアイディア」の感想についてはいずれ書こうと思います。しかし正直なところ、いまひとつ。たぶん時期によっては非常に面白く読めたはずですが、ぼくのセンサーとうまく同期していなかったせいでしょうか。文字面を追うような感じ。これは!と引き込まれる内容がなかった。というのはぼくの問題であって、この本の問題ではないような気がしています。

とはいっても、実務のなかから導き出された発想法の集大成という感じで面白い。アイディアは「3回3ラウンド」で絞り出すというような術的なノウハウも書かれているのですが、個人的には、発想の哲学ともいえる数々の視点が参考になりました。先日、マクドナルドの原田永幸さんの本を読んだときにも書かれていたのですが「進歩は階段状。」ということも述べられていて、やはり仕事を究めたひとが到達する真理は同じなのかな、とも思いました。

ところで、現在、仕事の課題としてぼくは、プロモーションの可視化について考えています。いわゆる広告の効果測定などについて、もう一度見直してみたい。

インターネットでは、非常にわかりやすいですよね。シロウトのぼくらでさえ、無料で提供されているGoogle Analyticsなどの解析ツールを使えば、エントリーがどれだけ読まれたか、あるいは検索されたか反応を把握できる。ただ把握したあとに、ではどういう記事を書けばアクセスが上がるか、ということを考えるのは難しい。

可視化について考えるのであれば、ブームは過ぎた感じはあるのだけれど、読み損なっていたこの本をやっぱり読んでおいたほうがいいかな、と思って本日また購入したのがこれ。

4492532013見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み
遠藤 功
東洋経済新報社 2005-10-07

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すいすい読める。見るということについて考察されているページは非常に興味深いものを感じました。ぼくも右目が見えにくくなった経験があり、さらにアフォーダンスなどにも一時期は非常に関心がありました。見るとはどういうことだろう?と考えていたこともあったので、少し冷めてしまった好奇心を掻き立ててくれる。

さらに、広告とは何か、広告の効果測定とは、と考えるためにこれも購入。

4885531837新しい広告
嶋村 和恵
電通 2006-06

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ううむ、詳しい。さすが電通です。なかなか最初からきちんと読んでいくのは辛いものもあるのですが、この機会に初歩的なことから考え直してみよう。

ところで、可視化ということに戻ると、通常、可視化というと、グラフとかピクトグラムとかチャートとか図解するような印象があるのですが、当然かもしれないのだけれど、あらためて「言葉」にすることも可視化のひとつだな、ということを感じました。さらに言語化の一部として数値化もあるのではないか。

たとえば、アイディアや想いはかたちがないですよね。不可視なものです。どんなに想ってても、言葉にしなければわからない。どんなに愛情があっても、「あいしてる」と言わなければ気持ちは伝わらない。超能力者であれば別ですが、想いを読み取ることはできない。もちろん、態度や顔つきで読むこともできます。けれども非言語的な(ノンバーバルな)コミュニケーションは、誤読も多くなるだろうし、距離が離れてしまうと効果を失うこともある。

デザイナーにとっては図解することは何でもないかもしれないのですが、デザインを学んでいないぼくらにとっては図解は難しい。けれども言葉を操って生活する人間である以上、言葉で表現することによって可視化することはできる。その言葉にすることも難しいのですが、とにかく目に見えるもの、沸いてくる想いを片っ端から言葉にしていけば、可視化のエクササイズになるのではないか。要するにブログを書くこと自体が、可視化の練習ともいえる。

本日読み終えた「プロフェッショナルアイディア」では、とにかくアイディアをキャッチコピーにする、ということが書かれていました。「紙に書く」ことを強調されています。以下、引用します(P.27)。

あいまいな思考は、書くことで具体化する。つまり、考えていることが目に見えるかたちになって、はじめてアイディアといえるのである。その意味では、書くことが考えることだといってもいいかもしれない。

さらに手で書くこと、手書きを推奨されています。確かに手で書くことは大事かもしれません。紙の手触り、ペンの動きなども含めて、身体を総動員して考える、という感じがします。実はぼくも企画を立てるときにはPCだけでなく、太いサインペンで紙にぐいぐい書いて考えることがある。こちらのほうがアイディアがまとまりやすいときがあります。

一方で、ぼく個人についていえば、音楽を作ることも可視化のひとつの手段ではないかと考えました。音を視る、ということが正当かどうかわからないけれど、アタマのなかにある何らかの感情やイメージを音に置き換えるとき、それはカタチのないものにカタチを与えている、つまり可視化しているような気がします。さらに音符で譜面に書いたり、DTMでいうとピアノロールにプロットされたデータだったりすると、ほんとうに音が目に見えるようになっているわけなのですが。

というわけで再び浮上してきた可視化というテーマに、いろいろな本を読みつつ、思考を深めていきたいと考えています。

投稿者 birdwing : 2008年2月 7日 23:12

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