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2008年2月26日
マップいろいろ。
思考系の本を読んでいると、俯瞰(ふかん)という言葉がよく使われます。なんとなく難しい言葉ですが、要するに「全体を見ること(見えるようにすること)」です。フェルミ推定を中心に思考力の強化方法について解説された「地頭力を鍛える」という本を先日読んだのですが、ここにも出てきました。
たとえば地上をとぼとぼ歩いている犬には、この道の先に何があるのかわかりません。まだ目的地に着かないのかな、ぼくはどこを歩いているんだろう、と不安になる。けれども鳥になって上空から見渡せば、もう少し先に川があって、その向こうに森が広がっていることがみえる。目的地の近くにいることもわかる。
ぼくらは主観によって近視眼的にものごとを見がちです。だから、目的地までの距離が掴めずに不安になったり、苛立ったりする。けれども仮想的に鳥の視線を獲得すれば、自分の周辺よりも少しだけ先の全体を見渡せることができるかもしれない。見渡すことで自分の現在位置を把握して、目的地までの距離を測ることができます。
ぼくのハンドルBirdWingは、さまざまな知識やアートを吸収しながら現在よりも高い場所に飛び立ち、視野を拡大していきたいという願いを込めて付けました。ちょっと大袈裟だし、名前負けしてますけど(苦笑)、志だけは高く持っていたいと思っています。
気をつけたいのは、誰か他のひとを見下ろすために高い場所へと飛び立ったわけではないということです。こんなことも知らんのかーと他者を蔑んで自己満足するために空をめざしたのでは、飛び立った意味がない。そんな鳥は打ち落とされてしまえーという感じです。上空をめざしながらも地に足のついた犬の視点も忘れずに、全体と部分を行き来するような考え方のできるひとになりたいですね。
ところで、現在では人間は鳥よりも上空から眺めることができます。人間は飛ぶことはできないのだけれど、知恵で高みからの視点を獲得しました。たとえば人工衛星からの画像。GoogleマップやNASAの映像などでは、かなり高度の高い場所からリアルな地上を眺めることができます。
俯瞰のいちばんわかりやすい具体例が地図だと思うのですが、何気なく読んだ中日新聞のニュースで「利用者参加でネット地図 『オリジナル』の楽しみ」がなかなか面白いと感じました。
いわゆるマッシュアップなのですが、地図を媒介としたコミュニティというか参加型のコンテンツが紹介されています。そのうちのひとつが「ポストマップ」。ポストをみつけたらひたすらポストの位置を書き込んでいく、というサイトです。以下は、記事から引用します。
さいたま市の会社員・吉田さん(31)は、マイカーを運転中に見覚えのない郵便ポストを見かけると、車を止めてポストの場所や付近の目印をメモする。帰宅すると、さっそく「ポストマップ(ポストをひたすらマッピング)」のサイトにアクセスし、ポストの位置などを書き込む。偶然出合ったサイトだが、自宅近くや通勤途中に見つけたポストを投稿してから、やみつきに。「新しい趣味ができた。みんなで作っていく感覚が楽しい」という。
実際にサイトを探してみました。こんな感じです。
■ポストマップ
http://postmap.org/
うわ、ピンで刺さっているようにポストの位置がプロットされています。現在 72,037 ポスト (全国191,423ポストの37.632 %)だそうで、まだ40%に満たないカバー率とのこと。けれどもみんなでやっきになってポストを探したら、いずれは埋まってしまうのではないでしょうか。そのあとは・・・考えないでおこう。最後のひとつのポストがみつからないということになったら面白そうですね。
確か長男くんの宿題にも、かつてポストのかたちを調べてきなさい、というものがありました。それにしても電子メールが全盛の時代。ちょっと影の薄くなった郵便ポストですが、こうやって見直してみるのもよいものです。そのうちに遺跡のような扱いになってしまうと困りますが(苦笑)。
そんなわけで「マップ」をキーワードとして地図的なものをいろいろと探していたのですが、なかなか面白いグラフィカルな画面に出会いました。まずは最近、新書ばかり購入しているぼくにぴったりの「新書マップ」。トップページの中央にある検索画面にキーワードを入れて検索ボタンを押します。
■新書マップ
http://shinshomap.info/
「音楽」で検索してみました。すると、次のような画面で関連テーマがマップ化されます。マップというよりも、どこか星座早見表のような感じ。関係ないのですが、星座もマップのようなものでしょうか。
左側のボタンを操作すると、書棚のような画面で関連するテーマの新書を背表紙で眺めることもできます。
つづいて、「あたらしい“ケンサク”体験」と銘打たれたクラウドマップ。これは、ブックマークなどを関連性から視覚的に配置してくれます。なんとなく立体的な空間を探索していくようで楽しい。トップページはこんな感じ。
■クラウドマップ
http://cloudmap.jp/
東京大学の研究室の成果をもとに作られているようですね。そういえばカリキュラム(シラバス)をこのような画面でみせているページがあったような。「クラウドマップとは」のページから次を引用します。
従来のタグクラウド(※1)のような平面的な表現ではなく、関連のあるコンテンツとキーワードを 同時に3次元空間に配置することを可能にしました。 これによって例えば、コンテンツの人気度を「高さの違い」で表現できます。 また、コンテンツやキーワードをそれぞれ複数の点で表現表現することで、より柔軟な表現を可能にしました。
確かに平面よりも奥行きがあって立体的なほうが、モノをかきわけて探索するイメージがあります。すべてがこのインターフェースではなくてもよいと思うのですが、セカンドライフもただリアルを模倣するのではなく、情報をモノのように扱うと面白いと思うのですが。ちなみに「MOVIE」で「はてなbookmark YouTube」の検索に進んでみるとこんな画面が広がります。
先日、マルチタッチスクリーンが面白いなーと思っていろいろと調べてエントリーを書いたのですが、ハードウェアだけでなく、情報をどのように整理するか、マッピングするかという技術も興味深い分野になりそうです。というか、そもそもマーケティングの分野では十字の座標にプロットする手法が常套手段としてあるので、 だから関心があるだけなのかもしれません。
しかしながら、いちばん難しいのが自分の位置づけではないでしょうか。うーむ、わたしはどこにいるのでしょう(と、村上春樹さんの「ノルウェイの森」のラストのようなことを呟いてみたりして)。
投稿者 birdwing : 2008年2月26日 23:24
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