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2009年4月10日
アイアンマン
▼cinema09-12:鋼の科学者という最終兵器。
アイアンマン デラックス・コレクターズ・エディション (2枚組) [DVD] グウィネス・パルトロー, テレンス・ハワード, ロバート・ダウニーJR., ジェフ・ブリッジス, ジョン・ファヴロー ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2009-03-18 by G-Tools |
このところ映画は「きまぐれロボット」「僕の彼女はサイボーグ」と、SFものを中心に鑑賞してきました。「アイアンマン」もロボットつづきと言えなくもない。正確にいうと戦闘スーツという感じでしょうか。要するに人間が入った"かぶりもの"のロボットです。バットマンなどと同様、アメコミを実写化した作品です。
軍需産業というと、平和を乱して殺戮によって儲ける汚い産業であると批判されがちですが、巨大な利益を生み出すイノベーションのインキュベーターである、という印象もあります。ホリエモンが夢見ている宇宙産業も軍需産業のミサイル作りが基盤になっていると思うし、インターネットでさえ、もとは情報戦を制するためのネットワークであったように記憶しています。自分もしくは自国を守るためには、開発競争も必死になる。だからこそ、さまざまな技術革新が生まれたのかもしれません。
暴論かもしれないし、実際に戦争で命を落としてきた人々には申し訳ないことですが、人類の進化のためには戦争は必要になることもあります。そこで何を学ぶか。ほんとうは痛い目をみずに学ぶことが大切だけれど、人間社会の悪が活気的な技術の進歩、人間の進化に貢献する場合もあるでしょう。
兵器製造会社のカリスマ社長トニー(ロバート・ダウニー・Jr)は、自社製品のプレゼン直後に銃撃されて心臓に傷を負い、ゲリラたちに拉致されます。通訳の男と洞窟のなかに閉じ込められて、この材料でミサイルを作れ、ということを指示される。しかし、ゲリラたちの言いなりになっても解放されたらどうせ殺されるだろうと考え、ミサイルを作っているようにみせかけて、ひそかに自分の心臓を守るアーク・リアクターと呼ばれる動力源を開発し、彼等に立ち向かうための戦闘スーツを組み立てます。
がらくたから作った戦闘スーツで命からがら逃げ出して、兵器作りはやめだ!と宣言するのだけれど、彼の会社の重役たちは兵器づくりの甘い蜜を諦められずに・・・。
冷蔵庫の残りもので作っちゃいました、という美味い料理には感動しますが、がらくたから戦闘スーツできちゃいました、という彼の才能が凄い。SFだからということもあるかもしれないけれど、技術者魂というか発明家魂というか、そんなロマンに惚れました。ガレージでコンピュータを組み立てたスティーブ・ジョブズのようなイメージも重なりましたが、最悪の環境のなかで最高のものを作り上げる天才に憧れます。
設計図は見張りのゲリラたちに気づかれないように巧みに分断されていて、重ね合わせるとロボットの形になる。しかも、足からジェットを噴射して空まで飛ぶことができる(結局、ばらばらになって落っこちてしまいますが)。とんかん自分でハンマーを打ちおろして鋼の戦闘スーツのプロトタイプを作っていくのですが、こういう科学者っていいなあ、と思いました。
さらにいいなあと思ったのは、彼の自宅の地下室。研究室のような場所が気に入りました。最先端の3DによるCADのようなパソコン画面に向かいながら、自分で改造したクルマのエンジンを設計し、テストしていたりする。ゲリラたちの捕獲から逃げて生きながらえた彼は、ここで洞窟のなかで作った戦闘スーツを、さらに改良して完成させていきます。
このとき、彼の天才的な発想を手伝い、助手を務めているのはマジックハンドのようなロボットです。J.A.R.V.I.S.(ジャーヴィス) という人口知能で、彼の地下室全体も制御しているらしい。ちょっとさびしい気もしますが、アームだけのロボットが結構やさしかったり、愛嬌のあることを言ったりもするので和みました。完全に機械による存在でありながら、どこか人間のように親近感がわきます。
隠れ家は男のロマンですね。地下室が、男ごころをくすぐりました。書斎というか、研究室というか、自宅スタジオというか、趣味や自分の世界に没頭できる部屋は、ぼくら男性にとっては夢の城ではないでしょうか。
考えてみると、いまぼくの住んでいる家にも、地下室と屋根裏部屋があり、いまのところ無駄に空いています。地下室は、明かりとりの窓があって外光を取り入れるようになっているのだけれど、隣りがバスルームなので、暗いし湿度が厳しそうなので、そこを自分の部屋にすることは諦めました。しかし、なんとなく地下室に篭りたい気分がする。
トニーと対立する悪い重役も彼の設計図を入手して、模造したロボットを作ります。2体の対決はなかなか見どころです。なんというか究極の兵器は科学者そのひとなのだな、と。
戦闘スーツを着用するシーンはレースのコックピットのような感じで、四方八方からマジックハンドのようなものが彼の身体にスーツを装着していく。人工知能を完全に信頼していなければできないことで、装着したのはいいけれど簡単に脱ぎ捨てられないのは面倒だな、トイレはどうするのだろう、閉所恐怖症のひとにはこいつはおススメできません、と、どうでもいい瑣末な日常的な心配ごとを考えてしまいました。
どんなに技術を模倣できたとしても、技術者のこころと頭脳がなければ、兵器もただの鉄屑になります。少年のこころを奮い立たせるような、そんな映画でした。4月5日観賞。
■トレイラー
■公式サイト
自分のアーマースーツを作って、シューティングゲームができます。
http://www.so-net.ne.jp/movie/sonypictures/homevideo/ironman/
投稿者 birdwing : 2009年4月10日 23:46
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