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2007年1月29日

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aus / Lang

▼Music07-007:記憶を撹乱するような、音の輝きに眩暈がする。

LANG
aus
LANG
曲名リスト
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仕事の帰りにCDショップで試聴をしまくり、デトロイトテクノあるいはHOUSEのコーナーで過激なリズムのCD購入を考えたのですが、エレクトロニカはどうだろうと思ってコーナーを移動したところ、この一枚にやられました。ジャケットは、突堤の先端で戯れるカップル、その向こう側に太陽を反射してハレーションを起こしたような海が広がる写真です。聴いてみたところまさにこのジャケット通りの音で、まるで光の粒子が飛び交って、脳内の記憶を撹乱するような輝きがあり、2曲目の「Halo」には思わず眩暈を感じるほどでした。美しい。そんな、きらきら感が満載のエレクトロニカです。

このジャケットの風景をみていて思い出したのは、谷川俊太郎さんの「コカコーラ・レッスン」でした。海に向う突堤の先端で、海という言葉と戯れていた主人公が、言葉の総体に襲われてしまうという散文詩です。ぼくが大好きな詩でもあるのですが、よく考えてみるとこのアルバムのタイトルは「Lang」。Langというと、記号論のラング、ランガージュ、パロールという用語を思い出してしまうのですが、ラングは言語体系として、言葉を言葉として規定するものであった気がします(違ったかな)。

このアルバムの音の洪水からイメージされるのはまさに言葉の総体であって、水面に揺れる日差しや、木漏れ日や、雪の上に反射する太陽など、あらゆる光が溢れている。なのに11曲で1800円というのはお安い(そういう問題じゃないか)。そして気になるアーティストは・・・なんと日本人なのでした。すごい日本人もいたものだ。1月29日観賞。

■おっ、公式サイトみつけた。うわ、まだ20代だったりして???

http://www.ausmusik.com/

■myspace
http://www.myspace.com/ausmusik

*年間音楽50枚プロジェクト(7/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年1月21日

a000244

Sigur Ros / Takk...

▼Music07-006:鳥肌が立った。北欧の妖精が降りてきた。

Takk...
Sigur Ros
Takk...
曲名リスト
1. Takk...
2. Glósóli
3. Hoppípolla
4. Meo Blódnasir
5. Sé Lest
6. Saeglopur
7. Milanó
8. Gong
9. Andvari
10. Svo Hljótt
11. Heysátan

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北欧には、ぜったいに妖精がいるに違いない。シガー・ロスを聴いて、そう思いました。すごい。鳥肌が立った。ぼくはスピリチュアルなものをあまり信じない人間ですが、ノイズやストリングスやファルセットボイスやピアノや、そんな分厚い音のヴェールというか圧倒的な光の束が押し寄せてきて、まさに妖精あるいは神様が降りてきたという感覚に襲われました。背筋に電気が走った。何を言っているのかわかりませんが(というか、独自の言語で歌われている曲もあるようなのですが)、ついでにバンドがどういう構成なのかも音が全体のなかに溶けてしまってよくわからないし、さらに11曲が途切れなくつづいていくので個々の曲について述べるのも難しいのですが、これは既存の音楽の枠を超えているのではないでしょうか。細かいことはどうでもよくなって、思わず椅子の上に正座、で聴きました(いや、ほんとうに)。

彼らはアイスランドの4ピースバンドのようです。北欧の音楽に詳しくない若葉マークのぼくは、バンドについて語るのは避けることにします。とはいえ、これが4作目のアルバムとのこと。3作目はタイトルが「()」で、音楽制作に集中するためにあえてタイトルを言葉化しなかったらしい。うーむ、まいりました。言葉化できないものを大切にしたい、とブログに書いているわりには大量の文章で言葉化しまくっているぼくですが、音楽に対する硬派な姿勢もここまで徹底すると他の追随を許しません。

ところで、最近購入した3枚には、どれもジャケットに白い鳥の絵が入っていました。これはどういう意味なんでしょうね。気になっています。「Takk...」のジャケットは厚手の紙が使われてものすごく豪華にできていて、飾っておきたいぐらいです。1月20日観賞。

+++++

特に背筋に電気が走った曲は「Hoppipolla」でした。YouTubeからミュージックビデオです。ちょいワルな老人たちが、まるで子供のように、花火を仕掛けたりピンポンダッシュをしたり万引きをしたり水溜りに飛び込んだりする。長生きの秘訣って、こういう心の若さにあるのでしょうか。

■Hoppipolla music video by Sigur Ros

*年間音楽50枚プロジェクト(6/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年1月20日

a000243

Porcupine Tree/In Absentia

▼Music07-005:夕日の差し込む午後の部屋のような、それでいて研ぎ澄まされた。

In Absentia
Porcupine Tree
In Absentia
曲名リスト
1. Blackest Eyes
2. Trains
3. Lips of Ashes
4. The Sound of Muzak
5. Gravity Eyelids
6. Wedding Nails
7. Prodigal
8. 3
9. The Creator Has a Masterpiece
10. Heartattack in a Layby
11. Strip the Soul
12. Collapse the Light into Earth
13. Futile
14. Drown With Me
15. Chloroform

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このCDをはじめて聴いたのは、銀座の山野楽器の試聴コーナーだったかと思います。あらためて聴き直して、ものすごく新鮮でした。音が飛び込んでくる。最近ちょっとひねくれた音楽ばかりを聴いていたせいだからかもしれませんが、ディストーションのギターからアコースティックに変わるところなど、脳内刷新的な刺激があります。こういう音楽ばっかり聴いていたときがあったっけ、と思いました。

名曲は前半2曲なのですが、実はぼくは後半、7曲目の「Prodigal」のけだるい感じから以降が気に入っています。「Prodigal」では、ボーカルの鼻にかかった感じがいい。コーラスが入ってくるサビも、うわー懐かしいこれって何かのバンドに似ているんだけど何だっけ状態です。トーキングモジュレーター(そんなの昔あったっけ)をかけたような音にもしびれました。一転してベースがごろごろ転がる(笑)ような音の「3」に展開しますが、ストリングスのシンセサイザー(サンプリング含む)が多用された音楽が好みなので、この曲もいい。逆回転など、音作りは凝りまくっていますね。そしてタイトなリズムの「The Creator Has A Mastertape」に入るところなども。

なんとなくの印象ですが、このアルバムを聴いていて感じたのは、夕日の差し込む午後の部屋でした。光が斜めに部屋のなかに差し込んできて、埃が浮遊しているのがみえる。誰もいなくてしんと静まりかえっていて、どこか透明な研ぎ澄まされた雰囲気もある。それは学校から帰ってきて鞄を置いて、さあ音楽を聴こうと構えた10代のぼくの部屋の残像なのかもしれません。理屈とか見栄じゃなくて、純粋に音楽が好きだった頃の。1月19日観賞。

*年間音楽50枚プロジェクト(5/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 23:00 | | トラックバック (0)

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Union Of Knives / Violence & Birdsong

▼Music07-004:エレクトリックでノイズで、ちょっと繊細。

VIOLENCE & BIRDSONG
ユニオン・オブ・ナイブス
VIOLENCE & BIRDSONG
曲名リスト
1. Opposite Direction
2. Operated On
3. Evil Has Never
4. I Decline
5. Even Machines Make Mistakes
6. Taste For Harmony
7. Lick Black Gold
8. Go Back To School
9. The Law Is Against My Heart
10. We Can't Go Wrong
11. You Better Keep Me
12. Infant Eyes -Japanese Bonus Track
13. I Decline -Remix -Japanese Bonus Track

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実はノイジーな音楽とか轟音とか、嫌いじゃなかったりします。アコースティックなものを聴くことが多くなりましたが、なんとなく歪んだギターを聴きたくなるときがある。けれどもヘビメタではなくて、ポストロックというかエレクトロニカ系であってほしい。ぼく自体も趣味のDTMでノイズを取り入れようと頑張ってみたのですが、ノイズにはノイズの文法があるようで、それがまだうまく理解できていません。きっとノイズがはまる文脈があるはずで、そんな曲にも挑戦したいものです。いつか。

さて、今日購入した輸入版CDはこれ。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン+ジョイ・ディビジョンというのが店頭の売り文句でした。エレクトリックなビートに轟音かつノイジーなギターがのり、繊細な自省的なボーカルが歌う。グラスゴーの3人組だったような気がしますが、なんかよいです。6曲目の「TASTE FOR HARMONY」とか、なかなか切ない。次のフィードバックギターではじまる「LICK BLACK GOLD」のリズムも好み。というか、ハードな音なんですが彼等のハーモニーは結構きれいだったりします。1月16日観賞。

+++++

音歪みまくりですがYouTubeからライブ映像。リズムの骨太な感じとか、それでいてリリカルな感じなど最近ぼくの求めている感じに近いかも。でも、ちょっと疲れるかな(苦笑)。ただ、疲れたときにこういうの聴くと効きますね。

■Union Of Knives 'I Decline'

*年間音楽50枚プロジェクト(4/50枚)


投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年1月 9日

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Her Space Holiday + Pcp/the telescope

▼Music07-003:マーク・ビアンキ作の絵本付き、彼らしい物語と音楽。

ザ・テレスコープ
ハー・スペース・ホリデイ+PCP
ザ・テレスコープ
曲名リスト
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01. the telescope (theme song)
02. epic (days upon days)
03. sunday morning (where are you going?)
04. you have my heart (a new emotion)
05. golden (leaving you here with nothing)
06. atmosphere ( we drew a map together)
07. sad wireless (back to where he started)
08. candle (battered and broken)
09. save a place for me (just a feeling)
10. the telescope reading (of course)

Her Space Holidayの音楽は、なんだか遠い場所にいる友達のような感じがします。

マーク・ビアンキのひとりユニットなのですが、彼の人間性が感じられるというか、とってもあたたかい。気がつくとヘヴィ・ローテーションで聴いていたりしました。たぶんストリングスを多用したアレンジと、生楽器と打ち込みのハイブリッドなバランスがぼくの好みなのかもしれません。

ほんとうは別のアルバムを買おうとしていたのですが、ついついこちらを選んでしまいました。絵本付き、しかもマークの書いた物語ということに惹かれました。これは聴いてみたい、読んでみたいぞ、と。そして帰りの電車で絵本を読んでみようと封を切ってしまったのですが、うわ、英語だぞ(苦笑)、と。そりゃそうですね。マークが書いたわけなので。翻訳があったのでよかったのですが、これぐらいの英語にのけぞっていては情けない。英語の歌詞を読んで理解できるようにしたいものです。そうすると音楽がもっと楽しくなるような気がするので。

ちなみに絵本はこんな感じです。つや消し系の落ち着いた色彩で、大人のための絵本という感じ。表紙が結構厚めの紙になっていて、そういえば絵本の表紙ってごっつい紙が多くて、でもそれがいいんだよなあと思ったりもしました。

 

物語はひとりの男の子が主人公で、彼はずーっと部屋のなかでレコードを聴いたり本を読んだりしている。ある日、望遠鏡を覗くと、そこに誰かの夢や戦争や、世界のすべてがみえる。望遠鏡(テレスコープ)の向こう側にみえたことを書きとめたり曲に作ったりして彼は過ごすのだけれど、何かが足りない。そんなとき望遠鏡の向こう側に、ひとりの女の子の姿をみつけて・・・。

そんなファンタジーの世界をイメージする楽曲がインストを中心に10曲。おなじみのストリングスの音も使われていて、ブレイクビーツもあったりして楽しめます。Her Space Holidayの世界にどっぷりと浸かることができます。物語自体はそれほど趣向が凝らされたものではないのだけれど、ひとりでものを書いたり曲を作ったりしている存在が自分にオーヴァーラップするようで、じーんとするものがありました。

マーク・ビアンキの描いた物語のなかで、望遠鏡を通して世界を眺めていた男の子は、女の子と出会い、外の世界に気付く。ドアを開けてふたりで歩き出すのですが、やがて彼は彼女の手をほどいて、ひとりで行こうとする。でも、ひとりになってはじめて彼女の大切さがわかる。そしていちばん大切なものは外の世界にではなく、身近なところにあることに気付きます。不完全な自分だからこそ誰かの存在が必要なのかもしれません。そして、そんな存在と出会えることは、とてもしあわせなことです。さらに加えるならば、大切な存在だったと気付くことも。

インターネット、特にブログを通してさまざまなひとの考え方を知ることも、テレスコープで世界を眺めるようなものかもしれません。けれども、ここにもマークが描いたように、外の世界のことを教えてくれるひとがいる。望遠鏡を覗くのをやめてドアを開けて外に出てみよう、と思わせてくれる

雰囲気のあるイラストは、日本人(といってもカリフォルニアに16年間住んでいた帰国子女とのこと)イラストレーターPcp(北沢平祐)さんの作品だそうです。Her Space Holidayの音楽に視覚的な色彩を与えて、いいコラボレーションだと思います。 音楽のダウンロード販売が進展していますが、イラストレーターとのコラボレーションによる絵本付きCDなどは、新しい需要をひらくのではないでしょうか。ふつうのCDと違って若干お値段も高めなのですが、イラストがきれいだし、この絵本は持っていたい。動画にすればいいのになあと思っていたら、既にPVでCGによるアニメーションになっていました。このPVをみるだけでも、なんとなく優しい気持ちになれます。ちなみにYouTubeでみつけたのですが「Forever & A Day」のPVも絵本らしい感じ。

最近、ハードボイルドあるいは硬派でいこうと思っていたのですが、すっかり軟弱になってしまった。まあ無理せずに自然な自分でいきますか。1月6日観賞。

+++++

テーマ曲および絵本の世界を3DCGで再現したPVです。

■the telescope (promo video)

歌詞のなかで、曲の最後の以下の部分が気に入りました。

Because we're just a dream Pumping through broken hearts We're ripped at the seams and were covered in scars But we will follow that map just like we planned And we will put down that"x" wherever you and I land

そして、曲全体で繰り返される次の言葉で終わります。

We won't look back

「ぼくたちは振り向かない」。地図にはまだ印の付けていない場所がたくさんあります。けれどもその場所に辿り着くには、遠くまで行かなくてもいいのかもしれません。生活という身近な場所で描かれる冒険もあります。

+++++

■PCPさんのブログ発見!
http://blog.goo.ne.jp/paranoidcorp/


PCP1.jpg

ここにトラックバックさせていただこうとしたのですが、現在トラックバックは受け付けていません、とのこと。残念です。でも制作の裏話が読めてうれしい。ついでに、聴いている音楽が参考になります。重なるアーティストも多かったりして。Her Spase Holidayのウェブショップも、もうすぐ立ち上がるとか。

サイトも発見。
http://www.hypehopewonderland.com/top.html

PCP2.jpg

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■telescopeの公式サイト。メイキング写真集やマーク・ビアンキとのチャットインタビューもあって、ファンには楽しいコンテンツです。
http://www.hypehopewonderland.com/telescopeweb.html

*年間音楽50枚プロジェクト(3/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)