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2007年4月27日

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Mogwai / Young Team

▼music022:轟音と静寂の彼方に永遠を信じられそうな。

Young Team
Mogwai
Young Team
曲名リスト
1. Yes! I Am a Long Way from Home
2. Like Herod
3. Katrien
4. Radar Marker
5. Tracy
6. Summer [Priority Version]
7. With Portfolio
8. R U Still in 2 It
9. Cheery Wave from Stranded Youngsters
10. Mogwai Fear Satan

1. Young Face Gone Wrong [*]
2. I Don't Know What to Say
3. I Can't Remember
4. Honey
5. Katrien [Live]
6. R U Still in 2 It [Live]
7. Like Herod [Live]
8. Summer (Priority) [Live]
9. Mogwai Fear Satan [Live]

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こうだったか・・・。よい意味で想像していた音とは違いました。背筋に何か走るものがあった。実は食わず嫌いというか、気になってはいたのだけれど聴くのを躊躇していたアーティストでした。でも、今年になって集中的にこの傾向の音楽を摂取した後であったせいか、ぴったりとはまった。やばいなこれは。

現在のぼくはエレクトロニカ志向ではあるのですが、基本的に趣味でバンドもやっていた経験があり、またDTMでノイズや効果音などを含めて音をいじくるのが好きなので、それらがすべて網羅されたアーティストが気になります。バンド的なグルーヴがありながら知的に計算された録音という感じでしょうか。Sigur Rosなどはまさにそんなテイストだったのですが、モグワイもいいですね。このアルバムを作ったときのメンバーの平均年齢は18歳だとか。だろうな。たぶん才能だけでは出ない音でしょう。尖っている。

アルバムのなかでは5曲目の「Tracy」が好きなのですが、この曲を聴いていて徹夜明けの朝の風景を思い出しました。群青色の空の端が次第に明るくなっていく。街頭の灯りはまだ灯されていて、なんとなくしばしばと目を瞬くと、その光が滲んで見えたりする。疲れ果てていて、足はなんだか重くて、それでも永遠を信じられそうで、家に帰ってはやく眠りたいと思う。それなのに途中の自動販売機で缶コーヒーを買ってプルリングを引いて電柱に寄りかかって飲んだりして、そんなときにぼんやりとしたアタマに浮かぶのは恋人の寝顔。彼女に触れたいと想う・・・そんな勝手なイメージです。というような曲じゃないかもしれないですね(苦笑)。

7曲目「With Portofolio」のリバーブの利いたピアノと暴力的なパン(左右に音を振ること)も過激だ。すごいなこれは!脳内ひっかきまわされます。たぶん不快と感じるひともいるだろうと思うのですが、ひっかきまわされた後で8曲目「R U Still in 2 It?」にすっと移ったときの静寂の快感が凄い。ベースのハーモニクスも美しい。まいりました。この曲の語りかけるボーカルの気だるさといい、トレモロギターの遠さといい、癒されるなあ。アルバムとしての展開もすばらしいです。

輸入版のジャケットは日本語の某銀行名が入っていたりするのですが、さすがに国内版では消されていますね。4月28日観賞。

*年間音楽50枚プロジェクト(22/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年4月11日

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Stafrænn Hákon / Gummi

▼music07-021:Sigur Rosっぽくて癒されるのだけれど・・・。

Gummi
Stafraenn Hakon
Gummi
曲名リスト
1. Járn
2. Svefn
3. P-Rofi
4. Rjúpa
5. Hausi
6. Kvef
7. Purr Purr
8. Glussi
9. Veggur

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何かが違うと感じてしまった、Sigur Rosとは。けれどもそれは自分の問題だと思います。ノイズとか、リバーブの向こう側で鳴っている遠い音とか、グロッケンの響きとか、ファルセットボイスとか、そんなSigur Rosっぽい音ばかりを集中して聴いていたので、なんとなく食傷気味になってしまったのかもしれません。ずいぶん聴いたからなあ、この手の音楽は。


このアルバムは「もはやTakk... の領域に達してしまった」のような言葉で紹介されていたと記憶しています。おお、そうかーと思って試聴してみたところ、確かにそれっぽい。フェネスサカモトのようなジャケットもなんとなくいい感じで惹かれました。


スタフライン・ハウコンという聴きなれない名前ですが、アイスランド出身のソロプロジェクトのアーティストのようです(本名はオラフル・ジョセフソンとのこと)。ノイズとリバーブ、そしてアンビエントなギター、グロッケンというお決まりの音響なのですが、リズムの輪郭が溶けてしまって曖昧な水彩画のような「Takk... 」と比較すると、リズムやボーカルがはっきりしているところが違う。荘厳な、という形容はそのままでよいと思うのですが、力強い印象がある。その辺に違和感があったのかもしれません。Sigur Rosのへなへな感が好きだったので。


と書いていて思ったのですが、比較すること自体がいかがなものか、と。Sigur Rosの二番煎じ的なイメージでとらえるからどうしても辛い評価になってしまうのですが、こういうアーティストであると考えると、また別の聴き方もできるような気がしました。「Þurr Þurr」の気だるいボーカルなんかはいい感じだったりします。全体的にタムを強調したリズムも心地よい。最後の「Veggur」で幾重にも重なるリズムとギターの音像の遠さも聴かせます。


なかなか難しいですね。似たような音の世界を作ると、どうしても素晴らしいアルバムと比較されてしまう。4月11日鑑賞。


+++++


ひとりごとですが、レディオヘッドの再発EPとか、プリペアド・ピアノ(ピアノの弦にゴムや金属・木などを挟んで弾く)のアーティストだとか、その他いろいろと欲しいCDがあったのですが、小遣いが足りません。


*年間音楽50枚プロジェクト(21/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年4月10日

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Blonde Redhead / Twenty Three

▼music07-020:京都の女性+イタリア人双子が創り出す陰翳の音。

23
Blonde Redhead
23
曲名リスト
1. 23
2. Dr. Strangelove
3. The Dress
4. Sw
5. Spring And By Summer
6. Silently
7. Publisher
8. Heroine
9. Top Ranking
10. My Impure Hair

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昨年末ぐらいから音楽に目覚めて、インディーズばかりを聴くようになってしまいました(泣)。別にひねくれて誰も知らないような音楽を選んでいるわけではないのですが、レコードショップで試聴すると、ぼくのセンサーに引っかかってくるのはインディーズ系ばかりです。とはいえ、インディーズにもさまざまなアーティストや楽曲があり、このBlonde RedheadのCDは店頭でパワープッシュされていたものでした。試聴してこれは!と思ってピックアップ。そのまま1時間以上も他のアルバムを試聴していたのですが、結局のところ、他のアルバムに代替されるものではありませんでした。

なんとなくダークな曲が多いのですが、その空気感がなぜかしっくりする。2曲目「Dr. Strangeluv」の明るさと切なさが入り混じった曲に思わず耳を傾けてしまうかと思うと、6曲目の「Silently」の学生時代を思い出させるような透明な楽曲に泣ける。このアーティストのよさは、光と影という陰翳に満ちた音楽のような気がします。ヴォコーダーからはじまる8曲目もいい。なんとなく退廃的な感じもして、それでいて純粋であって、アートな気分にもなれる。ロックがあるかと思うと、打ち込み系もあり、ちょっとジャズっぽかったりもして、ジャンル選別不可能な感じです。

店頭ではあまり詳しくアーティストの詳細をチェックせずに購入したけれど、あらためて解説を読んで、ものすごく個性的なアーティストだということがわかりました。バンド構成はベースレスの3ピースらしい。ボーカルは、日本の京都出身の女性というのも驚きです。しかもイタリア人双子とのユニットらしい(なんだか逆・村上春樹さんの小説的なシュールなユニットだ)。さらに、彼等のPVはジム・ジャームッシュが監督したとのこと。先日、ジャームッシュ監督の「ブロークンフラワーズ」の映画を観たばかりのぼくは偶然の符合を感じました。

それどころかライナーノーツには、ステレオラブの来日公演のオープニング・アクトに立ったこと、セルジュ・ゲンズブールのトリビュートアルバムに楽曲を提供しているなどということも書かれている(!)。ステレオラブ自体、ぼくが好きなアーティストであるのですが、ボーカルのカズ・マキノさん(京都出身)はかなりのゲンズブールファンとのこと。むむむ。ゲンズブールって、あのシャルロット・ゲンズブールのパパですよね。こんなところにゲンさんファンがいたのか。

バックアップしているひとたちも凄くて、3曲だけですがミキシングはアラン・モールダー(ジーザス&メリーチェイン、マイ・ブラッディ・バレンタイン、U2、ナインインチ・ネイルズ、デペッシュ・モードなどを手がけている)と、リッチ・コースティ(ミューズ、フランツ・フェルディナンドなど)とのこと。うーむ、うーむ。あらためていまびっくりしているところです。

アメリカではインディーズにもかかわらず10万枚のセールスがあるバンドらしい。さらっと聴き流してしまいましたが、実力派のアーティストのようです。ヘビロテになりそうな予感。4月10日鑑賞。

+++++

うわーこのPV、凄い好みかも。泣ける。アルバムタイトルにもなっている1曲目なのですが、「23秒で、わたしたちの愛するあらゆるものが消えてしまう」という歌詞もよいです。

■Blonde Redhead - 23

公式サイト
http://www.blonde-redhead.com/index2.html
以下で試聴できます。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000NJLYSK/

*年間音楽50枚プロジェクト(20/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年3月29日

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fennesz + sakamoto/cendre

▼music07-019:音のアフォーダンス、触感に訴えるノイズとピアノ。

cendre
fennesz + sakamoto
cendre
曲名リスト
1. OTO
2. AWARE
3. HARU
4. TRACE
5. KUNI
6. MONO
7. KOKORO
8. CENDRE
9. AMORPH
10. GLOW
11. ABYSS

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一般的にはノイズといえば、雑音にすぎません。耳に障る不快、リダクション(排除)したい余計なもの、攻撃的な轟音。そんな風にとらえられているのではないでしょうか。アヴァンギャルドな音楽で好まれることが多いので、難解なイメージもあります。最近では、ノイズキャンセラー付きのオーディオプレイヤーも人気がありますね。ノイズは嫌われものかもしれない。

けれども「cendre」の音楽におけるノイズは、あたたかい。周囲からふわっと包み込むような音響がやさしい。なんだろう、これは。最近、ノイズを多用した音楽を集中して聴いてきたつもりですが、いままで聴いたことのない音でした。思わずノイズに耳を澄ましてしまった。すると連なる音の向こう側にいろいろな風景がみえてくる。

たとえば、3曲目「haru」。ぼくはこの曲を聴いていて、草原の上を風が渡っていくような、高速度撮影で雲がめまぐるしく動く空を眺めているような、そんな風景が目蓋の裏側に浮かんできて(目をつぶりながら聴いていたんですね)、空間的に広がりのある場所にぽつりと佇んでいる錯覚を覚えました。そうして、イメージはもちろん言葉の断片も浮かんでくる。しかも浮かんでくる言葉は、ちょっと思索めいています。

脳内に浮かんだ言葉のひとつは「音のアフォーダンス」でした。詳しく理解していないので直感的なイメージですが、アフォーダンス(affordance)とは、アメリカの知覚心理学者ジェームズ・ギブソンによる造語らしく、「空間において、物と生体との間に出来する相互補完的な事態」とのこと(Wikipediaより)。

デザイナーである深澤直人さんの「デザインの輪郭」という本にも書かれていて(P.248)、人間は立体を立体として認識しているのではなく、平面的なテクスチャー(素材)の重なりとして認識している、というようなことが説明されていました。つまり前景と背景として複雑な重なりを認識することによって、世界を立体化して見ている。「cendre」における臨場感は作られたものですが、やはり距離を感じさせる音のテクスチャーによって、立体的な音像になっていると思います。

一方で「ノイズとピアノのブリコラージュ」という言葉も浮かんできた。なんとなく思想っぽい言葉がつづくと嫌味っぽくていやだなとも思うのですが、ブリコラージュ(Bricolage)はフランスの思想家レヴィ・ストロースの言葉で、「器用仕事」と日本語に訳されるようです。日常にある道具や材料を使って、創造的な仕事をするということ。

基本的にこのアルバムで用いられている楽器は、ピアノとラップトップだと思うんですよね。フェネスの場合は素材としてギターを加工していますが、有限の道具が無限の音の広がりを生み出す。限りなくミニマルな構成なのだけれど、表現された世界は広い。

その広がりは、ぼくにとっては聴覚というよりも触覚的な広がりとして感じられました。

フェネスとサカモトの音は、ときに背景として遠ざかり、ときに前景としてすぐ手の届く場所に存在し、聴いているぼくの脳のなかにある種の手触り=触感を残していきます。10曲目「glow」を聴きながら感じたのは、ピアノの音に絡みつく針金のような金属的な手触りでした。きりきりと巻きついて成長していく針金的な植物というか。いつしか坂本龍一さんの弾くピアノはぼくの指になって、フェネスのノイズがぼくの指に絡みついていく。そんな幻想。

たぶんフェネスのノイズだけの音楽、坂本龍一さんのピアノだけの音楽では、こうした世界観は成立しなかったのではないか。ノイズ×ピアノというコラボレーションがあったからこそ、人工的・電子音でありながら、まるで仮想世界に手を触れるようなリアリティを持った音楽が生まれたのでしょう。

そもそも自然にはノイズが溢れています。ノイズが存在することは、人工的というよりも自然なのかもしれません。電子音でありながら自然を感じさせるノイズは、メタファとして技術と人間の共存を思わせました。その音のなかに身をゆだねていたら、いつしかまどろんでしまっていました。音楽のせいかもしれないし、春のせいかもしれません。3月28日観賞。

+++++


ところで、余談をふたつほど。

余談1:

ショップでこのCDの隣りに置かれていたのは、ジャック・アタリの「ノイズ―音楽/貨幣/雑音」という思想系の本でした。

4622072777ノイズ―音楽/貨幣/雑音
Jacques Attali 金塚 貞文
みすず書房 2006-12

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これって、ぜったいにずるい(泣)。坂本龍一さんのCDの隣りにこんな本を置かれたら、知的好奇心が刺激されて、読んじゃうじゃないですか。うわー、そういえばこういう本あったっけな、と思わず手にとってしまい、ページをめくったら置くに置けなくなった(苦笑)。で、つい購入。十数年ぶりに買ったのですが、みすず書房の本って高いんですよ(3,200円)。結局、他にほしかったエレクトロニカのCDを諦めました。くそー。CDショップのマーケティング戦略(クロスセリングですかね)に負けてしまった。ちぇっ。

余談2:
趣味でDTMをやっているのですが、昨年の秋頃からがらりと作風を変えました。この新しい音作りのキーワードとなったのがノイズでした。ノイズをどうやって音楽に取り入れていくか、ということを考えつづけています。まだ、うまくできてはいませんが、いろんな音楽を聴いて参考にもしています。ノイズを考えるきっかけになったのは、ネットで閲覧した記事だったのですが、そのおかげで思考がずいぶん広がりました。有り難いことです。

+++++

2008年2月4日追記

坂本龍一さんのインタビューです。このアルバムについて「ロマンティック」と言及されているところが興味深いですね。コモンズレーベルでは、ダウンロード配信のみ(CDは作らない)、アナログ版しか作らない、などと流通についての自由度が高い、とのこと。コモンズというと、クリエイティブ・コモンズがどうしても頭に浮かぶんですけど。また、環境に対する取り組みについても語られています。

■fennesz + sakamoto(ryuichi sakamoto Special Interview)

*年間音楽50枚プロジェクト(19/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年3月27日

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Low / Drums and Guns

▼music07-018:ノイズとヴォーカルで構成された、荒涼とした世界。

Drums and Guns
Low
Drums and Guns
曲名リスト
1. Pretty People
2. Belarus
3. Breaker
4. Dragonfly
5. Sandinista
6. Always Fade
7. Dust on the Window
8. Hatchet
9. Your Poison
10. Take Your Time
11. In Silence
12. Murderer
13. Violent Past

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昨日レビューを書いた「Some Loud Thunder」と同時に購入したのですが、偶然にもプロデュースはクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーのプロデュースを手がけたデイブ・フリッドマンとのこと。他に彼はモグワイなども手がけているそうで、なるほどなあという気がしました。ジャケットには、今回試用した楽器+銃(gun)の写真によるブックレット付きなのですが、ほとんど楽器はドラムのみ。そんなわけでこのタイトルなのか、とあらためて納得したり。ちなみにこんな写真です。

LOW1.jpg LOW2.jpg

ドラムスと最小限の楽器(そしてノイズ)で構成された音響は、バンドにとっては新機軸らしいのですが、もろにぼくの最近の好みでした。残響感のないボーカルをメインにした感じは、デヴィッド・シルヴィアンの「blemish」のような雰囲気もあります。

アーティストについてはまったく知らなかったのですが、8枚目のアルバムらしい。バンドとしての活動は10年になるようです。バンド構成はベースが脱退して3ピースになったようで、そのうち女性がひとり。ミニマルな行間の多い音の文脈に、男性と女性のハーモニーが漂う枯れた叙情性がなかなかいい感じです。ライナーノーツを読むと、トム・ヨークの「The Eraser」的な雰囲気を感じさせるのは、トム自身がロウのファンだからということが書かれていました。へえ、彼に影響を与えているのか。

全体的に灰色の雲が垂れ込めた、冷たい荒涼とした世界を感じさせるのですが、なぜかぼくはこの世界にフィットする。モノクロ映画のようなイメージに、なんだか落ち着いた気持ちになります。いまなんとなく殺伐とした気持ちだからでしょうかね(苦笑)。春に聴く音楽というよりも、秋から冬にかけての季節にぴったりのような気がするのですが、悪くはないです。

おすすめの曲の選別は難しくて、逆回転のギターを含めて全体的な雰囲気がよいのですが、あえてピックアップを試みると、2曲目のSigur Rosっぽい「BELARUS」、リズムとハーモニーが気持ちいい6曲目「ALWAYS FADE」と7曲目「DUST ON THE WINDOW」、短いけれどコーラスが美しい9曲目「YOUR POISON」(なんとなくコステロ思い出した)、厳かな12曲目「MURDERER」でしょうか。「MURDERER」は、コード進行のようなものも気に入っています。

殺伐としたサウンドスケープに癒されているぼくって何?という気がしましたが、なんとなく染みる音です。3月27日観賞。

公式サイト(英語 いくつかの曲が試聴できます)
http://www.chairkickers.com/

+++++

2008年2月4日追記

最少の編成で演奏している「Murderer」。枯れた雰囲気が渋いです。

■Low - Murderer

*年間音楽50枚プロジェクト(18/50枚)

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