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2007年2月21日

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This Will Destroy You / Young Mountain

▼music07-012:ノイズ、轟音、夕闇もしくは星空のような冷たさ。

Young Mountain
This Will Destroy You
Young Mountain
曲名リスト
1. Quiet
2. World Is Our ___
3. I Believe in Your Victory
4. Grandfather Clock
5. Happiness We're All in It Together
6. There Are Some Remedies Worse Than the Disease

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最近よい音楽に巡り会える頻度が高まっているようです。ほんとうは金曜日にまとめて何枚か購入しようと思っていたのですが、あたりを付けておこうと思って会社の帰りにCDショップに立ち寄って試聴したところ、衝動的に購入。ディレイの効いたギター、ノイズと轟音、メロディアスなベースライン(好みです)、バンドっぽいんだけどエレクトロニカな処理、そして透明感あふれる空間的な音の広がり。試聴した瞬間に手に持っていました。

Explosions In The Skyが好きなひとにはおすすめ、という売り文句だったのですが、そのアーティストの新譜を店頭で聴いてみたけれども、こっちのほうがよかった(苦笑)。MOGWAIやSigur Rosが好みのひとにも、とも書いてありました。もしかするとかなりのヘヴィ・ローテーションな一枚になりそうな予感です。

輸入版なので、どういうバンドなのかよくわからないのですが、Amazonのレビューを参考にすると、テキサス出身の4人編成らしい。最近は透明つながりで音楽を聴いているのですが、このアルバムもギターの透明な音色が琴線に触れました。2曲目「World Is Our ___」のシャープな轟音と、3曲目「Believe in Your Victory」のマイナーコード、泣けます。6曲目「There Are Some Remedies Worse Than the Disease 」のイントロのせつなさもいい。ジャンル的にはインストのポストロックなんでしょうかね。こういう音ばかり聴いているぼくにはたまらない一枚です。

音から連想されるのは、黄昏あるいは冬の夜空です。冷たくて、さびしくて、けれども凛とした空気のような感じ。This Will Destroy Youという破滅的なバンド名もぴったりな気がしました。ちょっと壊れちゃった気分のときに放心状態で聴きたい音楽です。2月21日観賞。

Amazonのサイトで試聴も可能です。

http://www.amazon.co.jp/Young-Mountain-This-Will-Destroy/dp/B000FGG5AI/

myspaceではこちら。

http://www.myspace.com/thiswilldestroyyou

*年間音楽50枚プロジェクト(12/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年2月16日

a000278

CLUYTENS / FAURE:REQUIEM

▼music07-011:かなしみと崇高さと、なめらかなヴェールに包まれて。

Fauré: Requiem; Pavane Duruflé; Requiem
John Carol Case Stephen Roberts [baritone] Timothy Hugh
Fauré: Requiem; Pavane Duruflé; Requiem
曲名リスト
1. I: Introit Et Kyrie
2. II: Offertoire
3. III: Sanctus
4. IV: Pie Jesu
5. V: Agnus Dei
6. VI: Libera Me
7. VII: IN Paradisum
8. Pavane Op.50
9. I: Introit
10. II: Kyrie
11. III: Domine Lesu Christe
12. IV: Sanctus
13. V: Pie Jesu
14. VI: Agnus Dei
15. VII: Lux Aeterna
16. VIII: Libera Me
17. IX: In Paradisum

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透明な音楽つながりでシガー・ロスからドゥルッティ・コラムまでいくつか音楽を聴いてきたのですが、どうも自分の好きなジャンルばかりでは広がりがないな、という行き詰まりを感じていました。イノベーションをテーマにブログを書いているのに、革新性に欠けます。

そんなわけで何かないだろうか探していたところ、自宅近くのCDショップで購入。久し振りのクラシックなのですが、冒頭の「入祭唱とキリエ」で感涙しそうでした。美しい。ポップスの弦やオルガンと違って、クラシックの音はまた違った趣がありますね(当たり前か)。やはり耳が慣れていないので、なんとなく疲労感があったりもするのですが、目を閉じると、暗く低く垂れ込めた雲の隙間から光が差し込んで、遠い山並みには積雪が白く輝いている、そんな風景が浮かんだりもします。「サンクトゥス」の明るい盛り上がりかたも気持ちいい。

ぼくは趣味のDTMで、シンセサイザーの人間のコーラスっぽいプリセット音をよく好んで使うのですが、生の人間の声が奏でる表現力にはかないません。折り重なるように、なめらかに連なっていく声のヴェールのようなものに包まれて、崇高なかなしみに浸されるような感じです。解説に、フォーレの音楽は「ほとんど自叙伝的な誠実さをもっている」と書かれていましたが、このフレーズに共感しました。自己に忠実に、音楽の精神性を追い求めた作曲家とのこと。ぼくもブログを書くように音楽を作りたいと考えているのですが、フォーレのようにありたいですね。

過去の迷える魂を鎮めたいと思う日があります。そんな時期出会いたい曲です。いま2度目を聴いているのですが、次第に身体にフィットしてきました。癒しというよりも、浄化作用という感じでしょうか。逆に自分のなかにある澱が浮かび上がってくる気がしますが、そうしたものときちんと対峙することが大事なのかもしれません。1月16日観賞。

++++

全然フォーレとは関係ないエピソードを。

うちの近所にはCD屋さんがふたつあるのですが、今回は昔からあるお店に行きました。フォーレのCDを持ってうろうろとしていると、店のおじさん(60歳ぐらい?)が、急にロックをかけはじめた。で、レジに行ってフォーレを差し出すと、

おにいさん、ロックは聴かないの?

とのこと。いやいや、いつもロックばっかり聴いているから今日はフォーレなんですよ、いま流れてるの、キンクスでしょ?とぼくが言うと、えっ、キンクス知ってるんだ!とおじさんは感激したようす。最近の若いひとって、昔のロックを聴かないでしょう、だから若いひとがくると、こうやってロックをかけて、ひそかにおじさんこの曲何?って訊かれるのを待っているんですよ、と話してくれました。なんとロックの啓蒙活動をされているらしい(笑)というか、ぼくはそんなに若くないんですけど(見た目は茶髪で童顔かもしれませんが)。

キンクスはですね、バンドでコピーもしたんですよ、とぼくが言うとさらに感激したようで、いやーわたしもギター弾いてるんだけど、もう指が動かなくて、と嬉しそう。PPMとか弾かれているようです。そして、ごそごそとチラシを探して、実は近所にお客様参加型ライブバーができたんですよ(わたしの知人がやってるんですけど)とのこと。楽器の持ち込みも可らしい。お客様参加型ライブバーっていったい(苦笑)。

しかしながら、早めに会社を切り上げて、地元で音楽好きなおじさんたちと飲むのもいいなーと思ってしまいました。アコギも練習して、いつか弾き語りもやってみようかと思ったりもして。今日、これからどうです?とおじさんに訊かれたので、いやー今日はちょっと(お金もないし)と言ったら、がっかりしてました。おにいさんみたいなひとが行くと喜ばれるんだけどなあ、とのこと。ごめん、おじさん。

というわけで、CD屋のおじさんとしばし音楽談義を楽しんだのですが、啓蒙活動の一環にぼくも参加することにしますか。キンクスの演奏をYouTubeから。しかし、すごい高い位置でベース弾いているなあ。

■the kinks all day and all of the night

*年間音楽50枚プロジェクト(11/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年2月12日

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The Durutti Column / Keep Breathing

▼music010:孤高のギタリストが奏でる、風あるいは木漏れ日の音。

Keep Breathing
The Durutti Column
Keep Breathing
曲名リスト
1. Nina
2. Its Wonderful
3. Maggie
4. Helen
5. Neil
6. Big Hole
7. Let Me Tell You Something
8. Lunch
9. Gun
10. Tuesday
11. Agnus Dei
12. Waiting

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コクトー・ツィンズを試聴して購入を決めて、そういえばあのひとはどうしていたっけ、という感じで探したのがドゥルッティ・コラムでした。ニューウェーブのジャンルでくくれそうな気もしますが、ぼくとしては透明な音つながりという感じです。

ドゥルッティ・コラムはビニー・ライリーというギタリストのソロプロジェクトですが、シングルコイル系の固めの音に深めのディレイとリバーブで、同じフレーズを延々と繰り返すようなシンプルなスタイルが気に入っていました。リズムボックス(おお、懐かしい)にギターという削ぎ落とされた構成というのも、何か潔い。潔いのだけれど、ある意味そのシンプルさゆえに攻撃的でもある。

「Keep Breathing」は昨年の1月に発売されていたアルバムでしたが、ずっと気付かずにいました。聴いてびっくりしたのは、とにかく聴きやすい。女性ボーカルのループなども入っていたりして、また彼自身も歌っていたりしてポップです。さらにガットギターも使っているので、ストラトキャスターの音とは違った枯れた透明感もある。ストラトキャスター+ディレイ・リバーブという音は、ぼくにとっては濡れた水のようなイメージがあり、これがビニー・ライリーの特長的な音ではないかとも思っているのですが、彼の弾くガットギターは風の音という感じがします。あるいは木漏れ日のイメージというか。

付属のDVDでは、スタジオレコーディングの風景が収録されています。これがまたこじんまりとしたスタジオで、ベースはジャズベースを床に座り込んで弾いているし、バスドラムのマイクスタンドはライトスタンドだったりして、消音のためにウェディングドレスが突っ込まれている(なんてことがイントロダクションで紹介されている)。しかし、この最小限のチープな構成で、水彩画のような世界観のある音を創り出してしまうのだから凄い。

個人的に好きな曲は女性ボーカルのループではじまる2曲目「Its Wonderful」、そして次のガットギターではじまる賛美歌のような「Maggie」がいい。それから彼自身が歌っている「Big Hole」。これは心に染みる曲です。最後の「Waiting」はアンビエントな壮大な感じの音で癒されます。こんな、ほっとするような音楽を趣味のDTMで作ることができるといいんですけど。久し振りにギターを練習したくなりました。2月10日観賞。

+++++

HMVのサイトでは、全曲の試聴が可能です。いくつかYouTubeで映像を観たのですが(今回のDVDの映像もあったけれど、あまりよい映像ではありませんでした)、この1988年のライブをみて、ああいまもこのままだ、と思ってしまいました。スタイルを変えないということも、ここまで貫かれるとかっこいい。「Day Is Over」のブラシのドラムがかっこよかったので引用します。

■Durutti Column - Day Is Over and Red Shoes (live 1988)

でも曲のかっこよさとしてはこっちかも。

■Durutti Column Missing Boy 1980 RE: Ian Curtis Suicide

*年間音楽50枚プロジェクト(10/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年2月10日

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Cocteau Twins / Treasure

▼music07-009:透明な危険性。カテドラルなエンゼルの美声

Treasure(紙ジャケット仕様)
コクトー・ツインズ
Treasure(紙ジャケット仕様)
曲名リスト
1. アイボ
2. ローレライ
3. ベアトリクス
4. ペルセフォネ
5. パンドラ
6. アメリア
7. アロイシウス
8. シセリー
9. オタリー
10. ドニモ

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リアルタイムで80年代に聴いていたときには、あまり好きなアーティストではありませんでした。このアルバムは1984年なのですが、デュラン・デュランとかカルチャー・クラブとか、当時はヒットチャートの上位にあるちゃらちゃらしたポップスばかりを聴いていた気がします(あと、ガゼボとか。ちょっと後ではリック・アストリーとかユーロビート系)。しかしながら、共鳴するものは感じていて、MTVで録画したある曲のPVを何度も繰り返して観ていました。記憶力の悪いぼくは何のPVだったのか忘れてしまったのですが、コクトー・ツインズの遠いところで鳴っているギターと透き通った歌声に惹かれたものです。

いまあらためて聴き直して、いろんな意味でショックでした。まず、わかる。音楽は、わかるわからないの話ではないような気もするのだけれど、うまくいえないのですが生理的に嫌っていたアーティストなんですよね。たぶんそれは同質であることがゆえの嫌悪ではないかとぼくは思うのですが(こういう音楽に傾倒してしまう自分がいるので)、たぶん若い頃の自分は意図的に遠ざけていたところがある。とはいえ、いまであればきちんと受け止めることができそうな気がしました。

2曲目の「Lorelai」はほんとうに眩暈がしそうなくらい透明な音だと思います。でも、その透明さの背後にかなりの危険性が潜んでいる。フランジャーの効いたベースも、たまらない懐かしさと忘れ去られていた痛みのようなものを感じました。視角の外側にあって見過ごしていたこのような音楽をあらためて聴き直すのも楽しいものです。かつてぼくが向き合うことができなかった自分と、いまでなら向き合える気がします。このアルバムを購入するのであればやっぱり紙ジャケットではないと、ということで、紙ジャケット仕様のものを購入しました。2月7日観賞。

+++++

YouTubeで「Lorelei」のライブ映像を発見。ちょっと怖い(苦笑)。思わず背筋を伸ばして聴いてしまいました。なんとなく居心地が悪いのですが、それが彼等の存在感であるという気がします。オープンリールのテープデッキを回しながら演奏というのは、現在でいうところのラップトップ+生演奏というスタイルでしょうか。デビューアルバムでは、RolandのTR-808というリズムマシーンを利用してテープ・ループなどを活用した音創りだったようです。その前衛的なスタイルもいい。屹立した存在という表現がまさにその通りで、なかなかこの音は出せないでしょう。

3rdアルバム「Treasure」ではギリシア神話をモチーフに作られていますが、ライブ映像のギリシアの彫像的な凛としたエリザベス・フレイザーも必見です。

■Cocteau Twins Live Lorelei

*年間音楽50枚プロジェクト(9/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2007年1月30日

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kettel/my dogan

▼music07-008:電子音のきらめき、びよ~んな快楽。

My Dogan [Import]
Kettel
My Dogan [Import]
曲名リスト
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昨日、エレクトロニカのコーナーでausといっしょに購入したアルバムです。これもまた美しいメロディです。テンポもよくてポップですね。なんというか森林浴的なアンビエントな感じもあり、ぼーっと聴いていると癒されます。子供の声の効果音も入っていたり、音づくりはかなり凝っている気がしました。再入荷!というタグに惹かれて試聴、思わず購入です。


全体を通して、びよ~んというレゾナンスの効いたというか、シンセらしい音が多用されていて、そういう音が好きなひとにはたまらないのではないでしょうか。ある意味、これ一本!という職人芸的な究めた音なのですが、こういうきらめいた電子音が聴きたくなるときがあり、そういうときにはぴったりです。ビートを前面に出した曲が多いのですが、最後の18曲目は壮大なアンビエントな曲で、ひょっとしたらこっち系がメインなのかも、と思いました。とはいえぼくが好きなのは3曲目「mauerbrecher」、あるいはなんとなくバロックを感じさせる「meeuwuh」の、ちょっとかなしいけれども明るい音なんですけど。15曲目「the second 2006」の細かい打ち込みワークにも聴き込まされました。


アーティストに関してはまったく無知だったのですが、どうやらオランダの20代の男性らしい(若い)。兄弟でレーベルを運営しているようで、このアルバムは6枚目とか。18曲も入っています。実は知るひとぞ知る的なアーティストのようですが、何しろエレクトロニカには疎いぼくは、何とも言えないのがかなしい。少しずつ周辺情報を収集しながら、こうした音についての耳も鍛えていきたいものです。1月30日観賞。


*年間音楽50枚プロジェクト(8/50枚)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)