07.workstyleカテゴリーに投稿されたすべての記事です。

2006年1月 4日

a000832

思いつきを超えて。

いつごろからか気付きはじめて、自戒していたことなのだけれど、思いつきとアイディア、そして思いつきと企画には大きな隔たりがあります。つまり、思いつくことは誰にでもできる。こんなのあったらいいよね、とか、こうしたらいいんじゃないの、という思いつきを話すことは簡単にできるわけです。そんな風に考えたことを話すだけで、ああオレってすごいかも、みたいな気持ちになる。しかしながら、そのレベルではまだプロもしくは仕事で通用するものとはいえなくて、そこからアイディアや企画として完成させるまでには大きな道のりがある。茂木さんの「脳と創造性」、眞木準さんの編により19人のクリエイターがアイディアを生む秘訣について書かれている「ひとつ上のアイディア。」という本を読んで、あらためて仕事として通用する思いつきの発展方法を考えました。

では、どういうことが必要かというと、特許法の話ではないのですが、まず第一に新規性が重要になる。誰かが既にその思いつきを実現していないか、ということです。電話の発明の話なども連想しますが、先に申請なり実現したひとがいたとしたら、その思いつきは二番煎じになります。既存の文脈に絡みとられてしまう。もちろん二番煎じがダメだということはないのですが、誰かがやっていることをいかにもオリジナリティのあふれるもののように話すのは、ちょっと恥ずかしい。柳の下にドジョウがいる場合もありますが、そんなにうまくいく話ばかりではない。ただ、可能性としては、そこに何らかの新しい視点が加えられたなら、まったく新しいアイディアや企画になる可能性もあります。

そのために必要なことは、ひとつのアイディアをさまざまな角度から検証することでしょうか。これはマーケティング的な視点が必要になるかもしれない。コピーライター的な感性も必要なのだけど、一方で世のなかの動きにあっているかどうか、ほんとうにそういうものを求める気持ちがみんなのなかにあるか、ということを探る必要があります。アカウントプランニングという言葉も使われたことがありますが、インサイト(洞察)を見出して、クリエイティブに結びつける。消費者も賢くなってきているので、プロダクトアウト的な思考だけでは難しいな、と思います。もちろんほんとうに凄いアイディアは個人の直感から生まれるという気もしていますが、であっても検証は必要です。

さらに量産することも重要です。この一案でいける、という思いつきには不安を感じる。オレの感性を信じろ、なんて言われても、どうかな?と思う。世のなかを考慮して、上下前後左右から思いつきを検討した上で、まずはオプション案を作ってみる。その上でまったく新しい視点から別のアイディアも出してみる。コピーライターさんは、ひとつの案件に対して50以上もコピーを書きますが、企画も完成形に至るまでにあらゆるシナリオを検討する必要があります。この量産というのは結構きつい。これは趣味のDTMでも言えることですが、曲を創り続けることはかなりしんどい。代表作を完成させてあとはおしまい、って感じにした方が楽なのですが、駄作も含めて創り続けることは大事だと思っています。チャップリンだったかと思うのですが、あなたの代表作は?と聞かれて、Next Oneと答えたように。その気持ちがないと、クリエイターとしては終わってしまうものです。

だから大事なのは、情報感度を高めてアンテナを張り巡らせておくこと、たくさん本を読むこと、さまざまな映画や芸術に触れることなのかもしれません。素晴らしいひとに出会って話を聞くことも重要になる。水鳥は静かに浮かんでいるようで、水面下で一生懸命に足を動かしている、ということも言われますが(うーむ、これこそステレオタイプな表現だな)、クリエイティブであるためには、勉強に終わりというということはなくて、常に「完成をめざすベクトル」「完成までの発展途上段階」として勉強をしていたい。この文章の末尾は、ねばならない、ではなくて、していたい、です。自分の意思で勉強することを選び取ること、それがオトナ(社会人)の勉強です。この気持ちをちいさな息子たちにも伝えたいんですけど。

大きく本題からは外れるのですが、ぼくの個人的な思いとして、優等生である必要はないし、むしろ優等生であることを拒むこと、が重要だと考えています。他人からの評価を期待する優等生でいると、自らを他人の尺度の枠のなかに閉じ込めてしまうので、逆に成長ができなくなる。それこそ多様性のある社会というつながりのなかで、独自なノード(接点)として機能していたい。あるいは評価という文脈を拒みたい。ぼくの人生なのだから、ぼくが幸せであれば、おまえらから評価なんかされたくないし批評されたくないよ、という感じです。業績などは数値化された情報で読み取ることが重要なことは確かだけれど、一方で疑問も感じています。デジタル化されたことで削ぎ落とされてしまうことも多い。なんでも数値化すればいいってもんじゃないだろう、と思う。だからぼくは読んだ本や映画などに関して、感想を述べたとしてもランク付けや評点をつけるのはやめようと思っています。

辛辣な視点、ドクのある言葉が、ときには必要になることもある。世のなかの清い部分だけではなく濁りも許容できることが、人間としての深みをもたらすような気がしています。だからときには、やんちゃな発言もしてみたい。その発言は自分にも返ってくるものだから注意も必要なのだけれど、発言によって潰れたら潰れたまでのことだし、潰れたらまた立ち上がればいい。ぶっ倒れるまで終わりがないのが人生です。あ、でもぶっ倒れないようにしなくては。いや、これは切実なのですが健康は大事です。

ちょっと長くなりましたが、自分の考えをまとめてみました。最初はアイディア論になるはずだったのが、人生論になってしまった。とにかく、この方向で今年は行こうと思っています(ただし、軌道修正もきっとある)。

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2005年11月30日

a000798

プレゼンの魅せ方。

IT関連のお仕事をしていますが、仮想化技術(Virtualization)関連のあるプライベートセミナーに参加しました。仮想化というのは、物理的には1台のサーバであっても、論理的に複数台のように動作させる技術のことです。したがって、WindowsとLinuxなど、複数のOSを同時に動かすようなことができるようになります。かなり専門用語が多かったのですが、やさしく解説いただいているせいか、ちんぷんかんぷんということはありませんでした。というよりも、もともと文系とはいえ業界には長いし、理解しようと思う気持ちがあれば理解できるようになるものです。まあいいやと諦めてしまうと、そこで成長が止まってしまうものでもありますが。

この仮想化技術についてもいろいろと思うことがあり書いてみたい気がするのですが、難しくなりそうな気がするので、ちょっと別の視点から考えてみようと思います。「プレゼンテーション」という視点です。

仕事としてぼくは企画書を書くことも多く、プレゼンの機会もあります。もともと編集の仕事をしていて、またDTP以前の遠い昔には簡単なレイアウトなどもやったことがあるため、どうすれば説得力のある企画書が作成できるのか、というのはぼくの永遠のテーマでもあります。そこで今日のセミナーでも、内容はもちろん、スクリーンに映し出された資料のできばえとか、プレゼンをするひとのトークなども注目していました。

今回セミナーに参加して、2つのポイントから、かっこいい(かっこよくみえる)プレゼンについて考えてみました。

第一は、スライド(スクリーンに投影する企画書など)の色とチャートについて。外資系の企業は、やはり上品で洗練されたスライドが多いなあと思いました。日本の企業の場合、年配のプレゼンテーターの方が「これはポンチ絵なんですけどね」と謙遜されてチャートを説明することもあるのですが、内心、いやーこりゃほんとうにポンチだ、とほほ、というイラストも多い。しかしながら、外資系のスライドはかなり上品なイラストを使っています。たぶん、ブランディングの一環として、印刷物やWebサイトはもちろん営業ツールに使うイラストが既に用意されていて(使い方もマニュアル化されていて)、使っているのでしょう。

あと色彩の使い方として、グレーをうまく使うと洗練された資料になる気がしました。また、赤にしても、日本ではいわゆるキンアカ(マゼンタ100%+イエロー100%)が好きなようですが、オレンジ系を使うとぐっと印象が変わる。青にしても、インディゴのような色を使うと知的になる。ただ、あまりおしゃれにしすぎると迫力がなくなるので、赤+黒のような力強い色の合わせ方もありですね。

第二は、トークと話す姿勢について。最初にアジェンダなり、アウトラインを示して、それに沿って話すと、ああ、いまはこの部分であとはこれだけあるな、ということが聞き手にもわかって安心します。逆に、構成を知ってしまったがゆえに、うわーまだこんだけしか話せていないけど時間ないんじゃないかな、あ、あと10分って紙が出されてる、大丈夫かな、と講演者じゃないのにひやひやすることもありますが。今回、これはかっこいいと感激したのは、壇上に上らないで、あえて低い位置から歩きながら説明していく、そして途中で「ここまで理解できたでしょうか。質問がありますか」と、会場の状況をうかがう方式でした。もちろん、うつむかないで、前方ちょっと上あたりを見る感じです。自信ありそうにみえる。

もちろん内容が大事なのですが、内容に合わせた演出や、長時間である場合にはちょっと余談をはさむとか、構成も大事になります。そんなところは、バンドのライブ演奏や、あるいは演劇と似ているのかもしれません。この演出の背景には、テツガクとまではいかなくても自分なりの価値観や考え方があるべきです。それがないと、ほんとうにうわべのみせ方になってしまう。

ITの最新動向はもちろん、法務的なこと、マーケティングのこと、プレゼンの演出の仕方など、仕事上でも、まだまだ学ぶことはたくさんあるようです。

++++++

一時期、それこそ50冊以上の企画書やプレゼンに関する本を購入して読み漁ったのですが、なかなかいい本がありませんでした。代理店のちゃらちゃらしたひとが好きそうな本が多いのですが、うわべの技術じゃないと思うんですよね。

そんななかで、落ち着いて納得できた本が「企画の原典」。プランナーは企画の成果にまで責任を持つべきだ、という主張にうなづけたし、秘密保持契約書のひながたまで掲載されているところに実務者としての誠実な姿勢がうかがえます。企画者は歴史を作れ、というメッセージもいい。

ただ、企画を志望する学生なんかは、おちまさとさんなどの、ちゃらちゃらした本が好きそうだから、この本はきっと売れてないだろうなあ。もちろん、ぼくはおちまさとさんの本も好きですけどね。

■「企画の原典」 淺原雄吉著(下記ページのいちばん下にあります)
http://www.ncosmos.co.jp/mag/index.html

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2005年3月 1日

a000752

インサイトという本音。

昨日は午前中会議で、午後から仕事を片付けたあとで大学時代の友人に仕事関連の相談に行き、そのまま飲んでしまいました。そんなわけで、ブログの原稿を落としてしまいました。はじめてかな? そんなときもあります。すみません、ぼくはO型なので大雑把です。

友人は部品関連のメーカーに勤めていて、現在は経営企画のような部門で、経営情報システムの導入に関わっています。経営情報システムの導入を考えている担当者が、どんな風に情報を収集し、どうやって決めているのか、何が問題なのか、2時間みっちりと話を聞きました。それから4時間、飲みながら世間話などを含めて、じっくりと話をしました。

とにかく内容が濃かった。ぼくは制作会社や代理店の立場からパンフレットなどの企画を立てたりするのだけれど、どうやらポイントが大きくズレているらしい。「事例は誰に対して作っているのかわからない」「問題となっているのはこっちの部分で、ここは問題じゃない」などと、目からウロコの意見をたくさんいただきました。ついでに企画のアイディアまでいただいてしまった。感謝してます。ストレートに本音をもらえるのも友人ならではですね。きっと公の立場でヒアリングに行っても、あまり本音の部分は聞かせてもらえないかもしれません。

飲みながら話したことも、かなり参考になりました。こういう背景があるから、この部分が問題になってくるのか、とか。

そんな考え方のフレームを仕事に活用できないか、と考えていたところ、アカウントプランニングという手法を思い出しました。アカウントプランニングとは、消費者のグループインタビューなどを通じて、本音となるキーワードを抽出、そこから広告表現などに具体化していくこと、だったかと思います。

最近どうなっているんだろうと本屋に行ったところ、以下の本を見つけました。そのものずばりなタイトルです。

4478502447インサイト
桶谷 功
ダイヤモンド社 2005-02-17

by G-Tools

なかなか面白そうだったので購入。J.ウォルター・トンプソン・ジャパンでアカウント・プランナーをされていた方が書かれています。さらに以前、気になっていた以下の本も購入しました。

4478502161心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす Harvard Business School Press
藤川 佳則 阿久津 聡
ダイヤモンド社 2005-02-10

by G-Tools

認識論とマーケティング、顧客の思考や行動を通じて洞察(インサイト)を探ることなどについて書かれているようです。偶然ですが、「インサイト」の本とテーマが重なり合う部分がある。というよりも、注目されている分野なのでしょうか。この本には「記憶・メタファー・物語」という章もあって、文学的でもあります。分野を横断する、さまざまな分野を俯瞰する、ということからも関心があります。

1月、2月と、定量的な分析ばかりに関わってきましたが、定性的な分析、あるいは洞察をクリエイティブに活かしていく方法について。勉強してみたいと思います。

飲んだり本を購入したり出費がかさんでしまいましたが、頑張って2冊を読了するつもりです。

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2005年1月26日

a000733

就活のご参考に

昨日は徹夜でした。土曜日に引き続いて今週は2回目の徹夜ですが、(年齢のせいか)なかなかきついものがあります。

とはいえ、できる限りの努力をしてお客様のところにお持ちしたものが評価いただいたので、とりあえずは何よりでした。努力を認めていただいたせいか、他のお仕事の話もいただいて、朝まで頑張ってよかったなあ、と帰り道しみじみ思ったものです。

担当の方との雑談のなかで、ビジネスは人だ、ということを話されていて、やっぱりそこがツボなんだな、という気がしました。

現在の会社までに数回転職をしているので、いままでの経歴などについてもお話したのですが、仕事を学ぶというよりも人を学んできたような気がします。そして、就職したばかりの頃には、この先どうなってしまうんだろう、こんなことやっていて何になるんだろう、思っていたことが、いまになって振り返ってみると、ひとつひとつがムダではなかった。道草のように思えたことが、ちゃんと意味があるんだなと思いました。

就職について考えていたら、ネタフルの記事が目につきました。

■若手社員が転職したいのは楽天とライブドア?

やっぱり何かやってくれそう、という期待感が学生にもうけるのでしょうか。

「今後転職すると思いますか」という問いには、若手社員の30.7%が「そう思う」、38.2%が「ややそう思う」と回答。希望する転職先について859人が回答。ソニー(74件)、トヨタ(73件)、公務員(43件)に次いで、楽天(35件)、ライブドア(26件)、ヤフー(19件)などがランクインした。

さてさて、月曜日のプレゼンの結果が。。。
やった!!!
競合に勝って、うちに仕事が決まりました!! 土曜日、日曜日を返上して、仕事した甲斐があったなあ。ううう。ちょっと泣けてきた。

しんどいことも、爆発しそうになることも、落ち込むこともありますが、こんな嬉しさもあるから仕事ってすばらしい。リスクが大きいことに挑戦すると、それだけのよろこびも得られる。

これから就活される学生のみなさん。大企業はもちろん、ちいさな会社でも、仕事のよろこびはみつけられると思います。ぜひ自分を活かせる仕事をみつけてくださいね。

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

2004年12月20日

a000714

ビジネスブログセミナー

センセイも走る師走ですが、午前中は会議、午後からセミナー出席、その後は池袋の協力会社さんへ立ち寄りという一日でした。

ブログを書く暇もありません。というより暇を作ってでも書きたいブログですが、モバイルで移動中に書くのはどうだろう、などということを真剣に考えました。考えていたら眠くなったので爆睡。ノートパソコンを携帯しても、移動中はブログ書くよりも睡眠を選んでしまうかもしれません。蓄積された1年間の疲れが顕在化してきたせいでしょうか。今年もあとわずか。頑張らねば。

セミナーはライトアップさんの主催するビジネスブログセミナーです。

http://ir-writeup.jp/page/2004/11/1220.html

場所は、東京国際フォーラムの会議室。30名以上の方が参加されていました。ブログ、SEO、RSSの考え方を整理できた気がします。インターネットの接続状況が悪くて、事例をきちんと見ることができなかったことが残念ですが。

とはいえ、紹介したサイトはブログにあります、とブログをセミナーのフォローアップの手段として活用するのは、なかなかよいアイディアだと思いました。コメントをつけることもできます。白石さんのブログは今後チェックしておくことにします。

斎藤さんの海外事例では、ナイキのArt of Speedという15人の映像クリエイターにSpeedという共通テーマでコンテンツを作ってもらい、ブログで展開するという事例に興味を持ちました。人気ブロガーの集まっているポータルサイトと連携する、という手法は、日本ではまだまだかもしれませんが、キャンペーンのヒントになるような気がします。

フルサイズイメージ川田さんの説明は、時間が押していたため省略された部分が多かったのですが、もっと聞きたかった。ブログっぽくないデザインのブログサイトを作るワザとか、MTタグを使った活用方法、TIPSなどをもっと紹介してほしかったと思います。

さて、帰るときに東京国際フォーラムの吹き抜けの部分で、弦楽5重奏の演奏をしていました。弦の音に癒されました。イベントか何かでしょうか。思わず足をとめて聞き入ってしまいましたが、ちょっと得した気分です。

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)