01.DTMカテゴリーに投稿されたすべての記事です。

2008年9月23日

a000996

[DTM作品]キュウジツノ空。

いつ頃からか、というかブログで文章を書き始めた頃からなのですが、デジタルカメラで空の写真を撮ることが多くなりました。被写体としていつでも真上にあり、しかしながら刻々と変化するため数分後には消えてしまう・・・ということが空を撮ることの面白さでしょうか。カメラで切り取った空はブログで公開したり、PCのフォルダのなかに未分類で放り込まれたりしています。

そんな空の風景写真家(自称)でもある自分ですが、これはたまらないなあ、と思うのは、ふだんは下から眺めている空を上から、つまり飛行機のなかから眺めるときです。仕事でもプライベートでも飛行機に乗ることは少ないけれど、搭乗することがあれば可能なかぎり窓側の席を確保して、ずっと雲を眺めていることが多いようです。

そのとき痛感するのは、「地球ってきれいだな」ということ。馬鹿馬鹿しいほどストレートな感想ですが、ほんとうに雲を眺めていると、宇宙人がこの星に訪れたとしたら、空から眺めた地球の風景に感動するのではないか、と思う。感動のあまりに侵略しちゃおうと宇宙人の欲を出されたら困るのですが、高度数千メートルから眺める地上の風景は美しい。地球に生まれてよかった、と思います。

飛行機からの写真を引用しながら、上空から眺める空について書いてみます。

080923_sora1.jpg

もくもくと連なる雲は雪のようでもあり地上にある山並みのようでもあり(あるいは、うまそうに注がれたビールの泡のようでもあり)、要するに地球上に存在する物質のいくつかは自然に発生すると同じ形態になるのではないのかなと、科学なのか妄想なのかわからないことをぼんやりと考えさせてくれます。

080923_sora2.jpg

ちぎれた雲は上空からみるとひとつひとつはちいさいのだけれど、きちんとその影が地上に落ちている。その影のなかにいる数千人は、太陽の光を遮られて暗くなっているはず。曇っちゃってまいったなあ、布団が乾かないんだけれど、と天気を恨んでいるひともいるかもしれません。でも、上空から眺めるとちいさな雲の影に入っているだけであり、雲が移動すればきちんと日が当たるようになる。おーい、もうちょっと待っててみてね、と地上の誰かに話したくなります(こんな上空から話しかけても、届かないのだけれど)。

080923_sora3.jpg

できたばかりなのかできそこないなのか、うっすらと襞のようなかたちで浮かんでいる雲もあり、地上の風景が透かしてみえる。時間が経過すれば大きな雲に成長するのかもしれませんが、ひょっとしたらそのまま消えてしまうのかもしれない。雲の行く末が気になります。

と、まあそんなことを考えながら飛行機に乗ると、結局のところ空ばかり眺めていて目的地に着いてしまい、本も読まずに鞄にしまい込むことが多い。空は眺めていて飽きません。少なくとも、ぼくにとっては。

さて、空や雲のことを考えつつ、上空からでも地上からでもいいのだけれど、趣味のDTMで空を眺める気持ちを曲にしてみたいと思いました。タイトルは「キュウジツノ空。」としました。ブログで公開します。


キュウジツノ空。 (3分56秒 5.4MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing


今回は、なんと全部打ち込み。"打ち込みすと(ステップ入力で音楽を作るひと。勝手な造語です)"の初心に戻りました。いままでドラムは音のループを切り貼りして作っていたのですが、ピアノロールの画面で1音ずつパターンを組み立てるところからはじめています。久し振りに打ち込んだところ楽しかった。シンセはSONAR付属のTTS-1しか使っていません。妙な逆回転も使っていないので、シンプルです。

音的にめざしたかったのは、先日ジョイ・ディビジョンに関する映画も観たのですが、ニュー・オーダーのRegretでしょうか。ストリングスのシンセの音が好みです。ベースもツボに入る音です。YouTubeから映像を。

■Regret - New Order

あとは80年代に大好きだったネイキッドアイズ。バカラックの名曲をカバーをした「僕はこんなに(邦題)」という曲があるのですが、この曲のシンセのアレンジはめちゃめちゃ好きでした。金属系の鐘の音とか無機質なドラムとか。YouTubeにライブ映像がありました。埋め込み不可なのでリンクを記載します。

■Naked Eyes - Always Something There To Remind Me: On Stage At World Cafe Live
http://jp.youtube.com/watch?v=w5uPd6TyQtQ

うわー。これはやばい!!!テンションあがった。なんというか、ぼくの打ち込みの原点のような曲なのです。○○歳のぼくはテープをオートリピートにして何度この曲を聴いたことか・・・。一発屋の洋楽ユニットなのだけれど、強烈に印象に残っています。しかし、この映像で踊っているふたりのおねーさんは何でしょうか、いったい?(苦笑)

80年代にレコードというメディアがまだ存在していた頃、12インチシングルというものがありました。これは何かというと、ヒットした曲を5分以上の長めの曲にリミックスして、ディスコ(苦笑。いまでいうクラブですか)などでかけるためのものだったかと思います。ボーカルを抜いてインストの部分を作ったり、ベースとドラムだけの長いパートがあったりしました。CDどころかダウンロード販売が主流になりつつある現在はそんな形態も消えつつありますが、懐かしい音楽を思い出させるような楽曲にしたつもりです。

ただ、ぴこぴこ音(シンセのシーケンス)については、アンダーワールドの最近のアルバムを参考にしたところもあるかもしれません。耳がよろこぶサウンドを作りたかった。

楽しんで作ってみたところ、なんとなくノリのいい楽しい曲ができました。翳りのあるコードも使っていますが、打ち込みながらぼくも気持ちがよかった。やはり何より作り手の気持ちが大事かもしれません。特にブログを書くように曲を作りたいと思う自分としては、体調や気分に曲が左右されることがあり、それがよくもあり悪くもあるところではあります。

9月20日は「航空の日(空の日)」だったようです。天気のいい日はPCを閉じて、空でも眺めますか。星空もまたいいですね。東京ではあまり星もみえないのだけれど。

+++++

■空の日ネット
http://www.soranohi.net/

投稿者: birdwing 日時: 16:22 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年9月 9日

a000992

[DTM]朝が待ちきれない。

えーと、恥をかきましょう(苦笑)。日曜日に公開した久し振りの趣味のDTM曲「凍える痛み。」ですが、どうも暗くて気に入りません。感情の暗い部分に焦点を当てて作ったので暗い曲調は当然なのですが、ノイジーでダークな音楽はぼくがめざしているものなのか、と。闇があるからこそ光も輝くものですが、暗い部分ばかりみていたくない。自分のなかにある光を信じていたい。

というわけで、自分が作った曲で鬱屈とした気分を変えてくれる曲はないか、光に溢れている曲はないか、と探したところ、10年以上も前の自作曲に行き当たりました。

久し振りに聴いたのだけれど恥ずかしい。恥ずかしいけれど元気が出る。まだカセットテープで作っていた時代の遺産であり、ノイズリダクションを切ったまま音声ファイルにしたので、ヒスノイズ(しゃーっという音)がひどいのですが、えいやーと公開してしまいます。ボーカル入りです(若気の至りだ・・・)。歌詞も掲載しておきます。

■朝が待ちきれない。 (4分14秒 5.87MB 192kbps)

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
朝が待ちきれない。  1995.8.26
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
詩・曲・プログラミング・Vocal BirdWing

眠れない科学者たちが 祈りを捧げる夜
窓を開ければキンモクセイの懐かしく甘い香り

きみからの便りがぼくの心を癒してく
目が回りそうな毎日だけど何とかやっていける

遠ざかってく諍いや焦りのとき
近づいてくるきみの笑顔 そうさ

地球を転がして きみに会う朝を呼び起こそう
3万6000秒の長いときを超えて

確かめよう やり直そう 途切れたページの数々
朝が待ちきれない やりきれない夜を蹴とばしたい

ステップを踏んで駆けてく 迷える羊たち
バスルームの窓から差し込む明るい月の光

思い出す ラジオに耳を傾けた頃
夜明け近くに 聴いたメロディ そうさ

地球を転がして きみに会う朝を呼び起こそう
3万6000秒の長いときを超えて

確かめよう やり直そう 途切れたページの数々
朝が待ちきれない やりきれない夜を蹴とばしたい

+++++

たぶんこの曲を作ったのは、小沢健二さんの「犬は吠えるがキャラバンは進む」などのアルバムが流行っていた頃だったと記憶しています。ネオアコ系(要するに渋谷系、でしょうか)のバンドだったので、打ち込みとはいえ、そちらの方面の音づくりになっている気がします。しかし、イントロはモータウンのスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズのつもりだったんですけどね(苦笑)。ぜんぜんわからないですね。

大学時代の先輩に声をかけられて加入したバンドですが、真摯に音楽に向き合うバンドで、ぼくにとってはスタジオで練習する時間はかけがえのないものでした。音楽だけでなく、人生に対する考え方もそのバンドの音作りのなかで学んだ気がします(というのは、大袈裟かもしれませんが)。

3人編成もしくは4人編成というミニマムなバンドだったのですが、日曜日に4時間スタジオに入って終わったあとには、スタジオと同じ4時間をミーティングに費やすという気合の入れようでした。おれたちの音楽はどこをめざすのか、いまどんな音楽が素敵なのか、こんなの聴いてるんだけどどう?ということを延々と語り合いました。理屈っぽいといえば理屈っぽい。でも、しあわせな時間でした。

そのミーティングのなかで自作曲をプレゼンテーションするのですが、なにしろリーダーである大学のゼミの先輩とそのお兄さんという強力なシンガーソングライターがふたりいて、そのふたりの楽曲に絶対に勝てない。おどおどとテープを持っていって聴いていただくと、けちょんけちょんにけなされることも多く、うまく取り上げてもらうことができたとしても、ドラムはこう叩いて、ギターはこう弾いてなどと指示などできるわけもないので、困惑するばかりでした。いまでこそ言えるのですが、好きでやっていたはずのバンド活動が真剣にストレスだった時期もありました。

しかし、どうしても自分の曲をアピールしたくて、夜を徹してひとりで黙々と曲を作ったものです。これはそのプレゼンに持っていったプリプロダクションのようなもので、当時はQY-20という玩具みたいなシーケンサーで打ち込んでいました。いま思うとその情熱を何か他のものにぶつけていたら・・・と、思ったりもします。でも、とにかく夢中でした。音楽を作っているとあっという間に時間がすぎて、気付くと空が明るくなっていた、ということが何度もありました。

ボツになる曲が多いなかで窮地に立たされていたこともあるのですが、起死回生をねらって、ふっと力が抜けた瞬間にできたのが「朝が待ちきれない」でした。

当時、ぼくが住んでいたアパートの周囲にはキンモクセイの樹が多く、秋にはものすごくいい匂いに包まれて目が覚めたものです。そのしあわせな気持ちを思い出しながら、喧嘩した彼女と仲直りをする朝について歌いたかった。眠れなくて辛いのだけれど、しあわせな辛さです。会いたい気持ちが、あらゆるネガティブな気持ちを払拭してしまう。過去はうっちゃって、とにかく彼女に会いたい・・・そんな歌詞の世界です。若いですなあ(笑)

レンアイにピュアな時期は遠く過ぎてしまい(遠い目)、何かと複雑な人生をいきていますが、できればこういう気持ちは失いたくないものです。別に誠実ぶろうとしているわけではないけれど、どんなに不器用だとはいえ、こういう風にしか生きられない、という生き方はある意味清々しいものではないでしょうか。変えられないし、変わらない。でも、それでいいのではないか。

若気の至りとはいえ、現在の曲作りにはない勢いと誠実さも感じます。10年前の自分にまさか元気付けられるとは思ってもみなかったのですが、音楽を作ること、記録しておくことはすごい。というわけで音楽に救われた気持ちのまま勢いでエントリーしてみました。あとで引っ込めてしまうかもしれないですね。

そういえばバンドで演奏したビデオもあったけなあ・・・。どこにしまったのか忘れましたが。

投稿者: birdwing 日時: 23:16 | | トラックバック (0)

2008年9月 7日

a000991

[DTM作品]凍える痛み。

夕方、外出して帰ってくるときに大粒の雨が降り出したのですが、部屋に入るとものすごいカミナリと大雨になりました。どんがらがらがら、どしゃどしゃどしゃどしゃーのような感じ。夕立といえば夏の風物詩ではありますが、東京都内の最近の天候はやはりおかしい。風物だなあ・・・とのんびりかまえていられないものがあります。地球の悲鳴が痛々しい。

今週はブログに書きたいテーマがたくさんあったのですが、なんとなく気分が乗らずに断念しました。ちなみに以下のようなことを書きたいと思っていました。もしかすると遡って書くかもしれませんが、メモしておきます。

+++++

■二コラ・テスラつながり。
「シガレッツ」という映画で知ったのですが、ニコラ・テスラはエジソンと並ぶ発明家だそうです。偉大なサイエンティストの名を冠したテスラモータースについて先日はエントリで触れてみたのですが、気になると情報を目にしやすくなるもので、東京IT新聞という業界誌の9月2日号を読んでいたところ、インテルがニコラ・テスラの考えていた無線による電気供給システムを開発しているという記事がありました。シロウトの感覚では、無線で電気を供給されるとおっかなくて仕方ないのですが、コンセントがいらなくなるということでしょうか。感電しそうで怖いのですが、便利だろうなあとは思います。ブログ(英語)では、ワイヤレス電源システムのビデオを観ることができます。なんとコイルから供給されて電気が点いてる。うーむ。

■クロームの衝撃。
突如として発表されたグーグルのブラウザ「Chrome」。もはや各方面でセンセーショナルを引き起こしていますが、ぼくも使ってみて圧倒されました。凄い。まずデザインが美しい。そしてシンプルです。さらに、新しく採用したレンダリングエンジンのV8の威力のためか表示が速い。タブウィンドウでありながら、ドラッグするとウィンドウを分離できる機能も素敵ですが、シークレットウィンドウというクッキーや履歴を残さない特別なウィンドウも用意されていて、その解説のユーモアにグーグルの知性を感じました。ストリートビューでは賛否両論を巻き起こしていますが、やはりグーグルという企業のインテリジェンスには参りました。さて、コメディアンとビル・ゲイツ氏の対談によるCMを投下してVista販促とイメージ向上の巻き返しを狙っているマイクロソフト。ブラウザの面でどのように反撃するのか気になります。

■コンピュータは恋をするか。
黒川伊保子さんの「恋するコンピュータ」を読了。最初の著書らしく、他の本と比べると若干甘ったるいかなという印象を受けました。息子さんの胎内の記憶の話があったり、子供の成長とシステムの開発を同じようにみつめる視線が微笑ましく、科学者でありながら人間の感情という非常に曖昧な領域に思いを馳せる黒川さんの熱意に打たれました。

「青い風が吹いた」という言葉が想起するイメージにこだわる思考も科学とブンガクを横断する試みとして興味深く読みました。また、コンピュータが感情を持つためには、呼吸することが大事という発想が新鮮でした。ぼくらは文節で思考していて、その身体的な一区切りが思考にも影響を与えている。思考と身体、そして言葉は切り離せないものなのかもしれません。

448042458X恋するコンピュータ (ちくま文庫 く 23-1)
黒川 伊保子
筑摩書房 2008-08-06

by G-Tools

■ダウンロード購入初体験。
お恥ずかしいことに、いままでiTunesのダウンロードで曲を購入したことが一度もありませんでした(照)。しかし、某家電量販店のポイントが溜まったのでiTunes Cardを購入。ついにダウンロードで曲を購入してしまいました。記念すべきダウンロード購入の1曲目は、LotusLoungeの「Atem」です。150円なり。LotusLoungeは、夫婦で活動されているインディーズユニットですが、音作りの緻密さが参考になります。

ダウンロードしながら音楽の価値について少しだけ考察したのですが、ぼくは最近大物アーティストが展開するプロモーションのための無料配布がベストだとは考えていません。アーティストが自分の思いや能力を全力で注入した作品は、しかるべきお金をリスナーからいただいて当然だと思います。買っていただくという意識が緊張感を生み出すものであり、作品のレベルを高めることになるのではないでしょうか。だから胸を張って堂々と売っていいと思っています。たとえインディーズであろうとも、まったくの趣味の音楽であったとしても。

+++++

ということを書こうかどうしようか迷いつつ、なんとなく夏バテのせいか気分が乗らなくてブログを書くのは断念して、結局のところ土曜日と日曜日にかけて久し振りに夕鶴状態で自室のPCに向かい、趣味のDTMの曲を作ってしまいました。新しい曲のタイトルは「凍える痛み。」としてみました。

残暑の厳しい東京では凍えるというよりも蒸し暑くて仕方がないのですが、突然のゲリラ豪雨に打たれて、びしょぬれのまま仕事をしていたら、クーラーの利いたオフィスで寒くてかなわなかった。なんとなく惨めな気持ちになりました(苦笑)。そんなせつない気持ちを音にしてみたので、ちょっと暗めで、投げやりな曲になっています。

というのは冗談ですが(笑)、焼けるような痛みもありますが、冷たくエッジの尖った刃物で心を切り裂かれるような痛みもあるものです。涙を流すかなしみというよりも、乾いた心を静かに塞いだまま空を仰ぐようなやるせなさを曲にしてみたいと考えていました。ひりひりと心が擦れるような感覚でしょうか。ブログで公開します。こんな音になりました。


■凍える痛み。 (3分10秒  4.34MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing


今回の曲で、直接影響を受けたのはコールドプレイだと思います(タイトルの「凍える」も影響あり)。金曜日に会社の帰りに、タワーレコーズに行って久し振りに試聴三昧をしたのですが、再度コールドプレイの新しいアルバムを聴きなおして、なんとなく惹かれるものがありました。ちなみに、そのほかに気になったのは9月に来日するEpic45の再発アルバムと、ステレオラブの新譜でした。小遣いを貯めているので買いませんでしたが、かなり長時間、試聴機を陣取って聴いていた気がします。あやうく全曲聴いてしまうところだった・・・。

B0018CZQVC美しき生命 【通常盤】
コールドプレイ
EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) 2008-06-18

by G-Tools

作り方としては、同じピアノのフレーズを繰り返しただけの、非常にミニマルな作り方です。そのフレーズに、さまざまな音を加えたり、フレーズ自体を切り貼りして構成しています。今回は、久し振りにフリーのVSTiを利用しまくりました。冒頭の、フルートのような音はtapewarm。テープをセットして音を再現したサンプラーのはしりであるメロトロンのような音がでます。つづいてシャープなリズムの音は、中近東のパーカッション音源であるTakim。さらに、ストリングスとベースは、多用させていただいているSUPERWAVE P8です。

残暑も落ち着いてきて、やっとヘッドホンを被っているのが苦にならなくなりました。ぼくにとって趣味のDTMはブログを書くことと同じような表現手法なので、そのときどきに感じたことを音にしていきたいと思っています。もちろん作品=現実の自分ではなくて、そこには必ず表現者としての距離感もあります。しかしながら、冷たいPCのなかで生まれる音たちに、少しでも感情のあたたかさや心を打つ何かを込められるようになりたいものです。

今回の曲では、あえて凍えるような痛みを表現しましたが、できればあたたかい気持ちについても表現できるといいですね。

投稿者: birdwing 日時: 19:52 | | トラックバック (0)

2008年7月21日

a000969

[DTM作品] ouse(逢瀬)

うちの息子、次男くんは6月下旬から7月にかけて3週間ほど入院していたのですが、その間、会社には配慮いただいて定時で帰らせていただき、そのまま帰宅の途中に病院に通うようにしていました。病院の消灯時間は8時。早いときには7時、遅いときにはぎりぎりで7時半すぎに病院に到着して、ベッドで寝ている次男くんに会うことができます。

毎日かかさず病院に通っていました。誰に褒められるわけではないけれど皆勤賞です(記憶がないのだけれど)。病院までは徒歩では片道15分ぐらいかかり、往復で30分になります。へとへとに疲れ果てたときはタクシーを使ったり、自転車かっとばしたときもあるのですが、落ち着かない毎日のなかで病院で彼に会えるひとときは、たとえわずかな時間だったとしても尊い時間でした。彼に会ったあとで自宅に帰る前に、病院の地下1諧にある売店の前で缶コーヒーを飲むほっとタイムもまた、ぼくにとってはかけがえのない時間として忘れられません。

ところで、そんな状況のために慌しく過ぎ去ってしまったのですが、今月の7月7日といえば七夕。

織姫と彦星が1年のうちで一度だけ、天の川を渡って逢うことができるという天上の物語が展開される日です。そもそもこのふたり、結婚する前は働きものだったのですが、結婚した後にあまりの仲のよさのために織姫は機を織らなくなり、彦星も牛追いの仕事しなくなったようです。どんだけ仲がよかったのか・・・と思うのですが、天帝が怒ってふたりを天の川を隔てて引き離したとのこと(詳細は、Wikipediaの七夕を参照)。

七夕は、伝統的な遠距離恋愛かもしれない(笑)。映画では「近距離恋愛」というタイトルの作品も公開されたようです。予告編をYouTubeから。遠距離恋愛にかけているのだと思いますが、なかなかキャッチーなタイトルです。

そういえばパトリック・デンプシーが出ているディズニー映画「魔法にかけられて」を昨日観ましたが、こちらもなかなかせつないものがありました。

遠距離恋愛というものがどういうものか、あまりそういう経験の拙いぼくにはよくわかりません。しかし、離れていても通じ合う気持ちというのは強いものだろうと思うし、1年のうちの1日だけしか逢うことができないのであれば、限られた時間のなかでお互いに深く強く愛し合うことができるのではないでしょうか。毎日会うことができる間柄とは違った密度の高い時間を過ごせるような気がします。

時間は途方もなく永遠にあるような印象を受けます。会いたいと思えばいつでも会えるような関係、家族のようないつもいっしょに暮らしている関係であれば、ちょっとぐらい浪費しても大丈夫だろうと思うものです。けれども、何かが原因で遠く離れてしまったとき、お互いの価値を再確認できるのではないか。そして、会うことができる時間を大切に思うようになる。

と、長くなりましたが(苦笑)、そんなことを考えつつ久し振りに趣味のDTMで曲を作ってみました。息子の入院していた3週間は、まったくオンガクに触れない時間だったので、ほんとうに久し振りです。

タイトルは、「ouse(逢瀬)」としました。辞書によると、恋愛関係にある男女が人目をしのんで会うこと、だそうです。ちょっと恥ずかしい(照)。

しかしながら甘い印象だけでなく、せつなさ、激しい感情を曲調に込めたいと思いました。表現できているかどうかはともかくとして、ブログで公開してみます。


■ouse 逢瀬 (3分20秒 4.06MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing


時計の音のような刻みのシークエンスで時間をイメージさせたいと思いました。影響を受けた音としては、ドイツのエレクトロニカユニットであるウルリッヒ・シュナウスでしょうか。そして、ギターの歪ませた音は、ウルリッヒ・シュナウスが影響を受けたというマイ・ブラッディ・ヴァレンタインあたりを意識しているかもしれません。いわゆるシューゲイザーです。弾かないで音源を切り貼りして制作しているのですが、テレキャスターを歪ませて、がこがこ弾きたい気分になりました。

B0007LLOVGFar Away Trains Passing By
Ulrich Schnauss
Domino 2005-11-01

by G-Tools
B000002LRJLoveless
My Bloody Valentine
WEA 1991-11-05

by G-Tools

リズムに関しては、若干ドラムのノイズが気になります。ローファイ志向ということで気にしないつもり(苦笑)。最近はいくつもフリーのWAVEファイルを切り貼りしてリズムを構成しているのだけれど、サンプルを選ぶ時間がものすごく長い。感性でチョイスしているのですが、もう少しシステマチックに制作できるといいなあというのが実感です。

天上の恋、七夕を意識したため、スペーシーな音像を作りたいと思っていました。そんなわけで空間系エフェクトとしてディレイを使いまくりです。途中でシーケンサーがメインになる部分では、フリーのVSTiであるCygnus-Oを重ねています。こんなインターフェースになっていますが、どこで拾ってきたか忘れました。

080721_cygnus.jpg

季節やそのときどきに感じたことを題材として、ブログを書くように曲を作り、ここで公開していきたいと思っています。制作方法は変わったとしても、10年ぐらい作りつづけるのが理想です。

織姫と彦星のあいだに流れるような、たゆとう時間の感覚でいろいろなことを継続していけるといいですね。ゆるゆると、ささやかなライフワークとして。

投稿者: birdwing 日時: 14:13 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年6月22日

a000959

[DTM作品] マインドスケープ

ブログを書きはじめてから思うことですが、フォントで考える自分がいてなんとなく怖い。どういうことかというと、帰りの電車でぼんやりと今日のブログは何を書こうかなーなどと思いをめぐらせているとき、フロー状態になってあふれた言葉が、脳内の電光掲示板にフォントで表示されていくわけです(左側から右のほうへ)。つまり、「・・・などと困惑しているわたくし(苦笑)」のような、かっこ苦笑まで文字で考えてしまう。更新頻度が減少しつつある最近ではさすがに少なくなりましたが、もはやビョーキですね、これは(苦笑)。

どうせなら、この流れていく言葉を脳波ごと読み取って、テキストにできないものか、などと横着なことを考えてしまうのですが、そんな技術が実用化されるのはもう少し後のことになるでしょう。といっても、GIGAZINEの記事に「脳波でパソコンを操作できるマウスが日本上陸」などという記事もありました。¥24,800らしい。うーむ、ほんとうに動くのだろうか。ちょっと心配。よこしまなことを考えて、あらぬ方向にマウスが動いちゃったら、それこそ困惑ですね(苦笑)。

一方で、脳内に広がる明確なイメージや感覚を、どうしても言葉にできないことがあります。ものすごい強烈な感覚がいま、ここに(脳内に)あるのに、表現する言葉がみつからない。特に徹夜明けであるとか、身体を徹底的に疲れさせたときに感じることがあります。たぶん辛さを緩和させるために脳内麻薬のようなものが分泌されていて、一種のトリップ状態にあるのでは。そのぶっとんだ感覚を言葉にしたいのだけれど、どうしてもできない。

先日、ものすごく身体が疲れているときに、へろへろになりながらそれでもタワーレコーズに行って試聴したことがあったのですが、音がまるで立体的な刺激のように突き刺さってきて圧倒されました。眩暈がした。そのときに試聴したアルバムのひとつは、コールドプレイの新譜でした。iTunesのCMにも使われているようですが、YouTubeの映像から。

■Coldplay - Apple iTunes Viva La Vida

すげーっ!!!と思ったのですが、くたくただったためにアルバムを購入せずに帰りました(小遣いもなかった。泣)。ところが別の日に試聴してみたところ、それほどの感動がなく、首を傾げてしまった。作品は、聞き手のコンディションや文脈によっても、まったく別の音に聴こえることがあるようです。

聴き手だけでなく作り手に関しても同じことで、ぼくは特にブログを書くように趣味のDTMで作品を作ろうと思っているのですが、制作中にはびしばしと刺激を受けるような感覚があっても、音というカタチにしている間にどんどん薄れていくことがあります。これは辛いですね。脳内にある音をそのままオンガクにできたらどんなにいいことか。モーツァルトはものすごいスピードで楽譜を書き上げたらしいのですが、きっとインスピレーションを具体化する表現の力がすさまじかったのではないかと思います。やはり天才は違う。

天才ではないぼくは、それでも脳内に広がる音の世界を具体化したくて時間を忘れて趣味のDTMに没頭しているわけですが、土曜日から日曜日にかけて曲ができました。曲・・・ではないかもしれないですね、メロディはほとんどないので、音のコラージュのようなものかもしれません。

心の内側あるいは脳内に広がる風景、という意味でマインドスケープというタイトルにしてみました。ブログで公開します。


■mindscape(2分23秒 3.29MB 192kbps)

作曲・プログラミング:BirdWing


MIDIの打ち込みではなくて、主として音の素材を切り貼りにより制作しています。このところピアノを中心にした曲が多かったので、ギターの曲を作りたかった。と、いってもいつものようにぼくは弾いていません。冒頭に聴こえるアコギの音は、RealGuitarというソフトウェアシンセの打ち込みで作りました。VAIOのノートパソコンのなかで完結して作ったラップトップミュージックです。

脳内に広がる言葉や風景のサイケデリックな感じを出したかったので、しゅわしゅわした音を多用しています。ベースも生音素材の切り貼りなのですが、フランジャーをかけました。ベースにフランジャーをかけると、なんとなくニューウェーブな気分が盛り上がります。

今回は特にリズムにも凝りましたね(笑)。10本ぐらいの素材を切り貼りしています。どちらかというとクラブのDJっぽい気持ちで作った感じでしょうか。

メロディやコードも大事ですが、リズムもオンガクにとっては大事ですね。とにかく身体にいちばん響く表現なので、かっこいいリズムを作りたい。渋谷系からハウス、エレクトロニカまでごちゃごちゃに詰め込んだ気がするのですが、洋楽っぽいかっこいいリズムを追求したいものです。

投稿者: birdwing 日時: 23:12 | | トラックバック (0)