日曜日の朝、ぼんやりとまどろんでいると、2歳の次男と奥さんのやりとりが聞こえてきました。「えーちょ、でんでん、むしむし、あったっちょ?」「はぁ?ガチャポンの電車のこと?それともムシキング?」「ちやうよ、えーちょ...」
魔邪まがいの、はぁ?はどうかと思うのですが、最近、2歳の息子は、いろいろなことを伝えたがるようになりました。ときどきはっきりとした言葉を使うようにもなった。けれども、まだうまく言えないのでもどかしいらしい。伝わらないから、ぴょんぴょん飛んで、ちやうよ(訳:ちがいますよ)を繰り返すのだけど、親がまったく見当外れのことばかりを言うので面白くて笑ったりしているうちに、どうでもよくなってしまうようです。
彼がいちばん好きなのは、電車とムシキングです。そしてTV番組ではIQサプリの合体漢字、ドラマ「野ブタ。をプロデュース」の主題歌などなど*1。あとはアンパンマンも好きです。長男はリアリストだったらしく、汽車に顔がついている機関車トーマスやアンパンマンが嫌いだったのですが。
ところで、なぜアンパンマンが好かれるのだろう、ということを一時期、深く考えていました。これはあるブログなどで書いたことではあるのですが、もう一度、整理してみたいと思います。
まず、見た目が「丸い」ということがあります。子供たちは丸いものが好きです。伊豆急行に黒船のかたちをしたリゾート21という電車があるのですが、窓が丸くなっていて、次男はお気に入りでした。携帯電話で写真を撮ったら、何度も見せろとせがんでくる。関西でいうと、ラピートという鉄人28号の顔のような電車も窓が丸いですね。息子が鉛筆で書けるようになった最初の図形も○(まる)。そういえば、動物の子供がなぜ丸い顔をしているのかというと、母性本能を誘発するためであるという理由を聞いたことがあります。確かに角が立っている図形よりは、攻撃性が少ないと印象としてもやわらかいし、親しみやすい。アンパンマンの顔を構成している図形も、丸ばかりです。だから親しみやすい。
次に、アンパンマンというネーミングそのものの理由。このブログにコメントもいただいている大学時代の知人、かおるんさんから聞いた話から考えを広げました。アンパンマンというネーミングそのものがよくできているのではないかという理論です。
かおるんさんの息子さんがちいさいときに、アンパンマンをじーっと見ていて「あんあんあん」と、ぼそっと言ったそうです。あんあんあん、と聞くと、とっても大好きドラエもん、と続けたくなりますが、このときにふとぼくはこんなことに気づきました。アンパンマンから母音だけを抽出すると
AN-AN-AN
になる。したがって、この母音さえ合致していれば
「ぱんぱんぱん」 PAN-PAN-PAN
でも
「たんたんたん」 TAN-TAN-TAN
でも、アンパンマンに聞こえなくはない。
デジタル的な判断をするならば、「ぱんぱんぱん」は「アンパンマン」ではない。きちんと伝わらないのですが、情報を受け取る側(母親もしくは父親)が、「そうだねー、これはアンパンマンだね」と補足してあげると、コミュニケーションが立派に成立する。
親子のコミュニケーションを促進するネーミングとしてすぐれているかもしれない、と思ったわけです。
「あっ、たんたんたんっ」
「そうねー。アンパンマンだねー」
「(にこっ)だよねー。たんたんたん、だーいすき」
もし母親がロボットであれば「ビー、タンタンタン、ハ、アンパンマン、デハナイ。ニンショウフカ。テキゴウシマセン」ということになるかもしれませんが、デジタル思考ではないアナログな人間は、言葉の背景にある意味を補う、という心を持っている。
親子で会話が成り立つこと。情報として正確かどうかよりも、子供が伝えたがっていることを親が理解してあげることができること。そのことによってコミュニケーションが成立することがいちばん大事じゃないか。そうした観点から、アンパンマンという名前はすごい、と考えたわけです。まだ言葉をうまく言えない幼児にとっては、親にわかってもらえることがいちばんうれしいですよね。子供にとっては、親との関係性が唯一の社会であり、世界の全体なわけなので。
コミュニケーション論の本で、コミュニケーションと言うのは、伝えたいメッセージがあってそれを100%受信者に伝えることではなくて、伝えたいメッセージなどはなくてもよくて(もちろんメッセージがあればあったでいいのだけど)情報の発信者と受信者の間で形成されるものである、ということを読んだことがあります。まさにこのことが重要で、親から子供へ一方的に伝えることがコミュニケーションではない。双方向のやりとりのなかで、お互いに情報を補足しながら、関係性を作っていくのが、コミュニケーションなのではないかと考えます。つまり、スタティックな構造ではなくて、他者との間で生成される過程がコミュニケーションである、ということです。この理論はブログやSNSにも応用できるかもしれません。
この生成していく関係性においては、あいまいであることがポイントになる。あいまいな情報を、発信者と受信者の双方が補足する作業になります。だから情報は完全であるよりも、ある不確実な部分、あいまいなところを残していた方がいい。解釈に余裕がある方がいい。人口知能(AI)などの分野でも、いえることなのかもしれません。その道のスペシャリストではないので、よくわかりませんが。
ちょっと難しくなってしまいました。話題を変えましょう。
アンパンマンにはかなりシュールな部分もあって、頭を取り替えることができる。「アンパンマン、新しい顔よっ!」とか、バタ子さんに投げてもらって交換する。やさしいアンパンマンは、お腹が減っているひとに、自分の顔を食べさせてあげることもあります。そうすると顔が欠けてしまって(ここが妙にリアルなんだけど)なかのあんこがみえる。
うちの次男(2歳児)にとって、このあんこが出ている状態は尋常ではないようで「あんこ、ででん!あんこ、でてん!(訳:あんこでてるじゃないですか。どーしちゃったんですか、このひとは。大丈夫でしょうか)」という。ぼくとしては、この「でてん」というのが面白くて、わざと彼の上着をめくって「はら、でてん。はら、でてん」とか、オムツの後ろをちょっと下げて「しり、でてん。しり、でてん」とかやるのですが、あんまりしつこいと泣いてしまう。2歳児をいじめちゃいけませんね。
さて、アンパンマン占いというサイトもみつけました。やってみたところぼくは次の結果です。
● ○○さんは【カビルンルン 】です!
● カビルンルンさんのあなたは、一言で言うと、のんびり屋さん。多少の問題が起こっても、気にすることのない楽天家タイプです。そんなあなたに周りの人たちも気を許し、のほほんとした存在感になごんだ空気を感じているはず。が、裏を返せばめんどくさがり屋。頼りがいがないと思わることも...。やればできるというアピールをもっとすれば、人の見る目もきっと変わってくるはず。がんばって!
● ○○さんのモテ度は、9点です!
カビルンルンってなんだ?わからなかったので
「なかまたちのしょうかい」から
「かびるんるん(こちらではひらがな)」を見ました。これかーカビルンルンって。とほほ。やればできる。頑張ります。
++++++
■アンパンマンの公式サイト。四谷にアンパンマンショップもあります。
http://www.ntv.co.jp/anpanman/
■アンパンマンの謎についての掲示板。
http://okwave.jp/kotaeru.php3?q=1771610
*1:修二と彰の「青春アミーゴ」という曲で、ドラマの最後にブタがごろごろ転がるアニメーションが好きらしい。そもそもジャニーズファンの奥さんの影響を多大に受けていると思われる。
投稿者: birdwing 日時: 00:00 | パーマリンク
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