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2008年7月13日

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サカナのなかさ。

下手な回文のタイトルですみません(苦笑)。入院していた次男くんは先日、無事退院することができたのですが、仕事のため、ぼくは退院には立ち会えませんでした。そこで、お祝いに何か買って帰ろうと思って本屋をうろうろしてみたところ、みつけたのがサカナ20匹のペーパークラフトの本です。

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次男くんはお絵かきや立体造形が好きです。いつも画用紙に何か書いたり、丸めて何か作ったりしています。ネコの絵を描いて口だけぱくぱく動くようにして食べさせたり自分なりに絵本を作ったり、どうやらモノづくりに興味があるらしい。

どこかアーティスト気質な彼は、ひらがなやカタカナを混在させて鏡に映ったように反対に書くし、ペンの持ち方もぎゅうと握る感じなので、ふつうではない。できないとかんしゃくを起こすため、まさに芸術は爆発だという取っ付きにくい性格です。いまのところ興味があるのは、惑星、世界遺産、サカナ。もちろんポケモンにも興味があるのですが、一般的な5歳児とはピントがずれていると感じるのは父であるぼくだけでしょうか。

サカナ+立体造形で、彼の趣味にぴったりだと思って買ってみた本ですが、まさに父の思惑通り彼のツボにはまり込んだようでした。しかしながら、うすうすは感じていたものの、失敗したなあ・・・と思ったのは、これってぼくが作らなきゃならないんですよね。

「たのしい幼稚園」などの学習雑誌には、毎号趣向の凝らされた付録が添付されています。戦隊モノのシューティングゲームのようなものが多いのだけれど、完成させるまで1時間半ぐらいかかったりする。これが親泣かせだったりするのですが、全部まるごとペーパークラフトの本というのはよく考えると、本体(雑誌)のない付録オンリーの本ではないですか(泣)。

というわけで、週末に父はサカナを量産しまくりました。12匹分の作品を写真に撮ったので掲載してみます。1部の写真では布の生地がモアレ(波模様のようなノイズ)になってしまっていて残念ですが。

  

   

  

  

次男くんは枕元に作ったサカナを配置してご満悦だったようですが、平面のサカナたちを折ったり組み合わせたりしていくと立体になっていく過程は、父であるぼくもなかなか楽しい。リアルでありながら、どこか愛嬌のあるサカナたちにデザインされていて、ペーパークラフト作家である神谷正徳さんのセンスを感じます。さりげなく折って膨らませるだけなのに、サカナの特長が強調されて、すごいなと思いました。

しかし、できあがった作品をどーすればいいのだ。途方に暮れます。次男くんはクリップを付けて釣ってみたり、長男くんとサカナバトルを繰り広げていたようですが(きぇーい、ハコフグを召還、ハコフグの攻撃だ・・・とか、やってました。怪獣というかデュエルですか)、せっかくのきれいなペーパークラフトなのにゴミになってしまうのがちょっとさびしい。

とはいえ、遊んだらゴミ箱に捨ててしまえるのは、ある意味、ビニールの人形よりお手軽かもしれないと思いました。洞爺湖サミットで環境に対する意識が盛り上がっていたこともあり、エコロジー的にはどうかも思ったりするんですけどね。

+++++

■立体アートKAMIYA
http://www.hfj.com/pj/kamiya.html

投稿者: birdwing 日時: 23:03 | | トラックバック (0)

2008年7月12日

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おかげさまで。

080712_re.jpg細菌性髄膜炎で息子(次男くん・5歳)が入院していたのですが、おかげさまで10日に退院できました。ブログを読んでいる方にはご心配をおかけしました。あたたかい励ましの言葉もいただいて、ほんとうにありがとうございました。

完治というわけではなく、まだ炎症が残っているため、ときどきひどい頭痛に襲われるようです。1日のうちに何度かアタマを痛がっています。とはいえ抗生剤も効いて、脊髄のなかにうようよ増殖していたインフルエンザは退治できました。後遺症も残らないのではないかと思うので、まずまずの結果ではないでしょうか。よくやった、ラッキーボーイ。

ワリオというか紫ピクミンのような体型だった次男くんは(ゲームを知らないとわからないですね)、ピクトグラムの棒人間のように痩せてしまって痛々しい。今後、栄養のあるものをたくさん食べて、回復してくれることを祈るばかりです。

外出も禁止されているので、結局のところ幼稚園の先生や友達に会えるのは夏休みが終わってからということになってしまったのですが、仕方ない。人生そんなときもあります。というか5歳のきみの人生は、はじまったばかりなので、ゆっくりいきましょう。とはいえ、病室でママがいないときに暴れて号泣して、看護婦さんに激怒されて病室を変更されたぐらいのツワモノなので、以前にもまして甘えん坊になった性格は、なんとかしたほうがいいと思うのですが(苦笑)。

一方で、ぼくは地に足のつかない3週間でした。いまだに6月がつづいているような感覚があり、ものすごく長い時間を過ごしたかと思うと10分も経っていなかったり、あっという間に3時間を過ごしたり、破滅的に心が壊れていて処理機能が低下して考えがまとまらないのに、その半面シャープに研ぎ澄まされた感覚もあったりして、自分でありながら自分ではない状態でした。

あらためて気付いてびっくりしたのが、この3週間、ほとんどオンガクを聴いていなかったということ。かろうじて、いつだったか日曜日、病院からの帰り道、ラーシュ・ヤンソン・トリオの「HOPE」というアルバムを聴いてピアノの音が胸に染みまくったのですが、iPodをどこへ置いたかもわかりません。デイバックのなかに突っ込まれたままのこともあれば、部屋の片隅に放置されていたこともありました。音楽がなければ生きていけないぐらいの必需品であったぼくには、あり得ないことです。

Hope

おかしなテンションがあり、日々をいっぱいいっぱいの状態でやり切っていた感じです。オンガクに喩えると、変拍子というかポリリズム的なビートに翻弄される毎日でした。やっと生活のリズムが元に戻りつつある手ごたえを感じているのですが、客観的にみて冷静に毎日を過ごしていたかどうか、自信がありません。

ただ、非日常的な毎日だからこそ気付くことはたくさんありました。ぼくは家で長男くんと父子ふたりの生活をしていたのだけれど、長男くん(11歳)のめざましい成長にわずかながら気付くことができました。まだ子供だと思っていたのに、大人のような考え方になりつつあります。

眠る前に、国語の授業の「ぼくの世界、きみの世界」という教材の話を聞いて、親子でテツガク的な対話ができたのは、辛い毎日のなかでも楽しいひとときでした。ふだんは彼と別々に寝ているのですが、次男くんの入院中は隣りで寝ていたので、そんな話もできました。

「ぼくの世界、きみの世界」という教材は、西研さんという哲学者がわかりやすく哲学の入り口のようなものを解説されているエッセイのようで、同じチョコレートを食べても、甘いという感覚がきみとぼくとでは違う、ぼくとは一体なんだろう、どうすればきみと分かり合えるのだろう、というようなことを述べられているようです。この話が長男くんは好きらしい。国語の授業でいろいろと考えて、テツガクに興味を持ってしまったとのこと。

さすがぼくの息子というか、血は争えないな、と感じてうれしかったのだけれど、ぼくもこういう話は大好きです。電気を消した布団のなかで、共感、多様性、世界の認識の仕方(アフォーダンスなど)、構造化など、彼と1時間ぐらい話をしました。たぶん11歳のちいさな頭には理解できなかったと思うのですが、明日学校だからもう寝よう、と言っておきながら、もっと話したくてうずうずしていたのは、何を隠そう父であるぼくのほうだったかもしれません。

彼と将棋をやってみたのですが、強くなってしまって全然勝てない。「小学六年生」の雑誌に将棋のマンガが掲載されているらしく、それで守りの手などを研究してノートにまとめています。穴熊(詳細はWikipediaの穴熊囲いを参照ください)という守りの手を打たれて、え?え?なんだそれは?と思っているうちに負けてしまった。ちなみに穴熊とは玉将(王)が隅に配置されて周辺を金などで固める陣形のようで、鉄壁の守りを作りつつ着実に駒を取っていくという手法が、いま彼の得意の戦術のようです。悔しいのですが、出たとこ勝負の感覚的な攻め方のとーさんは息子に勝てません。

入院自体は辛いことなのですが、チャンスととらえることもできる。繰り返される毎日の日常的な生活のなかでは、気付かないことにもたくさん気付くようになります。そして入院している本人よりも、その周辺の家族のあり方であるとか、ぼくの人生にとってほんとうに重要なものは何だろうということを考えさせてくれた3週間でした。

子供が入院している非日常の毎日から日常の毎日へ変わりつつあり、そのときに感じたことは薄れてしまいつつあるのだけれど、大事だと感じたことをできる限り維持しながら、ふつうの毎日に戻ろうと思っています。なんでもないふつうの毎日が、いちばんしあわせかもしれない。

気が緩んだせいか土曜日の朝起きると耳が痛くて、病院に行ったら中耳炎と言われてしまい、今度は父であるぼくのほうがムコダインという抗生物質のクスリを飲むはめになったのですが、薬を飲んだらすっかりよくなりました(早めの対応が大事です)。

ついでに洗濯機がぶっ壊れたり、とんでもないカミナリと雨もあったりしたのですが、そんな日々の断片をまたブログで書き連ねていきたいと思います。無駄に長文ですが、暇な時間に読んでいただけるとありがたいです。あらためて、よろしくお願いします。

+++++

■西研さんのホームページ

http://www007.upp.so-net.ne.jp/inuhashi/index.htm

投稿者: birdwing 日時: 23:00 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年6月29日

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スモールワールド。

またここへ来てしまったね。足の親指にテープでとめられた脈拍と酸素の計測器。皮膚を透かして蛍のように光るセンサーの赤いひかり。液晶に表示された100近辺の数値。点滴のビニールと手に巻かれたネットの包帯。最先端の医療機器にもテレビにもなるディスプレイ。明るい部屋には、きみを含めて4人の子供たちがいる。そして4組の家族たちと医師、看護婦たちが見守っている。

今度の入院は喘息ではなく、細菌性髄膜炎と診断されたきみは、力なく横たわり、ひたすら眠っている。38度近い熱は波のように引いたり寄せたりして、きみの額に痛みをもたらした。その傍らで、所在のない父親は、たくさんの動物や植物たちの折り紙を折りあげていった。たわむれに買った本のページを開きながら、山折り、谷折り、中割り折りなどを繰り返して、ちいさな紙片は、次々とちいさな世界の構成物に変わっていく。

檻で囲まれた清潔なシーツの上にひろがる、ちいさな世界。スモールワールド。きみの眠りを妨げないように、そっと置いた、うさぎ、つりがねそうの青い花、小鳥、そしてクリーム色の鳩。

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窓の外には半円形のかまぼこを立てたような建物がみえる。遠くから長期の入院に付き添うひとびとが宿泊する施設だそうだ。建物の下には円形の庭が広がっている。それはちょうどきみが大好きなナスカの地上絵のようにみえないこともない。きみは窓の外を眺めることさえ嫌だ、と言っていたけれど。

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売店で買ったミニカーは、1日ごとにきみの枕元に増えていった。はしご車やダンプカーなど、チカラ仕事をするクルマが多かった。あまのじゃくな父親は、スペースシャトルを買ってみた。

10年後、きみが成長する未来には、月へハネムーンに行くことさえできるかもしれない。あるいは、そんな技術はまだ夢の夢で、いまと変わらない毎日が続いているかもしれない。

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どちらでもいい。そんな未来にきみがいればいい。好奇心の目をくりくりと動かして、分厚いくちびるをちょっと尖らせたりしてみながら、スモールワールドを卒業したきみの眼前に、おおきな世界が広がっていればいい。

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はやくよくなるように。折り紙でつくるちいさな世界に、祈りを込めて。

投稿者: birdwing 日時: 23:59 |

2008年6月25日

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75%の未来。

日曜日、次男くんは37度ちょっとの熱を出していたのだけれど、深夜の1時すぎに突然アタマが痛いと泣きはじめました。最初は何か悪い夢でも見たのかと思った。公開したばかりの趣味のDTM作品を聴きながら、ネットにつないでいろいろと調べようと思っていたぼくが驚いて隣室にいくと、次男くんはわんわん泣いていた。

うーむ、きみもアタマが痛くなることがあるのかと新鮮な感じがしました。というのは、お腹が痛い、ということがあっても、アタマが痛くておお泣きするのは、はじめてだったんですよね。遠くで雨がざんざん降っている音が聴こえた。喘息のときのように救急小児科に行こうかと思ったのだけれど、この雨では大変だな、タクシーつかまるかな、と思ったのを覚えています。

ところが、何か楽しい夢心地のところを早朝の4時半頃に叩き起こされました。次男くんが痙攣を起こしたらしい。うつろな目をして5分間ぐらい手を前後に動かしたとのこと。奥さんのそんな話を聞いて、なんだか胸がざわざわとした。39度を超える熱があり、ぐったりとしている。呼びかけても反応がにぶい。揺さぶっても、ぼんやりとしている。どうしようかと思ったのだけれど、とにかく救急小児科に連れて行くことにしました。

奥さんの母親を呼んで長男をみてもらうことにしたのですが、この母親がまたパニックになるひとなので困惑。ちょっと切れそうになりつつ、ぼくはタクシーをつかまえに行って、奥さんが次男くんを連れてくるのを待っていた。あまりに遅いので、黒塗りのタクシーに待っていてもらうように話して迎えにいくと、タオルケットにくるまれた次男くんがぐったりとしていた。で、戻ってみると待っててくれとつかまえていたタクシーがいない。逃げられた。しかし、別のタクシーに乗り込むことができて安堵しました。あの個人タクシー許せん、と思った。

そうやって救急小児科に行ったのだけれど、さすがに月曜日の早朝なので誰もいない。手続きをしてトリアージというところで最初に話を訊いてくれた看護婦さんはしっかりしていたのだけれど、その後に出てきためがねをかけたお医者さんが、いままで仮眠をとっていましたーと言う感じの若いひとで、同じことを何度も繰り返して訊く。症状をパソコンに打ち込むのだけれど遅くて、ああ、もう、ぼくが打ってあげましょうか、と思った。診察後、点滴を打ちましょう、ということになって病室から外に出されました。点滴を打って、少し様子をみましょう、とのこと。

喘息のときに飲ませるテオドールとかいうクスリは発熱時にはよくないらしく、それが悪さをしているのではないか、とのことでした。しかし行きつけの小児科では、クスリの分量を測っているので、問題はないはず、と言われていたようです。点滴のせいか、次男くんはおしっこを洩らしてしまった。点滴をやるとおしっこがたくさん出るようになるらしい。あとで考えるとこれも予兆のような気がするけれど、着替えを持っていないので、久し振りにおむつ状態に。その後、8時になってから売店でパンツとズボンを買ったのですが、結局これは使いませんでした。

喉が渇いた、水が飲みたい、としきりに次男くんは言うのだけれど、医師の指示で水は我慢。しかしながら、7時を過ぎた頃だと思うのですが、ぼくのほうが眠さと喉の渇きに我慢できずに、次男くんには悪いけれど、こそこそと売店に行ってコーヒー休憩をしちゃいました。バニララテを飲んだところ、なんとなくしあわせな気持ちになった。会社の会議に遅れてしまうことは家から出てくるときにメールで連絡していました。でも、今日も1日やることあるなーとぼんやりと考えながら眠い目を擦った。

しかし、コーヒー休憩から戻ってみると事態は急変していました。2度目の痙攣を起こしたらしい。水を飲ませようとしたら嘔吐したらしいのだけれど、それが痙攣だったようです。

ぼくはいなかったのだけれど、そのときにナースコールをしたところ、看護婦さんを含めて6人ぐらいの医師がすっとんできて、だだだっと次男くんの周囲を取り囲んだとのこと。大袈裟だなーと思ったのですが、さらにびっくりしたのが、入院してください、と告げられたこと。ただの熱でしょ?もう帰ってもいいんじゃないの?勘弁してよ、と思ったのが正直な感想です。

医師の話によると、意識が低下して反応が鈍いのが気になる、とのこと。確かになんだかぼんやりとしている。次男くんは自分の身体に触られるのを異様に嫌って、手をつなぐことさえ嫌がる。手を払いのけます。将来、彼女ができたときにどうするのだろうと、どうでもいいことを心配してしまったこともあったのですが、そんな彼が医師に手をつねられてもびくともしない。ぼくも手を握ってみるのだけれど、高熱のために熱くなった指は握られたままになっている。

何の検査だろうか、と思っていたのだけれど、何度も首を曲げさせておへその方を見させようとする。首をくりくり動かして、痛くないか訊いていました。

その後、CTスキャンで脳の検査をしました。設備のしっかりした小児科で、CTスキャンのまあるい機材にドーナッツの絵が描かれているのがかわいらしかった。待っている間に奥さんに、次男くんにはひらがなを反対に書くような天才気質があるのだけれど、この発熱で天才になっちゃったりしてね、などと能天気なことを話していました。いつかNHKでやっていた番組のように、数学の答えを映像でみられるようになったら凄いよね、と。

ところが、その後、脊髄に針を入れて液を取る検査もやることに。局所麻酔を打つようだけれど痛いらしい。これも6人近くの医師がかかってやっていただいたのだけれど、ガラス窓の向こうで処置されるのをみながら、泣き声が聞こえてこないのが意外でした。喘息のときの点滴の針を刺すときにも、もうおしまい?、もうおしまい?と泣き喚いていた彼の声が少しも聞こえない。どうしちゃったのか。

結果を聞いてまたびっくりしました。3週間ぐらい入院してください、とのこと。

どうやら彼の脊髄の液からは、うようよとインフルエンザのウイルスが検出されたようです。インフルエンザといっても通常のものとは違う種類らしい。

細菌性髄膜炎、というのが彼の病名でした。そんな名前はじめて聞いたのですが、ようするに脳炎です。

+++++

まず断っておきたいのは、もし同じように細菌性髄膜炎になった子供を持つご両親が読まれているとすれば、一般的な数値をあまり信じ込んではいけない、ということです。また、ネットなどで簡単に情報を入手できるけれど、その情報に翻弄されないことも大切です。担当の医師に、自分の子供はどういう状態なのかを訊くことが大事です。

ということを前提として書くのですが・・・。

髄膜炎は3歳までの乳児に多いらしく、10%が死に至り、25%ぐらいはその後、水頭症や難聴、発達障害のような後遺症が残る。半身不随や小児マヒになるようなこともある。軽く考えていたのだけれど、ものすごく重い病気のようでした。喘息も大変だけれど、それどころではないかもしれない。

まさかそんな・・・というのが本音です。ただの風邪でしょ?とまだしつこく思い込もうとしていた。

ただ現実は厳しい。5歳の彼にとっても25%ぐらいは障害が残るらしい。だから、しっかり治すためにも3週間の入院が必要である、というのが医師の判断です。今週、次男くんは幼稚園で清里へキャンプだったんですよね。ものすごく楽しみにしていた。それどころじゃない。そんなイベントはふっとんでしまいました。

で、目の前が暗くなった。

+++++

歩きまわっていたような気がします。病院まで何回か往復した。ただ、何も記憶には残っていない。歩いたことさえ夢のなかの場面だったような気がする。

火曜日。疲れていて、それでも精神が焼け付いたような感じで遅くに出社。単純な仕事を何度も間違えて困った。あまり仕事にならずに(気を抜くと髄膜炎をネットで検索してしまうのがかなしい)困惑しつつ早く帰ったのですが、そのまま病院に立ち寄り、彼の病室に行ってみました。

帰りたいようと明るくダダをこねる次男くんを想像していたのだけれど、彼のベッドに行くなり、はっとした。顔つきが違っている。それは・・・そう。言ってはいけないのかもしれませんが、知識に障害がある子供の目でした。

どうやら眠っていないし起きたばかりだからかもしれないのだけれど、ぼーっと中空をみつめている。呼びかけてもこちらを見ない。焦点が合わない。そのうちに、ねる・・・と横になってしまった。首が痛むらしい。というのも脊髄のウィルスが首の辺りで炎症を起こすからだそうです。昨日の首の検査はそういうことだったのか、とあらためてわかりました。

奥さんと看病をかわっている間に、看護婦さんがやってきて彼を着替えさせてくれたのだけれど、脱げないよう・・いたいよう・・・と洋服を脱ぐことができずに力なく泣く、というか泣く気力もなく声をもらすだけの彼を見ていたら、看護婦さんがいるにもかかわらず、ぼろぼろ涙が出て止まらなくなった。どうしてこうなっちゃったんだ、きみは。

ぼくに似て、というのはおこがましいけれど、彼の目はとても大きく、好奇心でくるくると動く。最近は、惑星に凝っていて、土星が好きでした。世界遺産も大好きで、先日テレビで放送していたナスカの地上絵なども、いっしょうけんめい見入っていた。

その目が濁ってしまって、細くなって焦点も合わず、言葉もたどたどしい。溌剌とした笑顔が凍りついたように表情がなく、ウィルスをやっつける抗生物質の点滴のせいかむくんでいる。そのままなのだろうか。いや、きっとよくなるよね。

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医師の話によると、それでも早い時期に彼を病院に連れていったのがよかったとのことでした。喘息になると即病院に連れていく行動ができあがっていたのですが、それが功を奏したようです。また、仮眠をとっていたばかりのようなめがねのお医者さんの判断もよかったのではないかと思います(ありがとうございます)。1日そのまま寝かせていたら、取り返しのつかないことになっていたらしい。

入院している間、奥さんは付き添いで病院に泊まっているので長男くんとふたり暮らしです。学校に迎えに行ったり、さびしくてしおしおになっている彼と話をしたり、将棋をやったりしている。将棋は2日間とも彼に負けました。弱くなったものだ、父は。

弱くなった父は次男くんのこれからを想像すると現実に負けそうになるのですが、25%に障害が残るということは、75%はそれでもよくなるということじゃないのか。辛いけれど前向きでありたい。

75%の未来を信じてみようと思います。

きっと世の中には、もっと重い病気の子供を看病しつつ、暗い未来に負けそうになりながら、それでも強く前向きに生きているご両親が多いのではないでしょうか。ぼくのこんな日記など、まだまだ甘っちょろいのかもしれない。というか、日頃あまり子供とも遊ばないくせに、こういうときだけネタにしているのはどうか、と恥ずかしくもなる。きちんと子育てをしているご両親に申し訳ない。

けれども髄膜炎をネットで検索しながら、やはり参考になったのは医師の解説はもちろん、同じ髄膜炎の子供を持つ親の体験談でした。事例がいちばん参考になる。とはいえ、こんな長文は実用的ではないと思うのだけれど(苦笑)、不安もあって書き殴ってしまったこともあり、もしかしたら症状以外のところで参考になるかもしれません。推敲してあとでざくざく削る場合もあるけれど、早期発見で髄膜炎を防ぐ何かのヒントになったり、同じ症状の子供を持つ親の参考になるように、エントリーというボトルに詰めてネットの海に投げておきます。

いまは手が付けられないのですが、髄膜炎について調べたことも追加していくつもりです。次男くんが、また公園を走り回るときがくることを祈りつつ。そして髄膜炎を未然に防いで、少しでも健康な子供たちが増えるように。

投稿者: birdwing 日時: 02:02 | | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年3月13日

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音楽で遊ぶ。

昨年のクリスマスだったか誕生日だったか、長男くんにドラゴンテイマーというニンテンドーDSのゲームをプレゼントしました。

B000RP7N58ドラゴンテイマー サウンドスピリット
ナムコ 2007-11-01

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彼はドラゴン系のモンスターが好きなようです。ポケモンにしてもデュエルモンスターにしても、竜関連を集めています。おとーさんであるぼくにとって竜といえば「エルマーのぼうけん」シリーズに出てくる羽のはえた竜なのですが、幼い頃、長男くんにその本を買ってあげた影響がひそかにあるのかもしれません。結構、何気ないオトナのおすすめが子供ごころに深く影響を与えたりするんですよね。

4834000494エルマーと16ぴきのりゅう (世界傑作童話シリーズ)
ルース・スタイルス・ガネット
福音館書店 1981-12

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このドラゴンテイマーがどのようなゲームかというと、以下のページにも説明がありますが、画面に示された音符の通りに音を聞かせるとドラゴンが生まれる。DSにはマイクがついていて、そこで音声を認識するようです。

■ドラゴンテイマー サウンドスピリット公式サイト
http://www.bandaigames.channel.or.jp/list/ds_dragontamer/
080313_dragontamer.JPG

そんなわけで、ドラゴンを手に入れるために、ピアニカなどでDSの画面に向かってぷーかぷーか吹いていたのですが、うまくできないよう・・・ということでぼくに助けを求めてきました。どれどれ、まかせてみーと、DTMで音を鳴らしてあげた。認識する時間が短いので全体の長さを調節しなければならなかったのですが、ベートーヴェンの運命の冒頭などでは、オーケストラヒットのプリセットでじゃじゃじゃじゃーんとやってあげたら、おお!とびっくりしていた。

そもそも部屋にこもってひとりで音楽制作をすることが多いぼくとしては、そんな風に子供と触れることがあまりないので、なかなか楽しいひとときでした。ただ、やっぱりぼくが手伝ってしまっては面白くないと思うので、あとは勝手に自分でやらせるようにしましたが。

しかし、あとでサイトをみたら、サイトにキーボードがあるじゃないですか。「竜界のキーボード」らしい。ちゃんとパソコンのキーボードに対応して音が出せるようになっています。「ドラゴンスコアを手に入れたのに身の回りに楽器がない~という人はこのキーボードを使って音を聴かせられるぞ!」という細かい配慮がにくい。優しい。

080313_dragontamer2.JPG

とにかくDSにはスピーカーだけではなくてマイクも付いてるのか、とあらためてこのちいさなゲーム機のポテンシャルに感動したのですが、DTMを趣味とするぼくとしては、ITmediaの「アナログシンセの名機がDSでよみがえる――「KORG DS-10」登場」というニュースにおお!と思いました。DSでアナログシンセサイザーをシミュレートしている。

AQインタラクティブは3月12日、ニンテンドーDS用音楽ツールソフト「KORG DS-10」を7月に発売すると発表した。コルグ(KORG)と共同開発し、アナログシンセサイザーをタッチパネルを使って演奏できるのが特徴。「スタイラス・ミュージック」という新しいスタイルを提案する。価格は4800円。

スタイラス(タッチペン)で配線できるんですね。アナログの配線をつなぐ音作りをDSで再現しているのが、シンセごころをくすぐります。公式サイトのトップにYouTubeによる映像を載せているところもいい。マニュアルであるとか操作を見せるときに映像は効果的です。

■公式サイト
http://www.aqi.co.jp/product/ds10/
080313_ds-10.jpg

■KORG DS-10 #001

■KORG DS-10 #002

うおお!!音作っているところいいなあ。レゾナンスとかフィルターとかぐにょぐにょ操作しているのをみると、くらくらしてきます。これたまらなく欲しいんですけど!!ITmediaの解説を引用すると、基本的には1978年のアナログシンセをベースとしながら、最新のKAOSS PAD的なエフェクトも装備しているらしい。

1978年発売のアナログシンセ「MS-10」をデザインコンセプトとし、DSの2画面とタッチパネルを活用して操作可能。エフェクター「KAOSS PAD」や、直感的に演奏できる超小型シンセサイザー「KAOSSILATOR」と同様のタッチコントロール機能を備え、リアルタイムなサウンドコントロールとノート(音符)入力が可能。楽器初心者からプロまで満足できる仕様になっているという。

KORG MUSEUMのMS-10の解説ページがまた泣ける。仕様については以下のように書かれています。

具体的には、パッチング可能な2台の2オシレーターアナログシンセシミュレーターと、アナログシンセで作成した音を使う4パートのドラムマシン、6トラック(アナログシンセ×2+ドラムマシン×4)/16ステップのシーケンサー、3種類のエフェクト(ディレイ、コーラス、フランジャー)を搭載。ノート入力モードはタッチコントロール、キーボード、マトリクスの3種類。リアルタイム演奏するサウンドコントロールモードも備える。

うーむ。これはあなどれない。通信機能もあるらしいので、複数ユーザーとセッションしたり曲のデータも交換できるとのこと。ああ、いまの子供たちって、なんて恵まれているのでしょう!いや、これは子供よりオトナが買いそうだ。ちなみにAmazon限定で販売のようです。ううう、どうしよう。注文したい。うずうず。

考えてみるとぼくがDTMをはじめたのは、YAMAHAのQY-20という玩具のような手乗りシーケンサーがはじめてだったのでした。さ、探したら出てきたー。どわー。これは15年前に購入した機材です。変色してきったねー(苦笑)。

080313_QY20.JPG

とはいえ、電池駆動ができるので、持ち歩いてモバイルで曲を作ったりもしていたんですよね。さすがに電車のなかでちまちまとちいさい鍵盤を押していると、あんた何?という感じで見られて恥ずかしかったのですが。DSなら電車のなかでも曲作りができるかもしれない。15年前であればともかく、あらゆる場所で携帯電話でメールを打ったり、ゲームをしている現在では、さほど違和感がないのでは。良識のある教育者的な見解はともかくとして、ぼくは優等生の視線で新しい風潮に眉をひそめるよりも面白がってしまうタイプなんですけどね。

ちなみに「男の隠れ家」という雑誌を購入したのですが(なんてタイトルだ、という感じです。苦笑。これについては別途またエントリーを立てる予定)、音楽の変わった遊び方としては、おじさんたちにひそかに人気があるのはギターの塗り絵らしい。

4845614820ギター塗り絵 ロックの時代を彩った名器8本を塗る
ギター・マガジン編集部
リットーミュージック 2007-10-30

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リットーミュージックから出ていて本格的なのですが、DSのシンセより、こっちのほうがどうかと思うなあ(苦笑)。塗り絵はボケ防止にもよいということを聞いたことがあるんですが、塗り絵するよりもヘタでもいいから弾いてみたほうがいいんじゃないか。でも、いろんな音楽の楽しみ方があっていいですよね。

投稿者: birdwing 日時: 23:53 | | トラックバック (0)