「数式を使わないデータマイニング入門 隠れた法則を発見する」岡嶋裕史
▼book06-049:データマイニングに困惑。
数式を使わないデータマイニング入門 隠れた法則を発見する (光文社新書) 光文社 2006-05-17 by G-Tools |
数式を使わずにデータマイニングについて解説する入門書であり、データマイニングの書物といえば数式ばかりでうんざりしたのでつい買ってしまったのですが、この本を読み終えてぼくが得た感想を正直に書いてしまうと、「ひょっとしてデータマイニングって使えないのでは...」ということでした。やさしく解説すればするだけ、こんなもんに時間をかけるよりも直感で考えたことの方がよほど深い示唆を得られるのではないだろうか、と思ってしまいました。
自己組織化マップやニューラルネットワークなど、興味深い分析をとてもわかりやすく解説されていてとても参考になります。ただ、これもまた率直に印象を述べてしまうと、文章が「妙」です。それが理系的なオタクっぽい文章の特長なのかもしれないけれど、時々「?」という部分に突き当たる。たとえば、例にあがっている人物は男なのか女なのか、会話を読むとどちらなのかさっぱりわからないという部分がありました。
これもまたぼくの偏見から失礼だとは思いつつ本音を述べると、ガンダムが例に出てくるところで、気持ち悪いな、と思った。理系の学生に向けた講義であればやんやとウケる場所なのかもしれないし、別に掲示板やインターネットで書き込まれている分には読まずに通り過ぎればいいのですが、購入した本の場合そうもいきません。読むのをやめようとかなり強く思ったのですが、700円も払った本なので最後まで読むことにしました。ただ、その決断がよかったのかどうか、いまでもよくわかりません。
出版社あるいは著者の売り上げ増加の目論見なのか、コピーライティング的なタイトルに注目してしまうのだけれど、中身のない本も多いような気がします。余談ですが、いちばん腹が立ったのは橋本治さんの「上司は思いつきでものを言う」でした。あの本を買うぐらいなら、喫茶店でコーヒーを飲んだ方がどれだけ幸せな時間を過ごせたかわかりません。過去に名声のある作家は才能が枯渇しても思いつきで本を出すことが許されるんだ、と思いました。しかしながら、出版社にもコピーで騙して儲ければいい、という柳の下にドジョウ的な発想があるんじゃないだろうか。だから、出版は低迷しているんじゃないか、と思ったりもします。
ぼくは本が大好きで、本を読む時間が幸せだからこそあえて書きたいのですが、内容の薄い本を乱発しても出版社(あるいは作家)が損なだけです。いま、すばらしいブロガーがたくさんいるし、ブログを読んでいた方がずっとためになる。感動することも多い。プロの違いをみせてほしいものです。7月6日読了。
*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(49/100冊+39/100本)
投稿者: birdwing 日時: 00:00 | パーマリンク | トラックバック (0)