「デザインの輪郭」深澤直人
▼book06-044:最終形としてのシンプルライフ。
デザインの輪郭 TOTO出版 2005-11-10 by G-Tools |
ちょうど同時に武満徹さんの「Visoins in Time」を読んでいるのですが、映画音楽について、映画そのものが饒舌であり音楽にあふれているものだから、「映画から音を削るということの方を大事に考えている」ということが書かれていて、深澤さんの感覚に近いものを感じました。考えない、手垢にまみれないものをデザインしたい、ということにぼくは深く共感を得ていて、いまぼくは過剰にいろいろな情報を収集したりアウトプットしていたりするのだけれど、最後に到達したいのは、何もないけど自分がいる、というような境地であるような気がしました。音楽でいうと、ぽーんと音が鳴ってそれでおしまい、あとはその音の余韻が水面に波紋のように広がっていく、というような。実はごちゃごちゃ言葉を書き連ねたり、テクノロジーを駆使して分厚い音を創るよりもそっちの方が困難極まりないもので、きっとそれは雑念や邪念にあふれている若い時期には到底できないもののような気がします。あらゆるぐちゃぐちゃを経験したあとで、ふっとその陽だまりのようなシンプルな場所に突き抜けたい。それがぼくの希望であり、その希望の可能性を感じさせてくれる本でした。6月28日読了。
*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(44 /100冊+35/100本)
投稿者: birdwing 日時: 00:00 | パーマリンク | トラックバック (0)