「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」ダニエル・ピンク
▼book06-039:ほんとうの大変化はここから始まる、かも。
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代 大前 研一 三笠書房 2006-05-08 by G-Tools |
インターネットやテクノロジーが何をもたらすのか、ということはいまでもぼくの大きな関心ごとであるのですが、どちらかというとWeb2.0のようなトピックにはあまり興味を失いつつあり、むしろそうした技術を含む社会全体を飲み込むような波、もっと大きな変化をキャッチしたいと思っています。しかしながら、あまりにも大きすぎると妄想のようなものになってしまう。あくまでも等身大で考えていきたいものです。
自分のセンサーの感度を高めるために、本を読んだり映画を観たり、プレゼンの前の日にへとへとになりながらブログを書いていたりするのですが、量が質に転じるときがあるというか、たくさんの情報をとにかくインプットすることで、ようやくパターンがみえてきたような気がします。センサーがキャッチしたキーワードを蓄積できるようになりました。それはどうやら脳科学であったり、比喩やメタファーであったり、認識論のようなもののようです。
もう既に何回かブログで触れてきたのですが、この本はぼくがキャッチしたかったことの集大成という感じがします。直感についての記述もあり、さらに比喩についての記述のなかでは、EQだけでなく比喩指数(MQ)を高めよう、などという表現もありました。確かに左脳的な処理はコンピュータがどんどんこなしていく世界になるので、じゃあ人間は何をするのか、ということを考えると、右脳的な思考が必要になります。「答えのない社会」あるいは「答えが複数ある社会」であり、さらに答えを創り出さなければならない社会には、逐次的な処理ではない「全体思考」が大事になる。
ここで「ねばならない」的な発想をすると、つらくなります。じゃあすぐ息子に右脳教育を、という方向に焦るとつらい。楽観的にとらえると、ダニエル・ピンクさん的な予見から将来は暗記や論理は通用しなくなる社会になるので、無駄なことを覚える必要もなく(無駄なことは情報としてネットの世界にアーカイブしておけばいい)、逆に余裕があって豊かな創造的な世のなかになるともいえます。そんな予見をした上で、それこそ「全体」を俯瞰して、慌てずに自分は何をしたいか、というようなことを考えたほうがいいでしょう。
過渡期にある現在がいちばんつらいかもしれません。情報に追いまくられている気がします。けれども情報から解放されるときがきっとくる。それは大きな希望でもあります。
この本は楽しんで読んでほしい、と書かれていましたが、ほんとうに楽しめました。最後の「笑うこと」の大切さを説いている章では読んでいるぼくも楽しくなった。3歳と9歳の息子たちは、ほんとうに毎日よく笑います。何がそんなにおかしいんだろうと思うほど、笑っている。楽しいことだけを考えて生きているのが、しあわせなのかもしれません。ぼくにとっては、考えている時間がしあわせなので、いろんなことを考えつつしあわせに浸っていたいと思います。5月30日読了。
*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(39/100冊+34/100本)
投稿者: birdwing 日時: 00:00 | パーマリンク | トラックバック (0)